ある平和な休日。オーブの極秘別邸の大広間に、多忙な合間を縫って一角に集まった面々がいた。
コンパスや各国の要職を務める者たちが一堂に会した宴会は、酒とご馳走が進むにつれてすっかり無礼講の空気と化している。そんな中、テーブルの中央で割り箸をシャッフルしながら、ニヤリと不敵な笑みを浮かべたのはムウ・ラ・フラガだった。
「さーて、野郎ども! 宴会も中盤戦、ここで本日最大のメインイベントと行こうじゃないか!」
「ムウさん……嫌な予感しかしないんですけど」
整備着から私服に着替えたリンが、ウーロン茶のグラスを握りしめながらジト目でジワジワと後ずさりする。しかし、その退路を塞ぐようにディアッカが肩を組み、ニヤリと白い歯を見せた。
「逃がさねぇぞ、リン。今夜の企画は……伝説の古典的宴会ゲーム、**『王様ゲーム』**だ!」
「ええっ!? 王様ゲームですか!?」
副艦長のアーサー・トラインが声を裏返して跳ね上がる。その横で、高級なワイングラスを片手に持ったイザーク・ジュールが、額にピキピキと青筋を立ててテーブルを叩いた。
「くだらん! なぜ私がそのような庶民の卑俗な戯れに付き合わねばならんのだ! 帰らせてもらう!」
「まあまあイザーク隊長、そう言わずに! 滅多にない機会なんですから、親睦を深めましょうよ!」
ルナマリアが笑顔でイザークの袖を引っ張って引き留める。さらに、豪快にジョッキのビールを煽っていたヒルダ・ハーケンが「そうだぞイザーク! ここで逃げたら一生『王様ゲームから逃げた男』って呼ばれてやるからな!」とニヤニヤ煽り立てる。
隣で優雅に紅茶を嗜んでいたラクス・クラインが、ふふっと可憐に微笑んだ。
「まあ、王様ゲーム。とても楽しそうですわね。ねえ、キラ?」
「えっ? あ、うん、ラクスがやりたいなら……」
キラ・ヤマトが苦笑いしながら頷くと、アグネス・ギーベンラートがここぞとばかりにバサッと髪をかき揚げ、キラの隣へ滑り込んだ。
「ふん、まあいいわ。私が王様になったら、誰かさん(キラ)に特別な命令を出してあげようかしら!」
「……おいアグネス、あまりキラに馴々しく接するな」
眉間にしわを寄せたアスラン・ザラが注意するが、カガリ・ユラ・アスハは「おいおい、面白そうじゃないか! やるからには手加減なしだぞ!」と乗り気満々だ。マリュー・ラミアスも「ふふ、たまには羽目を外すのもいいかもしれないわね」と酔いも手伝って乗り気になっている。
こうして、参加者たちによる恐怖の王様ゲームの火蓋が切って落とされた。
全員の手元に、先端に番号が書かれた割り箸が行き渡る。
「「「王様だ〜れだ!!」」」
声を揃えて叫ぶ一同。最初に赤い目印の付いた箸を高く掲げたのは、発案者のムウだった。
「へへっ! 初代王様は俺だ! さーて、最初の命令だからな……景気づけにドカンと行こうか! 『3番』が『11番』の目を見て、本気の甘い求愛セリフを囁くこと!」
「甘い求愛セリフ!?」とアーサーが叫ぶ中、名乗り出たのは3番のアグネスと、運悪く11番を引き当てて殺気を飛ばすイザークだった。
「ちょっと! なんでイザーク隊長なのよ!」
「それはこちらの台詞だ! 貴様のような女に甘い言葉など吐かれてたまるか!」
喧嘩腰の二人だったが、負けず嫌いなアグネスがイザークの胸倉を掴む勢いで顔を近づけ、真っ赤になりながら吐き捨てる。
「……っ! 口は悪いし怒りっぽいけど……本当はすごく頼りにしてるんだから! 離れないでよ、私の目の前から……ッ!!」
「「「おお〜〜〜っ!?」」」
周囲から大歓声が上がり、イザークは「ぐぬぅぅっ! 舌を噛んで死にたい!」と頭を抱えて撃沈した。
間髪入れずに次のくじが配られる。
「「「王様だ〜れだ!!」」」
王様になったアグネスが「ふふん! 屈辱を晴らすわ!」と叫ぶ。
「命令! 『5番』は今夜の宴会が終わるまで、会話の語尾に絶対『〜にゃ』をつけて喋ること!」
恐る恐る割り箸を出したのは、なんとオーブ代表のカガリだった。
「な、なんだと……!? 私が猫の真似など……!」
「代表、命令は絶対だぞ」とアスランが真顔で促すと、カガリは顔を真っ赤にして拳を握りしめた。
「くっ……わかったよ! 文句あるか……にゃッ!!」
「「「カワイイーーッ!!」」」
破壊力抜群の猫語カガリに宴会場は大喝采。アスランは胸を撃ち抜かれてフリーズした。
ゲームが進む中、次に王様になったカガリが「『2番』と『9番』、腕相撲で勝負だ……にゃ!」と命じ、キラとアスランのガチバトルが発生。テーブルが悲鳴をあげるほどの筋力勝負の末、アスランが勝利し、負けたキラは罰ゲームの罰酒で倒れ込んだ。
「「「王様だ〜れだ!!」」」
ここで割り箸を高く掲げたのは、おどおどしながらもどこかうれしそうなアーサーだった。
「へ、へへ……自分、奇跡的に王様になれました! 副艦長命令を発令します! 『1番』と『4番』は、お互いの尊敬しているところを真剣に10個言い合ってください!」
真面目な命令に歓声が上がる中、名乗り出たのはなんとキラ(1番)とシン(4番)だった。
「えっ……シンと僕!?」
「くっ……隊長相手に10個ですか!?」
固まる二人だったが、キラが優しく微笑んで「シンは、誰よりも真っ直ぐで、大切な人を守ろうとする情熱があるところ……」と語り始めると、シンも感極まって「隊長は、どんなに辛くても諦めないで……俺たちを導いてくれて……ッ!」と涙目になりながら熱弁。宴会場全体が謎の感動に包まれ、アーサーは「素晴らしい絆ですぅぅ!」と大泣きした。
続いて勢いに乗った宴会は、さらに狂気的な展開へ向かっていく。
「「「王様だ〜れだ!!」」」
王様になったディアッカが、悪い笑みを浮かべて立ち上がった。
「くっくっく……今度の命令はこれだ! 『3番』『7番』『12番』、それと『15番』! 今すぐこのフリフリのメイド服に着替えてこい!」
「はぁぁぁッ!?」と絶叫したのはイザーク(3番)、リン(7番)、キラ(12番)、独立部隊のヒルダ(15番)だった!
「ちょっと待ちな! なんでアタシまでそんなフリフリを着なきゃいけないんだよ!」と猛抗議するヒルダだったが、「王様の命令は絶対だぞ!」とディアッカとムウに押し込まれ、全員脱衣所へ。
数分後……羞恥と狂気に耐えかねた姿で4人が戻ってきた。
黒のミニ丈フリルドレスに白いエプロン。恥ずかしさに顔を覆うリン、身を縮こませるキラ、「全員生きて帰さん……!」と殺気を撒き散らすイザーク、そして「おいおい、見てんじゃねぇよ!」と開き直りつつも絶妙に着こなしているヒルダのメイド姿に、大爆爆笑と謎の歓声が巻き起こる。
「おいディアッカ、あとで裏へ出ろ……!」と青筋を立てるイザークを余所に、メイド服姿のままゲームは続行される。
「「「王様だ〜れだ!!」」」
王様を引き当てたのは、真面目な顔をしたアスランだった。
「……よし。宴会の規律と親睦を深めるため、命令を下す。『5番』と『8番』は、男同士の熱い友情を示すため、本気のハグをしながら相手の長所を叫べ!」
当たったのは、まさかのムウ(5番)とディアッカ(8番)の自爆コンビ!
「お、おいアスラン!? 俺たちかよ!」
「言ったはずだ、宴会の命令は絶対だと」
アスランの厳しい視線に押され、ムウとディアッカは苦笑いしながらガシッと抱き合い、「ディアッカ! お前は頼れる相棒だー!」「ムウさん! あんたは世界一格好いいおっさんだー!」と叫び合い、周囲は爆笑の渦に包まれた。
「「「王様だ〜れだ!!」」」
王様を引き当てたのは、酒が入ってすっかり悪ノリモードのムウだった。
「へっへへ! 俺様が王様だ! さーて……『5番』! お前は『10番』のリアルなスリーサイズを聞き出して、ここで盛大に発表しろ!」
「はあぁぁぁっ!?」と叫んだのは、5番のアグネス。そして、10番の箸を持っていたのは……メイド服を着たリンだった。
「ちょっと! なんで私が整備士のサイズなんて聞かなきゃいけないのよ!」と文句を言いながらも、アグネスはプライドにかけてリンに詰め寄る。「ほらリン、吐き出しなさい! BWHを全部よ!」
「えっ、や、やだ! なんでここで言わなきゃいけないんですか!?」と抵抗するリンだったが、酔ったアグネスに無理やり耳元で白状させられる羽目に。
数字を聞いた瞬間、アグネスの目が点になった。
「……う、嘘でしょ……? ちょっと待ちなさいよ! なんで普段つなぎ着て引っ込んでるあんたが……私よりバストもウエストのくびれも上なのよーッ!?」
「「「ぶはっ!! ガチ驚愕!!」」」
アグネスのプライドが打ち砕かれた悲鳴に、ディアッカやムウは大爆笑。メイド服越しに見えるリンの隠れたスタイルの良さに、男性陣の目がどこか泳ぎ始めた。
「「「王様だ〜れだ!!」」」
続いて王様になったルナマリアが、イタズラっぽく目を輝かせる。
「次は豪快にいきましょう! 『2番』と『6番』、手に『11番』! テキーラのストレートを一気飲み!」
「げっ……!」と声を上げたのは、リン(2番)、ヒルダ(6番)、そしてカガリ(11番)の3人だった!
「リンちゃん大丈夫!? お酒弱いのに!」とマリューが心配するが、メイド服姿でテンションがバグり始めていたリンは、「……やってやろうじゃないの!!」と腹を括る。
「いいねぇ! アタシに酒で勝負を挑もうなんて100年早いよ!」と豪快に笑うヒルダ、そして「くっ……オーブの代表が敵前逃亡などできるか……にゃッ!」とカガリも前に出る。
ショットグラスに注がれた透明なテキーラを、3人同時にぐっと一息に飲み干す!
「「「いよっ! 男前!!」」」
「ぐはぁぁぁっ……! 熱い! 喉が焼けるぅぅぅっ!」
「カハッ! 効くねぇぇっ!」
「うぐっ……頭がクラクラする……にゃぁ……!」
テキーラの強力なアルコールが一気に回り、3人の頬は瞬く間に熟したリンゴのように真っ赤に染まった。リンはとろんとした酔い目を浮かべ、ヒルダもすっかり上機嫌で千鳥足になり、カガリはトロンとした目つきのまま、隣に座っていたアスランの服の胸元をぎゅっと掴んで引き寄せた。
「カガリ……? 大丈夫か、かなり顔が赤――」
アスランが心配して顔を覗き込んだ、その瞬間。
テキーラの強い酔いで完全に理性のタガが外れたカガリは、無意識のまま背伸びをするようにアスランの首に両腕を回し――んむっ、と正面からそのままアスランの唇を奪った!
「「「うおぉぉぉぉッ!? ほっぺじゃなくて口いったーーーッ!!?」」」
不意打ちすぎる濃密なストレートキスに、宴会場は大爆発!
当のアスランは脳の処理が完全に追いつかず、目は点になり、顔面は一瞬で爆発したように真っ赤になって完全フリーズ。
「ん……ふ……んむ……」
無意識のカガリはそのまま数秒間、アスランの唇に自分の唇をピッタリ重ねてキュッと吸い寄せてから、満足したように「……ん……ごちそうさま……にゃ……」と甘く呟き、そのままアスランの胸元へふにゃりと沈没した。
「ア、アスランーーーッ!? 息してるかアスランッ!!」
「カガリ代表、容赦ねぇぇぇッ!!」
ムウとディアッカが大爆笑で畳を叩いて転げ回り、完全に思考回路が焼き切れたアスランは、胸元でスースーと息を立てるカガリを抱えたまま、魂が口から抜け出たような顔で固まっていた。
そこへ、畳みかけるように次のくじが引かれる。
「「「王様だ〜れだ!!」」」
王様になったアーサーが「自分です! 命令! 『7番』と『10番』で、王道のポッキーゲームをやってもらいますッ!」と叫んだ。
名乗り出たのは、酔いが回ってきたルナマリア(7番)と、テキーラで出来上がったリン(10番)だった。
「あ、私だ! ルナちゃん、よろしくね……」
「ふふ、負けませんよ〜!」
一本のポッキーを挟み、両端からカリカリと顔を近づけていく二人。普段通りの可愛らしい罰ゲームとして、サクサクと短くなっていくポッキー。最後に「ちゅっ」と可愛らしく二人の柔らかい唇が触れ合った。
「「「おお〜っ! 可愛い!!」」」
「うぐぅ……恥ずかしい……!」と顔を赤くするリンと、「ふふっ、リンちゃん可愛い〜」と笑うルナマリア。平和で微笑ましい光景に盛り上がる宴会場。
だが、そのぬるい展開に黙っていなかった人物がいた。
テキーラの勢いと酒のノリですっかり出来上がっていたアグネスだ。
「「「王様だ〜れだ!!」」」
勢いよく割り箸を掲げたアグネスが、ニヤニヤと悪魔のような笑みを浮かべて立ち上がった!
「キーッ! さっきのポッキーゲーム、ぬるすぎるわよ! 照れて唇がちょこんと当たったくらいで満足してんじゃないわよーッ!」
「あ、アグネス……? 急にどうしたの……?」とキラが引き気味に尋ねるが、完全に酔っ払ったアグネスの爆走は止まらない。
「私の命令はこれよ! 『3番』『8番』『14番』! 今すぐここで、ただのキスじゃなくて……舌もバッチリ混ぜ合わせた情熱的な『3人ベロキス』をしなさいよーーッ!!」
「「「はあぁぁぁぁぁッ!???」」」
前代未聞の地獄命令に大広間が大爆発!
「冗談でしょ!? 女子同士で舌まで入れるなんて……!」とアーサーが鼻血を吹き出しそうになる中、運悪く(あるいは運良く)番号を引き当てて名乗り出たのは――
先ほどテキーラを一気飲みして理性がすっ飛んでいた、ルナマリア(3番)、リン(8番)、そしてメイド服のヒルダ(14番)の3人だった!
「えへへ〜……3人でキス〜?」と完全に出来上がったルナマリア。
「ちょっとアグネス……何を言い出すの……にゅふふ……」と千鳥足のリン。
「ガハハハ! いいねぇ! 男どもに見せつけてやろうじゃないか!」と豪快に笑うヒルダ。
「ちょ、ちょっとルナ!? ヒルダさん!? リン!? 正気に戻れって!!」と見守っていたシンが青ざめて叫ぶが、酒の勢いに任せた3人は一切止まらない!
ぎゅっと密着するように顔を寄せ合う3人の美女。
次の瞬間――んむっ、と3人の唇が同時に真っ正面から重なり合った!
「「「!!!!???」」」
周囲が完全に息を呑んだ。
ただの接触ではない。アグネスの命令通り、酔った勢いでタガが外れたルナマリアがリンとヒルダの首にしがみつき、熱気で火照ったリンも、ノリノリのヒルダも互いを激しく引き寄せ合う。
ちゅぷ、れろっ……と、湿った艶っぽい音が大広間にひそやかに響き渡る。
まさに舌と舌が濃厚に絡み合う、ガチすぎる3人ベロキス!
「ひええええっ!? 本当に舌入れてるよこの人たちーーーッ!?」とアーサーが大絶叫し、ディアッカとムウは「うおおおっ、激しすぎるだろ!!」と大興奮で転げ回り、アグネス本人も「ちょっと!? 私が言っておいてなんだけど凄まじすぎるわよーッ!?」と真っ赤になって叫んだ。
そして、その光景を真っ正面から目撃していたシンは――目が点になり、顔を爆発しそうなほど真っ赤にして嫉妬とショックでガタガタと全身を震わせていた。
「う、うそだろ……ッ! ルナ……ルナが……他の人とそんな激しく……ッ!」
嫉妬で怒髪天を突くシンの殺気。
やがて息が続いてぷはっと唇が離れた時、3人の唇の間には銀色の糸がうっすらと引き、リンは「はぁ……っ……熱い……」と熱い吐息を漏らしてふにゃりと崩れ落ちた。ヒルダも「ハハッ! なかなか濃密だったねぇ!」と息を荒らげている。
そして、酔っ払ってトロトロの目をしたルナマリアが、嫉妬とショックで顔を真っ赤にして自分を凝視しているシンの視線に気づいた。
「ふふ……何? シン……嫉妬したの……?」
「なっ……!? 嫉妬とかじゃなくて、ルナが急にあんな……んむっ!?」
話の途中で、ルナマリアがシンの首に力強く腕を絡めつけ、強引にシンの唇を奪った!
今度はシンを巻き込んでの、逃げ場のない情熱的なベロキス!
「「「ギャぁぁぁぁぁッ!! シンとルナもやったあぁぁぁっ!!」」」
ディアッカとムウが大騒ぎする中、頭が真っ白になったシンはルナマリアの激しいキスに翻弄され、完全にノックアウトされて顔から火を吹きそうになりながら崩れ落ちた。
精神ダメージから復活したばかりのアスランも「シン、貴様ルナマリアと宴会で何をやっているんだ!」と赤面しながら怒鳴るが、隣で未だに甘えてくるカガリに「ん……アスラン……うるさい……にゃ……」と抱きつかれて再び撃沈。
そして――そのすぐ横で酔い潰れかけていたリンは、自分の目と鼻の先で繰り広げられたシンとルナマリアの激しすぎるキスシーンを直視してしまい、顔がゆでダコどころか真っ赤に破裂しそうなほどの赤面状態に陥っていた!
「う……うわぁぁぁぁッ!! 近い……近いし激しい……ッ!(猛赤面)」
両手で顔を覆い隠しながらも、恥ずかしさと興奮で指の隙間から目を丸くして覗き込むリン。
その後も嵐のようなゲームは続き、今度はアーサーの命令でメイド服のキラとリンがキスさせられそうになる事態が発生。
「あ、あら……キラ? リンさん……? ふふふ……にゃ♪」
ラクスの背後からドス黒いオーラが立ち上り、キラは「殺される……! 僕、絶対に殺される……にゃ!」と半狂乱に。直前で嫉妬に狂ったアグネスが「キーッ! 私の目の前で何やってんのよ!」と間に割り込んできたことで、奇跡的に事故は回避された。
事故回避のドタバタが収まり、宴会はいよいよ最終局面へ。
「「「王様だ〜れだ!!」」」
最後に王様を引き当てたのは、テキーラと怒涛のキスの熱狂から少し持ち直した(しかし顔はまだ赤いまんまの)リンだった。
「ふふふ……最後の命令よ! 『4番』が『8番』を姫抱っこして、そのまま大広間を一周しながら『お前が世界で一番可愛いよ!』と大声で叫ぶこと!」
「最強の地獄命令きたーっ!」と湧き上がる中、割り箸を見てフリーズしたのはアスラン(4番)と、顔を真っ赤にしたカガリ(8番)だった。
「「「神引ききたあぁぁぁぁっ!!」」」
逃げようとするカガリを、真面目すぎるアスランがひょいっと鮮やかに姫抱っこで持ち上げる。
「失礼する、カガリ!」
「あ、アスランっ……バカ……にゃ!」
さっき無意識に唇を奪われた余韻も残るアスランは、耳まで真っ赤にしながらカガリを抱えて広間を一周し、中央で大音量で宣言した。
「カガリ! お前が世界で一番可愛い!!」
「「「ギャぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」」」
絶叫のような歓声と冷やかしの嵐が巻き起こり、カガリはアスランの胸元に完全沈没。甘すぎるオーラと共に、伝説の王様ゲームは幕を閉じたのだった。
◇
深夜。
過激すぎるゲームが終わり、一同は畳の上で横になって酔いを覚ましていた。
その片隅で、テキーラを一気飲みし、激しいキスゲームまで繰り広げたリンとヒルダが、完全に酔いつぶれて寝転がっていた。
「う……ん……ふふ……ルナちゃん、ヒルダさん……すごかったぁ……」
ぽかぽかと火照った頬は熟したリンゴのように赤く、乱れた私服の襟元からは、白くしなやかな首筋や鎖骨が露わになっている。普段の凛々しい整備士の姿とは打って変わった、無防備でどこか艶っぽいリンの姿。
介抱しようと近づいたシンやアスランが、思わずドキッとして目を丸くし、視線を泳がせた。
「お、おいシン……あまり凝視するな、失礼だぞ……(チラッ)」
「アスランだって見てんじゃねぇか! っていうかリン、色っぽすぎだろ……酒弱いくせに無理すんなよな……」
「うー……二人ともうるさい……にゃ……」
リンがカガリの語尾を真似してふにゃりと甘えるように笑うと、シンとアスランは「ぶふっ」と顔を真っ赤にして勢いよく背を向けた。
「ふふ、リンちゃんもヒルダさんも、本当にお疲れ様ね」
「ええ。命がけの戦いを乗り越えて……こうしてくだらないことで笑い合える。最高の夜になったわね……にゃ♪」
ルナマリアとマリューが苦笑しながら寄り添い、優しくリンとヒルダの肩にケットをかけてやる。
「おい、カガリ……お前、いつまでその語尾なんだ……?」アスランが呆れ半分で尋ねると、カガリは顔を真っ赤にして明後日の方向を向いた。
「う、うるさいぞアスラン! 外し時を完全に見失ったんだよ……にゃッ!」
「「「まだ続いてるーーッ!?」」」
最後の最後まで笑いに包まれる大広間。
窓の外には、静かな月光が注いでいた。
酔い潰れてすやすやと眠るリンやヒルダ、ラクスの膝の上で安心したように息をつくキラ、照れながらも寄り添うアスランとカガリ、そして幸せそうに爆睡するムウやディアッカたち。
かつて世界を背負って傷つき合ってきた者たちが、今夜はただの若者として、心から笑い、はしゃぎ、絆を確かめ合った。
かけがえのない平和の温もりと、みんなの笑顔に包まれながら、極秘別邸の長い夜は静かに、そして幸せに更けていったのだった。
コノエ艦長は、若者が遊ぶものと言いながら参加せず、ハインラインさんは参加したかったそうだが、部下がミスをしたせいで徹夜になった、ようで、ノイマンと、ミリアリアは、忙しいからとキャンセルしたよう、