※この作品はR-18です。

強化人間がSEEDの世界で活躍します   作:ナラティブ

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神の光

「間に合え……間に合ってくれ、アスラン――ッ!!」

ボロボロのネオ・ジオングのコックピットの中で、私は祈るように叫び、操縦桿を激しく押し込んでいた。だが、世界が刻む破滅の秒針は、少年の決死の覚悟よりも、少女の血を吐くような願いよりも、遥かに無慈悲で、早かった。

ヤキン・ドゥーエの要塞最深部。ジャスティスの核エンジンが臨界に達し、まばゆい自爆の光が広がる――しかし、その大爆発がジェネシスの発射回路を焼き切るよりもほんの数コンマ一秒、システムが勝ってしまったのだ。

キィィィィィィィン――――――ッッ!!!!!

空間そのものが悲鳴を上げるような、おぞましい高周波が全宙域に響き渡る。

ヤキン・ドゥーエの自爆と連動したジェネシスは、地球をその射程に捉えたまま、最悪の、そして最後の「一発」を完全に充填し、ついに解き放ってしまった。

ズドォォォォォォォォォォォォォォォォォンッッッッッ!!!!!

それは文字通り、世界を無に還す絶対的な崩壊の濁流だった。

白く、あまりにも巨大なガンマ線レーザーの光条が宇宙を焼き尽くしながら、一直線に拡大していく。その巨大な光の渦は、戦場に残されていたすべての命を、敵味方の区別なく一呑みに巻き込み、完全に消し去ろうと迫り来る!

その最悪の光が放たれた瞬間、ヤキン・ドゥーエ宙域のあらゆる陣営に、絶望の衝撃が走った。

「そんな……! ヤキンは自爆したはずなのに、どうして!?」

アークエンジェルのブリッジで、マリュー・ラミアス艦長が絶望に声を震わせた。

「エネルギー残光、直撃コースです! 回避、間に合いません!!」

ノイマンの悲痛な叫びが響き、クルーたちは皆、死を覚悟して互いに身を寄せ合う。ムウを失った悲しみの癒えぬまま、アークエンジェルは無慈悲な光の波に飲み込まれかけようとしていた。

「ジェネシスが……本当に、発射されてしまったというのですか……っ!」

エターナルのブリッジで、ラクス・クラインは溢れる涙を堪えきれずに崩れ落ちた。

バルトフェルドが「クソッ、ここまでなのか!」とコンソールを激しく叩く。平和を願い、戦いを止めようと奔走した彼女たちの祈りを嘲笑うかのように、白い破壊の濁流がエターナルの美しい船体を飲み込もうと迫る。

同じ頃、ザフトの守備隊もまた、自らの国が放った究極兵器の暴走に恐れおののいていた。

「パトリック代表は撃たれたはずだろ!? なぜ動くんだ!」

「うわあああッ! 逃げろ! 巻き込まれるッ!」

ジンやゲイツのパイロットたちがパニックに陥り、我先にとスラスターを吹かすが、ジェネシスの光の速度からは逃れられない。自らが盲信した正義の光に焼かれるという皮肉に、絶望の悲鳴が宇宙にこだまする。

そして、地球連合軍の残存艦隊もまた、最悪の結末を迎えていた。

「核を……プラントへ、核を撃ち込めぇッ!」

狂ったように叫ぶ指揮官たちの声を置き去りにし、圧倒的な熱量がメビウスやネルソン級巡洋艦を瞬時に蒸発させていく。アズラエルを失い、完全に統率を失った連合軍の兵士たちは、ただ迫り来る白い死の壁を前に、声も出せず立ち尽くすしかなかった。

「みんな……ッ!! 逃げてぇぇぇぇぇぇッッ!!!!」

割れたモニターの向こう、光に飲み込まれかける仲間たちの姿、そして未だに憎しみ合いながら消えていく命の姿が映った瞬間、私の脳内で何かが完全に弾けた。

リボンズが死んだ。私を命懸けで守って、俺の人生は幸せだったと笑って、宇宙の闇に消えていった。あの子が俺の命を懸けて繋いでくれたこの未来を、この世界を、こんな絶望の光なんかに絶対に焼かせない!!

「ハァァァァァァァァァッッ!!!!!」

私はコンソール中央の、もう一つのトリガーを狂ったように叩きつけた。

【NT-D SYSTEM――MAXIMUM DRIVE】

キィィィィィィン……!!!

システムが限界を超えて覚醒する。だが、その瞬間にストライクスタイン、そしてネオ・ジオングの機体各所から溢れ出したのは、先ほどの禍々しい拒絶の赤でも、私を包んだ透き通るような青でもなかった。

それは、どこまでも深く、どこまでも雄大で暖かい――**【緑色のサイコフレームの光】**だった。

「う、あ、あああああああッッ!!!!」

私の脳波と魂の叫びに呼応し、ネオ・ジオングの巨体が爆発的な緑の光の粒子を撒き散らす。機能停止しかけていたパーツが、サイコフレームの超常的な力によって強引に再起動した。私はその緑の暖かい光を空間全体に広げるように操り、残された二本の巨大な腕を大きく広げ、迫り来るジェネシスの極大レーザーの真っ正面へと、自ら進んで立ちはだかった。

みんなを護るための、**絶対的な「盾」**になるために!

ドガガガガガガガガガガガガギギギギィィィッッ!!!!!

ネオ・ジオングの前面に、緑色の巨大なサイコ・フィールドの結界が展開される。ジェネシスの放った光の濁流が結界に激激突し、宇宙が激しく震動した。

「リン―――ッッ!!!!」

フリーダムのコックピットで、キラが驚愕の声を上げる。

「何だ……あの光は……!? 嘘だろ、ジェネシスの直撃を、あの巨体で受け止めているのか!?」

脱出してきたジャスティスのアスランも、その信じられない光景に目を見開いた。

だが、神の如き威容を誇るネオ・ジオングの巨体をもってしても、世界を滅ぼすレーザーを完全に無傷で防ぎ切ることなど不可能だった。

バリバリバリバリッ!!!

「くっ、あぁぁぁぁぁぁッッ!!」

凄まじい熱量と圧力が、コックピット内の私に直接襲いかかってくる。骨がきしみ、内臓が押し潰されそうだ。結界のすぐ外側では、ネオ・ジオングの強固な装甲が、ジェネシスの光に晒されてガタガタと崩れ、壊れ、消し飛んでいく。巨大な肩のバインダーが融解し、背面のプロペラントタンクが誘爆を起こして次々と吹き飛んでいく。

そして、私の結界が届かなかった遥か外側の宙域では――逃げ遅れた連合の戦闘艇や、ザフトの守備隊たちが、ジェネシスの光の渦に巻き込まれ、悲鳴を上げる間すらなく一瞬にして塵へと変えられ、死んでいった。何のもの守れなかった者たちは、無慈悲にジェネシスの藻屑となっていく。

「いやだ……! 誰も死なせないって、誓ったのに……っ! 動け! もっと動いてよ、ネオ・ジオングッッ!!」

私は血の涙を流しながら、半分消し飛ばされたマニュピレーターで操縦桿を血が出るほど強く握りしめた。ネオ・ジオングの巨体がどんどんと削られ、崩壊していく恐怖の中で、私はただひたすらに、結界の内側にいるアークエンジェルやフリーダムたちを守り続けた。装甲が剥がれ落ち、内部フレームが露出し、機体全体が地獄の炎に包まれていく。

「リン……もうやめて! あなたまで死んでしまうわ!」

アークエンジェルのブリッジから、マリューが涙ながらに叫ぶ。

「リンさん……!」

エターナルのラクスも、その身を挺して世界を護ろうとする少女の姿に、胸を締め付けられながら祈るように画面を見つめていた。

そして、ついにその時が訪れてしまった。

ドゴォォォォォォォォォォンッッ!!!!!

ネオ・ジオングの胸部、ストライクスタインを格納していたハッチの周辺が、ジェネシスの圧倒的な熱量に耐えかねて大爆発を起こした。

【WARNING:CORE DISINTEGRATION――コア大破】

【MAIN SYSTEM――TERMINATED】

「あ……、あぁ……っ……」

コックピット全体を凄まじい爆風と火花が襲い、私の意識は暗黒へと急速に沈んでいった。すべてのモニターが完全に消灯し、サイコフレームの緑の光もフッと途絶える。結界が消える。

(ごめん、みんな……。リボンズ……私、せっかくお前が遺してくれたのに……ダメ、だった……)

完全な絶望が戦場を支配し、剥き出しになったストライクスタインごと、私がジェネシスの光に飲み込まれて消える――誰もがそう思った、その刹那だった。

『――諦めるな、リン』

「え……?」

耳元で、優しく、だけど最高に不敵で力強い、あの愛おしい少年の声がはっきりと聞こえた。

ハッと目を開けると、暗黒に包まれたコックピットの中に、ぼんやりと光る**【リボンズの霊】**が立っていた。あの子は優しい眼差しで私を見つめると、私の傷だらけの手の上から、自らの光の手をそっと重ねてくれた。

あの子の霊が、私の手を優しく包み込み、引きちぎれかけていたコンソールのトリガーを、力強く一緒に押し下げてくれたのだ。

『俺がついてるって、言っただろ。お前の命は、俺が、俺たちの光が絶対に護る!』

「リボンズ……ッ!!」

その瞬間、奇跡が起きた。

キィィィィィィィィィィン――――――ッッッッッ!!!!!

大破したストライカーブラストの機体の残骸。そして、ジェネシスの熱量で半壊し、剥き出しになったストライクスタインの機体。その二つの魂が、リボンズの霊と私の強い意志によって、完全に一つへと融合したのだ。

ドガァァァァァァァァァンッッ!!!

ストライクスタインの背部から、空間を埋め尽くすほどの圧倒的な、まばゆい**【光の翼】**が爆発的に生え渡った。

それは緑とも青ともつかない、見る者の心を包み込むような優しく暖かい奇跡の輝き。半壊したはずの機体を中心に、再びジェネシスの極大レーザーを完全に押し返すほどの、絶対的な精神の結界が再展開されていく。

「何なんだ……これは……温かい……」

アークエンジェルのブリッジで、誰もがそのまばゆい光に涙した。

「リンが……リンたちが、世界を護っているのか……!?」

フリーダムのキラも、ジャスティスのアスランも、その暖かな光の結界の中で、ただ涙を流してその奇跡を見つめていた。

エターナルのラクスは、その光の中に、優しく微笑む少年と少女の魂を見た気がして、そっと胸に手を当てた。

「ハァァァァァァァァァッッ!!!!!」

私とリボンズの叫びが一つになり、光の翼がさらに巨大に広がる。ジェネシスの最後の最悪の一発は、その光の翼が作り出した結界に完全に阻まれ、最後のエネルギーを激しく霧散させながら、ついに完全に収束していった。

宇宙を焼き尽くそうとした破壊の光が、完全に消え去る。

光の翼の結界内にいた者たちは、一人の例外もなく、すべて救われたのだ。

静寂が戻った宇宙。

半壊したストライクスタインのコックピットで、私は重い息を吐きながら、ゆっくりと消えていくリボンズの姿を必死に追いかけた。あの子の霊は、最後に私の頭を愛おしそうに撫でると、満足そうにフッと微笑んだ。

『生いてくれ、リン。俺の、大好きな人……』

「リボンズ……! 待って、行かないで……リボンズ―――ッッ!!」

伸ばした手は、虚しく空を切る。だけど、私の胸の奥には、あの子が遺してくれた温もりが、そしてこのストライクスタインの鼓動が、確かに力強く息づいていた。

「うぐっ……、ひぐっ……、あ、あああ……」

私は声を上げて泣きじゃくりながら、あの子が遺してくれた機体の操縦桿を握りしめた。世界を破滅から救った深紅と漆黒の機体は、主を失った悲しみと、共に未来へ生きるという誓いを胸に、仲間たちの待つ穏やかな宇宙(そら)へと、静かに、ゆっくりと帰還していくのだった――。

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