カガリたちがそれぞれの目的のために拠点を発った後、静まり返った岩山の格納庫には、砂にまみれ、無惨に中破したストライカーブラストと、それを取り囲むレジスタンス「明けの砂漠」の整備兵たちの熱気が渦巻いていました。
リンはまだ足取りがおぼつかないものの、医務室を抜け出し、愛機の元へとやってきました。そこには、カガリからリンの正体と「大切な仲間」であることを聞き及んだ整備兵たちが、不慣れな最新鋭機を前に必死に知恵を絞っている光景がありました。
【AM 08:00:
「時間がないんです。明日の朝には、みんなのところへ……!」
リンはレンチを握り、油まみれになりながら指示を出します。かつてキラに教わったOSの書き換え技術とデバイスの最適化プロトコル。リンはその記憶を必死に手繰り寄せ、レジスタンスの端末に打ち込んでいきました。
砂漠の砂による負荷を軽減するOS調整と同時に、墜落の衝撃で歪んだフレームを強引に補生していきます。
【PM 01:00
午後、機体の形状が劇的に変化し始めます。中破した肩部には、廃材を組み合わせて急造されたツギハギのサブアームが接続されました。
さらに、拠点に保管されていた大型のシールド2枚をサブアームへマウント。両腕のハードポイントにもそれぞれ大型シールドを追加し、計4枚の巨大な盾に守られた「動く要塞」へと変貌を遂げます。
【PM 06:00:
「このままの推力じゃ、アークエンジェルの加速についていけない……」
リンは燃料噴射のリミッターを解除し、廃棄パーツの中から回収した大型の増加スラスターをバックパックと脚部へ増設。重武装を強引に押し出す爆発的な推進力を確保します。
同時に、二日前に自分が血と絶望にまみれて閉じこもっていた、剥き出しのコックピットハッチへ、厚手の防弾プレートを幾重にも溶接しました。
「もう、あんな風に中を汚したりしない。……私は、壊れない」
それは、弱かった自分との決別を告げる追加装甲でした。
【PM 09:00:
夜、以前の戦闘でレジスタンスがバゥから剥ぎ取って隠し持っていた、大出力のレールガンを右腕のコネクタへ直接接続します。キラに教わったインターフェースの調整を施し、デバイスを強制リンク。漆黒の機体に、一撃必殺の槍が備わりました。
【AM 05:00:
出撃直前、最後の問題が発生します。ツインアイのメインカメラが完全に焼き付いていたのです。しかしリンは慌てず、デバイスの深層階層へアクセス。
「メインカメラ、モノアイモードへ移行……!」
キラの管理権限バイパスを駆使し、視覚センサーを中央一極へ統合。頭部のスリットで、鋭いピンク色のモノアイがギラリと光を放ち、砂漠の闇を射抜きました。
【AM 06:00:
太陽が昇る頃、そこにはかつての洗練された姿ではない、異形にして最強の守護者が立っていました。
機体名:ストライカーブラスト護衛仕様
「リン・ベルナル、ストライカーブラスト……行きます!!」
4枚の盾を掲げ、モノアイから残像を引きながら、新生した愛機は爆風と共に跳躍しました。その瞳が見据えるのは、自分を信じて待っている仲間たちがいる、アークエンジェルの姿だけでした。