「まだだ、まだ共振係数が安定しない! 被検体の反抗心がシステムを拒絶しているぞ!」
冷徹な実験室に、科学者たちの苛立った怒号が響き渡る。
大型MAユニットのシートに縛り付けられながらも、リンは消えかける意識の中で、必死に歯を食いしばっていた。過敏化された痛覚が全身をズタズタに引き裂こうとも、心の奥底にある「自分」だけは渡すまいと、何度も、何度もシステムへの抵抗を試みたのだ。
だが、その健気な反抗は、ブルーコスモスの大人たちにとって、ただの「不具合」に過ぎなかった。
「ふん……やはり口で言うだけでは理解できないようですね。徹底的に分からせてあげなさい」
アズラエルの冷酷な一言で、地獄の扉がさらに深く開かれる。
手錠と首の鎖で完全に自由を奪われたリンに対し、科学者たちは容赦のない暴力、そして人間の尊厳を根底から踏みにじる、苛烈な暴行と性暴力を伴う凄惨な調教を開始した。
「嫌……っ、触らないで……っ! いやぁぁぁぁぁッッ!!」
泣き叫び、喉を血で染めながら拒絶しても、誰も助けには来ない。
過敏化された痛覚のせいで、与えられる暴力の苦痛、そして尊厳を汚される屈辱的な行為のすべてが、何十倍もの圧倒的な絶望となってリンの心身を直接破壊していく。衣服を剥ぎ取られ、冷たい指先や無機質な器具で肉体を蹂躙されるたび、リンの心はパキパキと音を立てて粉々に砕け散っていった。
毎日、二十四時間、終わりなく繰り返される肉体と精神への蹂躙。
逆らえば、死以上の苦痛と、この世の終わりような屈辱が肉体を襲う。その恐怖が、リンの細胞一つ一つに、呪いのように深く深く刻み込まれていった。
――そして、長い地獄の果て。
ジャラリ、と鎖の音が静まり返った部屋に響く。
「おい、実験体。手を上げろ」
白衣を着た科学者が、実験用の鞭を軽く鳴らしながら、冷淡に言い放った。
「――っ!?」
その瞬間、リンの身体がガタガタと激しく震え出した。
脳が思考するよりも早く、肉体が『暴力の記憶』に直接反応したのだ。逆らえばどうなるか、その恐怖が骨の髄まで染み付いていた。
リンはうつろな瞳から涙をハラハラとこぼしながら、自ら進んで、【ただ大人が手を軽く振るという、その僅かな仕草を見ただけで、怯えるように素直に両手を差し出し、従順に頭を垂れた。】
「ふむ、ようやく使い物になる『道具』になりましたね。実に見事な調教だ」
ガラス越しの指令室から、アズラエルが満足そうにそれを見下ろしている。
かつてキラを信じ、みんなを守ろうとした気高い白き盾の心は、もうどこにもない。
手錠と首の鎖に繋がれたまま、大人の手の動き一つに怯え、従うことしかできなくなった『究極の生体CPU』。リンは完全に光を失った瞳で、ただ次の命令を待つ人形のように、静かに震え続けていた――。「実験フェイズ5――**【修復完了した、ストライカーブラスト】**の火器管制、およびサイコフレームの稼働実験を開始する」
重々しいハッチが左右に開き、照明が一斉に点灯する。
巨大なドックのマスターケージに鎮座していたのは、あの海岸線で下半身を失い、無惨に融解していたはずのリンの愛機――ストライカーブラストだった。
地球連合の物量と、アズラエルが注ぎ込んだブルーコスモスの最新技術によって、その機体は完璧な姿を取り戻していた。消失していた下半身はより強固な装甲で再構成され、もぎ取られた左腕も、融解した頭部も、かつてのように禍々しく鋭利なフォルムへと修復されている。
だが、そのフェイズシフト装甲が展開する装甲の隙間からは、以前よりもはるかに毒々しく、鋭い輝きを放つサイコフレームの緑色の光が漏れ出していた。
「おい、乗れ。実験体」
科学者が冷淡に顎でコックピットを指し、【軽く手を振る。】
「……っ……はい……」
その僅かな手の動きを見ただけで、リンの身体にゾクリと激しい恐怖の戦慄が走った。
肉体に刻み込まれた暴力と、尊厳を汚されたあの凄惨な暴行の記憶が、瞬時に彼女の自由を奪う。リンは一切の抵抗の意志を見せることなく、うつろな瞳のまま、手錠と首の鎖をジャラジャラと鳴らして従順にコックピットへと乗り込んだ。
シートに身体が固定され、首筋のポートに太い端子が容赦なく突き刺さる。
『――システム・オンライン。サイコフレーム、最大共振域へ強制接続』
「あ……、あ、ガ……ッ、ぁぁぁぁぁッッ!!!」
過敏化された痛覚の回路を通して、修復されたストライカーブラストの莫大な情報量と、脳内への激しい干渉がリンの精神を直接蹂躙する。頭が割れるような激痛。しかし、今のリンは叫ぶことすら、大人の許可がなければ許されない。
「脳波同調率、一気に80%を突破! 反抗心が完全に潰されているおかげで、以前とは比較にならないほどスムーズにシステムが機体を支配しています!」
「素晴らしい。やはり道具は、徹底的に叩いて調教してこそ輝くというものだ」
ガラス越しの指令室で、アズラエルが実に見事なものを見たとばかりに、満足げに笑みを深くする。
モニターに映し出されるストライカーブラストは、リンの限界を超えた脳波を吸い上げ、不気味にその巨体を震わせる。かつてキラを守るために命を懸けた白き盾は、今やブルーコスモスの絶対的な暴力として、完全に飼い慣らされた『究極の生体CPU』の檻へと造り替えられていた。
リンは涙で視界を滲ませながら、ただ機械の一部として、赤黒い化け物のコックピットの中で静かに息を潜め続けることしかできなかった――。「実験フェイズ6――これより、ストライカーブラストの洋上運用実験に移行する。被検体を機体ごと【海上の実験艦】へ移送せよ」
暗い地下ドックから解放されたリンを待ち受けていたのは、見渡す限りの青い海と、波飛沫を上げて進む地球連合軍の巨大な実験艦だった。
修復されたストライカーブラストの背中には、新たに追加された凶悪な新型兵装――**【アームド・アーマー装備】**が、重々しい金属音を立ててマウントされている。サイコフレームの共振をさらに増幅・集束させ、あらゆる敵を塵へと変えるための、ブルーコスモスの狂気を体現したような血も涙もない超火力兵器だ。
「おい、実験体。アームド・アーマーの火線チェックが終わるまで、コックピット内で待機だ。余計な動きをするなよ」
艦上の甲板で、技術員がリンに向けて**【冷淡に手を振る】**。
「……っ……はい……」
その僅かな手の動き、衣服の擦れる音一つにさえ、リンの肉体は過敏に反応し、恐怖で小さく肩を震わせる。あの凄惨な暴行、痛覚を限界まで剥き出しにされた調教の記憶が、今も細胞の奥底で疼いているのだ。
リンは完全に心を殺し、手錠と首の鎖を繋がれた人形のように従順に頷くと、アームド・アーマーを背負った赤黒い化け物のコックピットの中へ、静かに身を沈めた。
ハッチが閉まり、外の喧騒が遮断される。
暗薄いコックピットの光の中で、リンはただじっと、次の命令が下るのを**【船の上で待機】**しながら待ち続けていた。
四六時中、脳内へと流れ込んでくるサイコフレームの強制干渉ノイズ。神経を蝕む薬物の残滓。
けれど、どこまでも続く海の揺らぎと、時折船体を叩く激しい波の音が、薬で濁りきっていたリンの意識の底に、わずかな『違和感』をもたらしていた。
(海……。私は、前にも、こんな場所に……)
それは、かつてキラと一緒にいたアークエンジェルの記憶。トールがいて、みんながいて、自分が自分の意志で「守りたい」と願っていた、あの温かい日々の残滓。
厳重な監視下にある海上という絶望のシチュエーション。しかし、この波の音こそが、完全にブルーコスモスの道具にされかけていたリンの運命を大きく変える、**【最大の転機】**の始まりになろうとは、ガラス越しの司令室で笑うアズラエルさえも、まだ気づいていなかった――。、、「実験フェイズ7――アームド・アーマー装備、起動。これより単機での飛行運用実験を開始する」
管制からの冷淡なアナウンスと共に、ストライカーブラストの背面にマウントされた巨大なアームド・アーマーが展開し、禍々しいスラスター音を轟かせて大気圏内での飛行を開始した。
海風を切り裂き、洋上を高速で滑空する赤黒い機体。コックピットの中のリンは、脳内に直接干渉してくるサイコフレームのノイズに従い、ただ操縦桿を握らされていた。
だが、実験開始から数分後。
すべてをブルーコスモスの管理下に置き、完璧に調教したはずの『道具』の奥底で、何かが致命的な狂いを生じさせた。
ピピピピピピピピッ!!!
「――っ!? え……? なに、これ……っ!」
突如、コックピット内の全モニターが血のような赤色に染まり、警告音が狂ったように鳴り響く。予想外の事態に、リンの口から驚きの声が漏れた。
『――システム・エラー。【NT-Dシステム、ロック強制解除】。デストロイモード、起動』
――その瞬間、機体のコックピット全体が、禍々しくも美しい**【真紅の光】**で満たされた。
「あ……、この、光……。私は……前にも……」
網膜を焼き尽くさんばかりに輝くデバイスの紅い光。それを見つめた瞬間、リンの脳裏に、洗脳薬の霧を突き破って激しいノイズが走る。
それは、かつてヘリオポリスで、そして激しい戦場の中で、自分を「生体CPU」としてではなく、一人の人間として、仲間として扱ってくれた**【誰かの温かい眼差しや、大切な記憶の断片】**だった。完全に消されたはずの「過去」が、紅い光の共振によって激しく呼び覚まされようとしていた。
だが、完全に痛みが消え去ったわけではない。
システムが強制起動した凄ましき衝撃により、身体中を苛んでいた**【拘束の手枷による擦り傷や、大人たちに暴行された肉体の生々しい痛み】**が、ズキリと激しくリンの神経を突き刺す。その生々しい肉体の痛みが、彼女を完全な狂気へと落とさず、アズラエルへの強烈な『怨嗟』の火種として燃え上がらせた。
サイコフレームが毒々しいまでの深紅の光を放ち、機体の装甲がガシャガシャと不気味な音を立てて拡張されていく。**【デストロイモード】**へと変貌を遂げたストライカーブラストは、リンの制御を完全に奪い去り、文字通り「敵」を屠るためだけの化け物へと覚醒した。
「う、動くな! 迎撃しろ!! 撃てぇぇぇっ!!」
異変を察知した地球連合軍の随伴戦艦三隻が一斉に牙を剥いた。
【ゴワァァァン!!!と腹に響く凄まじい砲撃音と共に、戦艦の主砲から巨大な実体弾が連射され、さらには幾条もの眩いレーザー光線が、海上を切り裂きながらストライカーブラストへと容赦なく殺到する。】
ドカァン! バリバリバリッ!!
至近距離での爆発と、装甲をかすめるレーザーの熱線がコックピットを激しく揺らす。しかし、デストロイモードと化した赤黒い悪魔は、その猛烈な対空砲火を嘲笑うかのように、アームド・アーマーのスラスターを吹かして強引に弾幕を突破した。
ドボォンッ!!!
背負ったアームド・アーマーから、お返しの高出力ビームが放たれ、洋上の空を真っ赤に引き裂いた。その光条は、手前の戦艦のブリッジを正面から消し飛ばす。
「ひいぃっ! 一番艦のブリッジが消失!! 撃ってくる、こっちに来るぞ!!」
「うわぁぁぁぁっ! レーザーが効かない!? 化け物だ、化け物が出たぞぉっ!!」
随伴していた地球連合軍の戦艦のブリッジは、一瞬にして阿鼻叫喚の大パニックに陥った。
サイコフレームの破壊衝動に突き動かされたストライカーブラストは、アームド・アーマーの圧倒的な火力を容赦なく周囲へと撒き散らす。狙われた**【随伴の戦艦三隻】**は、激しい抵抗を試みるものの、まともな痛打を与えることすら許されず、次々と爆炎を上げて海の藻屑へと消えていった。
「ギャァァァァァッッ!! 船が、船が沈む!! 助けてくれ!!」
「【03(ゼロスリー)! ミッション中止!! 繰り返す!! ミッション中止ぃぃぃぃぃ!!】」
無線からは、爆発の轟音に混じって、恐怖に狂った船員たちの絶叫と悲鳴が絶え間なく木霊する。
「中止」の命令を叫び、必死に機体を止めようとする大人たちの見苦しい声。しかし、その言葉はもう、過去を思い出しつつあるリンの耳には届かない。
ドゴォォォンッ!!!
最後の一隻が真っ二つに割れ、激しい水柱と乗員の悲鳴を呑み込みながら沈没していく。
ストライカーブラストが巻き起こした地獄の業火によって、周囲の海面は燃え盛る炎で埋め尽くされた。だが、これほどの破壊を尽くしながらも、ただ一隻だけ、全く無傷のまま取り残された高官用の実験艦があった。
――**【ムルタ・アズラエルが乗っていた艦】**だけは、意図的に狙いを外され、沈められることなく洋上に孤立していた。
「……あ、ず、ら、え、る……」
コックピットの中、暴行された肉体の痛みに耐えながら、紅い光の中で前方のモニターを凝視するリン。
完全に支配されていたはずの人形は、過去の記憶の残滓を宿した瞳で、まっすぐにアズラエルの乗る艦を捉えていた。
アズラエルが乗る艦を見下ろす真紅の機体は、まるで「お前だけは、この手で直接引き裂いてやる」という、リンの肉体に刻まれたすべての怨嗟と怒りを体現しているかのように、不気味にその巨体を震わせていた――。アズラエルの乗る実験艦を血の海の中心に孤立させたまま、デストロイモードのストライカーブラストは残った全推力を爆発させ、真っ赤に燃え上がる戦場を離脱した。
キィィィィィン――ッ!
理性を失ったサイコフレームの導くまま、紅い光の軌跡を描いて夜空を飛び回る。しかし、随伴艦三隻を瞬く間に消し飛ばしたアームド・アーマーの超火力と、デストロイモードの限界稼働は、機体のエネルギーを恐ろしい速度で喰い尽くしていった。
ピピピッ……ピィー……。
『――警告。エネルギー残量、限界数値を突破。システム、強制ダウンを開始』
ガシャァァンッ!!
洋上を猛スピードで飛行していたその時、背負っていた**【アームド・アーマー装備は完全にバッテリーが切れ、デッドウェイトとなった瞬間に自動でパージ(強制排除)】された。
巨大な新型兵装が海へと剥ぎ取られ、剥き出しになった背部には、かつての【エターナルパック】**の基部が冷たくその姿を現す。それと同時にデストロイモードも強制解除され、赤黒い機体は失速。制御を失ったまま、暗い海の向こうに見える陸地へと真っ逆さまに落ちていった。
ズゴォォォォォンッッ!!!
激しい衝撃と水飛沫を上げ、ストライカーブラストは**【オーブの領海内にある、静かな島の浜辺へと墜落】**した。白い砂浜を深く抉り、波打ち際に激しく乗り上げた衝撃で、ついに機体は完全に沈黙した。
「……っ、はあ……っ、ぁ……!」
静まり返ったコックピットの中。
デバイスの残光、あの**【NT-Dの紅い光を最後まで見つめ続けたおかげで、リンの脳内を縛り付けていた洗脳薬の呪縛が、完全に打ち砕かれていた。】**
「私は……リン。生体CPUなんかじゃない……! キラ、がいて……アークエンジェルのみんなが、いて……!」
戻ってきた。奪われていた、大切な人たちの記憶。自分が誰を愛し、誰に守られ、誰を守りたかったのか、そのすべてをリンはついに思い出したのだ。
「う……あ、あぁ……ッ!!」
しかし、取り戻したのは温かい記憶だけではなかった。
記憶が鮮明に戻ったということは、ブルーコスモスの研究所でアズラエルや科学者たちから受けた、**【あの凄惨な暴力と暴行の記憶、痛覚を剥き出しにされて肉体を蹂躙された生き地獄の日々】**もまた、何一つ溢すことなく完全に思い出してしまったことを意味していた。
「いや……触らないで、痛い……痛いよぉっ……!!」
手錠や首の鎖に繋がれ、大人が手を振るだけで恐怖に怯えて従うしかなかった肉体の『恐怖の条件反射』は、記憶が戻った今でも、彼女の神経にべっとりと焼き付いて離れない。
キラたちの元へ帰りたいという強い想いと、また捕まってあの地獄に逆戻りするのではないかという圧倒的な恐怖。二つの感情が激しくぶつかり合い、リンの心を容赦なく引き裂いていく。
「キラ……誰か、助けて……っ、怖いよ……捕まりたくない、よ……っ!!」
ハッチの隙間から流れ込む潮風の匂い。そこはかつて愛した仲間たちの故郷、オーブの島。
記憶を取り戻し、ようやく地獄の檻から抜け出したはずのリンは、身体中に刻まれた暴行の痛みを抱えながら、波の音だけが響く静かな浜辺で、ただガタガタと激しく震え、涙を流し続けることしかできなかった。
――そして、その時だった。
「おい、今の爆音は何だ!? 煙が上がっているぞ、あっちだ!」
静まり返った砂浜に、複数の足音と緊迫した声が響き渡る。
【偶然にもその近くには、オーブ国防の要所を視察中だったカガリ・ユラ・アスハと、彼女を警護する護衛の兵士たちが居合わせていたのだ。】
「カガリ様、危険です! 我々の前に出ないでください!」
「何を言っている、オーブの領土に未確認機が墜落したんだぞ! 放っておけるか!」
カガリは兵士たちの制止を振り切り、砂煙が舞う中を真っ直ぐにストライカーブラストへと駆け寄る。その目に飛び込んできたのは、無惨に傷つき、波に洗われる不気味な赤黒いモビルスーツの姿だった。
「これは……地球連合の……? いや、違う、この機体はまさか……!」
カガリが息を呑んだ瞬間、衝撃のせいでロックが壊れていたコックピットのハッチが、プシューと頼りない音を立てて自重でゆっくりと開き始めた。
「ハッチが開くぞ! 警戒せよ!」
兵士たちが一斉に銃を構える。しかし、カガリの目は、開いたコックピットの奥で丸まって激しく震えている、小さな人影を捉えていた。
「待て、撃つな! ……おい、大丈夫か……!?」
カガリがコックピットを覗き込む。
そこにいたのは、引き裂かれたパイロットスーツの間から痛々しい暴行の傷跡を覗かせ、完全に怯えきった目で涙を流すリンの姿だった。カガリの姿を見た瞬間、リンの脳裏に「大人の軍人」への恐怖がフラッシュバックする。
「ひっ……! いや……いやぁぁっ! ごめんなさい、従います、だから、もう叩かないで……っ!!」
「な……っ!?」
戻った記憶と、肉体に刻まれた恐怖。カガリたちが差し伸べた手が、リンには自分を再び地獄へ引きずり戻すブルーコスモスの『暴力の手』に見えてしまっていた。カガリは、その尋常ではない怯え方と、彼女の身体に刻まれた無数の蹂躙の痕跡を見て、激しい衝撃と怒りに言葉を失うのだった――。、