※この作品はR-18です。

強化人間がSEEDの世界で活躍します   作:ナラティブ

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20話

激しい戦闘から丸一日。広大な紅海をアークエンジェルとスカイグラスパーが不眠不休で捜索し続け、ついに孤島でカガリが発見されました。

救助艇がアークエンジェルの格納庫へと戻り、ハッチが開いた瞬間、そこに立っていたのは少し擦り傷をつくりながらも、間違いなく自分の足でしっかりと立つカガリの姿でした。

「カガリ……っ!!」

誰よりも早く駆け寄ったのは、リンでした。

パイロットスーツのままタラップを飛び降り、無我夢中でカガリの体を強く抱きしめました。盾もレールガンも無い素体のストライカーブラストで、試作サーベルの限界の数十秒に命を懸けて戦い抜き、ずっと張り詰めていた緊張の糸が、カガリの温もりを感じた瞬間に一気に切れたのです。

「痛っ……おい、リン!? 苦しいって、お前……っ」

「よかった……! 本当によかった……! 死んじゃったかと思って、私、本当に怖くて……っ!」

カガリは一瞬驚いたように目を見開きましたが、リンの腕に込められた必死の力と、バイザー越しに溢れる涙に気づくと、少し照れくさそうに、けれど優しくリンの背中をポンポンと叩きました。アークエンジェルの格納庫に重苦しい沈黙が広がる中、キラは拳をぎゅっと握りしめ、カガリから告げられた名前を何度も反芻していました。

「アスランが、僕を……心配、してた……?」

あの日、ヘリオポリスで敵と味方に分かれ、今はザフトの最新鋭機イージスのパイロットとして自分たちの前に立ちはだかる親友。そのアスランが、今も自分を想ってくれているという事実は、戦う理由を見失いかけていたキラの心を激しく揺さぶっていました。

「ああ。あいつは本当にお前のことが分からなくて、苦しんでいるみたいだったぞ」

カガリはそう言うと、格納庫の床に視線を落とし、ぽつりと呟きました。

「……ナチュラルもコーディネイターも関係ない。あいつだって、ただの傷ついた一人の人間だった。なのに、どうして私たちはこんな風に殺し合わなきゃならないんだ……」

カガリの言葉は、この紅海の死闘で敵を討ち取ってきたばかりの格納庫の空気を、より一層重くしていきました。

リンは、自分のパイロットスーツの袖を掴んだままのカガリの肩に、そっと手を置きました。その手の温もりに、カガリはハッとして顔を上げます。

「カガリ、今はまず体を休めて。丸一日、あの島で大変だったんだから」

リンの優しい声に、カガリは少しはにかんだような笑みを浮かべ、「ああ、そうだな……ありがとよ、リン」と言って、迎えにきた医療スタッフと共に医務室へと歩き出しました。

残された格納庫には、リンと、まだ呆然と立ち尽くしているキラの二人だけが残されました。

目の前には、コックピットハッチを開けたままのストライクガンダム。そして少し離れた場所には、右腕のレールガンも左腕のシールドも失い、エターナルパックのスラスターから薄い陽炎を立ち昇らせている、満身創痍の漆黒の「素体」――ストライカーブラストが佇んでいます。

「キラ君……」

リンが静かに名前を呼ぶと、キラはゆっくりと振り返りました。その瞳には、親友と戦わなければならない過酷な現実に耐えかねるような、深い苦悩が滲んでいます。

「リンさん……。僕は、どうすればいいんだろう。アスランは僕を心配してくれてる。なのに僕は、アークエンジェルのみんなを守るために、またあいつと戦わなきゃいけないのかな……」

今にも折れてしまいそうなキラの言葉。

リンは、自分の腰のホルダーへと視線を落としました。そこには、あのゾノの重装甲をドロドロに融解させ、数十秒の限界と引き換えに自分たちを救ってくれた、試作ビームサーベルの冷え切った柄が収まっています。

武器も盾も無い、この剥き出しの両腕。

それでも、暴走の引き金になる頭部のモノアイセンサーは、キラがかけてくれた頑強なロックのおかげで、一度も目覚めることなく静かに眠り続けている。

「……キラ君が迷うのは、当然だよ。あのアスランって人が、キラ君にとって本当に大切な友達だから」

リンは一歩、キラへと近づきました。新調されたツインアイのログが正常なグリーンを灯し続けるストライカーブラストを見上げながら、真っ直ぐな声をキラに届けます。

「でもね、キラ君がここでみんなを守ってくれたから、カガリも、アークエンジェルの皆も、そして私も……こうして生きてる。キラ君が戦ってくれたことは、絶対に間違いなんかじゃないよ」

「リンさん……」

「だから、一人で苦しまないで。キラ君が私の暴走を止めてくれたみたいに、今度は私が、この機体と一緒にキラ君の盾になるから」

リンの言葉に、キラはハッと息を呑み、それから何度も涙を堪えるように瞬きをしました。まだ答えは見つからないけれど、リンの言葉が、彼の張り詰めっぱなしだった心を少しだけ解きほぐしていくのが分かりました。

「うん……ありがとう、リンさん。僕、もう少し考えてみるよ……」

キラは小さく微笑むと、自分の心を整理するように、静かに格納庫を後にしました。

一人残された格納庫で、リンは愛機の漆黒の装甲にそっと触れました。

アスランの存在を知ったキラの迷い。そして、これからさらに激しさを増していくであろうザフトとの戦い。

レールガンもシールドも無い、この素体の状態のままで、どこまで戦い抜けるかは分からない。けれど、リンの胸にある「みんなを守る」という決意の炎は、紅海の荒波よりも激しく、静かに燃え上がっていました。

「バカ言え、あんなので私が死ぬかよ。心配かけてすまなかったな、リン。お前、ボロボロの機体でアークエンジェルを守ってくれたんだろ? ありがとな」

リンがゆっくりと体を離すと、その後ろから、ずっと不安を押し殺していたキラが、祈るような面持ちで一歩前へと進み出ました。

「カガリ……無事で、本当によかった……」

キラの少し震える声を聞き、カガリはリンの肩越しにキラを真っ直ぐに見つめました。そして、少し複雑な、どこか考え込むような表情を浮かべながら、孤島での出来事をキラに報告し始めたのです。

「ああ、キラ。心配かけたな。……だが、実はあの島で、ザフトのパイロットに会ったんだ」

「え……ザフトの……?」

キラの表情が強張ります。カガリはそのパイロットの名前を、はっきりと口にしました。

「アスラン・ザラ、だ。イージスのパイロットだよ」

「――ッ! アスラン……!?」

キラの瞳が大きく見開かれ、息が止まったように体が硬直しました。

カガリは、あの島でアスランと銃を向け合い、夜を明かし、そしてお互いに生きて帰るために交わした対話を、一つ一つキラに伝えていきます。

「あいつは……お前と同じだった。なんでコーディネイターのお前が地球軍にいるんだって、あいつ、本気でお前のことを心配してたぞ」

「アスランが、僕を……」

カガリの言葉は、戦うことに傷つき、迷い続けていたキラの心に、静かに、けれど深く突き刺さっていきました。

その様子を、リンは少し離れた場所から静かに見守っていました。

自分の腰のホルダーに戻された、あの数十秒しか持たなかった試作品のビームサーベルの柄にそっと触れながら、リンは胸の奥で誓います。

頭部の奥で眠るバックアップ用のモノアイを暴走させることなく、この剥き出しの両腕で、今度こそキラを、そしてアークエンジェルの皆を最後まで守り抜いてみせる、と。アークエンジェルの格納庫に重苦しい沈黙が広がる中、キラは拳をぎゅっと握りしめ、カガリから告げられた名前を何度も反芻していました。

「アスランが、僕を……心配、してた……?」

あの日、ヘリオポリスで敵と味方に分かれ、今はザフトの最新鋭機イージスのパイロットとして自分たちの前に立ちはだかる親友。そのアスランが、今も自分を想ってくれているという事実は、戦う理由を見失いかけていたキラの心を激しく揺さぶっていました。

「ああ。あいつは本当にお前のことが分からなくて、苦しんでいるみたいだったぞ」

カガリはそう言うと、格納庫の床に視線を落とし、ぽつりと呟きました。

「……ナチュラルもコーディネイターも関係ない。あいつだって、ただの傷ついた一人の人間だった。なのに、どうして私たちはこんな風に殺し合わなきゃならないんだ……」

カガリの言葉は、この紅海の死闘で敵を討ち取ってきたばかりの格納庫の空気を、より一層重くしていきました。

リンは、自分のパイロットスーツの袖を掴んだままのカガリの肩に、そっと手を置きました。その手の温もりに、カガリはハッとして顔を上げます。

「カガリ、今はまず体を休めて。丸一日、あの島で大変だったんだから」

リンの優しい声に、カガリは少しはにかんだような笑みを浮かべ、「ああ、そうだな……ありがとよ、リン」と言って、迎えにきた医療スタッフと共に医務室へと歩き出しました。

残された格納庫には、リンと、まだ呆然と立ち尽くしているキラの二人だけが残されました。

目の前には、コックピットハッチを開けたままのストライクガンダム。そして少し離れた場所には、右腕のレールガンも左腕のシールドも失い、エターナルパックのスラスターから薄い陽炎を立ち昇らせている、満身創痍の漆黒の「素体」――ストライカーブラストが佇んでいます。

「キラ君……」

リンが静かに名前を呼ぶと、キラはゆっくりと振り返りました。その瞳には、親友と戦わなければならない過酷な現実に耐えかねるような、深い苦悩が滲んでいます。

「リンさん……。僕は、どうすればいいんだろう。アスランは僕を心配してくれてる。なのに僕は、アークエンジェルのみんなを守るために、またあいつと戦わなきゃいけないのかな……」

今にも折れてしまいそうなキラの言葉。

リンは、自分の腰のホルダーへと視線を落としました。そこには、あのゾノの重装甲をドロドロに融解させ、数十秒の限界と引き換えに自分たちを救ってくれた、試作ビームサーベルの冷え切った柄が収まっています。

武器も盾も無い、この剥き出しの両腕。

それでも、暴走の引き金になる頭部のモノアイセンサーは、キラがかけてくれた頑強なロックのおかげで、一度も目覚めることなく静かに眠り続けている。

「……キラ君が迷うのは、当然だよ。あのアスランって人が、キラ君にとって本当に大切な友達だから」

リンは一歩、キラへと近づきました。新調されたツインアイのログが正常なグリーンを灯し続けるストライカーブラストを見上げながら、真っ直ぐな声をキラに届けます。

「でもね、キラ君がここでみんなを守ってくれたから、カガリも、アークエンジェルの皆も、そして私も……こうして生きてる。キラ君が戦ってくれたことは、絶対に間違いなんかじゃないよ」

「リンさん……」

「だから、一人で苦しまないで。キラ君が私の暴走を止めてくれたみたいに、今度は私が、この機体と一緒にキラ君の盾になるから」

リンの言葉に、キラはハッと息を呑み、それから何度も涙を堪えるように瞬きをしました。まだ答えは見つからないけれど、リンの言葉が、彼の張り詰めっぱなしだった心を少しだけ解きほぐしていくのが分かりました。

「うん……ありがとう、リンさん。僕、もう少し考えてみるよ……」

キラは小さく微笑むと、自分の心を整理するように、静かに格納庫を後にしました。

一人残された格納庫で、リンは愛機の漆黒の装甲にそっと触れました。

アスランの存在を知ったキラの迷い。そして、これからさらに激しさを増していくであろうザフトとの戦い。

レールガンもシールドも無い、この素体の状態のままで、どこまで戦い抜けるかは分からない。けれど、リンの胸にある「みんなを守る」という決意の炎は、紅海の荒波よりも激しく、静かに燃え上がっていました。

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