※この作品はR-18です。

強化人間がSEEDの世界で活躍します   作:ナラティブ

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19話

ベルリンの街に深い爪痕を残した連合軍の侵攻は去ったものの、世界情勢は混迷を極めていた。

アークエンジェルのブリーフィングルームでは、カガリが焦燥に駆られた面持ちでモニターを見つめていた。画面に映し出されているのは、ロゴスの介入によってジブラルタルへと急進的な傾倒を見せるオーブ本国の情勢だ。

「これ以上、ユウナたちの暴走を許せば、オーブは本当に手遅れになる……! 私は本国へ戻り、一刻も早くセイラン家から実権を取り戻さねばならないッ!」

純粋に母国の行く末を案じ、悲痛な声を上げるカガリ。その隣で、キラもまた静かに、しかし決然とした瞳でマリューを見据えた。

「僕もカガリと一緒に行くよ、マリューさん。これ以上、オーブの兵士たちが戦場で命を散らすのを見たくない。アークエンジェルを……もう一度、オーブへ向けて進めてほしい」

二人の強い決意を受け止め、マリューは深く頷いた。ベルリン戦の傷が完全に癒えたわけではない。だが、立ち止まっている時間はなかった。

「分かったわ。アークエンジェル、発進! これより本艦は、オーブへ向けて針路を取ります!」

轟音と共に、アークエンジェルは再び大空へとその巨体を浮き上がらせ、母国オーブを目指して発進した。

――その頃、ジブラルタル基地に停泊するミネルバの艦長室。

タリア・グラディスは、国防事務局から直接下された暗号電文を前に、重い表情で唇を噛み締めていた。

「……アークエンジェルおよびフリーダムの討伐、ですか」

ザフト上層部から下された新たな命令。それは、オーブへ向かうアークエンジェルを、現地のザフト友軍と共に完全に包囲し、これを撃沈せよという非情なものだった。度重なる戦場への介入によって世界の秩序を乱す存在として、デュランダル議長はついにキラたちを「排除すべき敵」と断定したのだ。

この命令を伝えられたミネルバのパイロットたちは、一様に複雑な表情を浮かべた。アスランは「キラを、アークエンジェルを討てというのか……っ!?」と激しく動揺し、苦悩に顔を歪める。

しかし、ただ一人。

シン・アスカだけは、その瞳に宿るどす黒い憎悪の炎を一層激しく燃え上がらせていた。

(アークエンジェル……フリーダム……! そして、あの赤いガンダム(ナラティブ)……ッ!)

シンの脳裏に、冷たくなったステラを抱きしめた時の、あの絶望的な感触が蘇る。ステラをただの化け物として扱い、コックピットを無慈悲に引き裂いたあの戦場。あそこにいた奴らは、全員がステラの仇だ。

「……フリーダムを、あの綺麗事ばかりのガンダムを、今度こそ俺の手で叩き落とせる……!」

シンは操縦桿を握るイメトレをするかのように、両拳を血がにじむほど強く握りしめた。その顔には、かつての少年らしい表情はなく、冷徹な復讐鬼としての歪んだ喜びが浮かんでいる。

「待ってろよ……。お前たちがステラから未来を奪ったんだ。今度は、俺がお前たちを、絶対に地獄へ引きずり落としてやる……!!」

戦う大義など、もう今のシンにはどうでもよかった。あるのは、ステラを殺した世界への、そしてガンダムへの絶対的な殺意だけ。シンはインパルスの出撃を心待ちにしながら、狂気的な笑みをその唇に浮かべるのだった――。「ミネルバよりアークエンジェルへ! 本艦はこれより、貴艦に対する最終通告を行う!」

ザフト友軍の圧倒的な包囲網。そしてミネルバから放たれる苛烈な一斉砲撃に晒され、アークエンジェルの巨体は悲鳴を上げるように大きく揺れていた。メインモニターに映し出された Talia(タリア)・グラディスの表情は、軍人としての冷徹さの中に、どこか悲痛な苦渋を滲ませている。

「これ以上の戦闘は無意味です。直ちに兵器を放棄し、本艦の誘導に従い降伏しなさい。繰り返す、直ちに降伏しなさい!」

それは、議長からの非情な討伐命令を受けつつも、かつての同盟艦であった彼らの命を救おうとする、タリアの独断による決死の呼び掛けだった。

「マリューさん……」

カガリが悔しそうに唇を噛み締める。彼女をオーブへ送り届け、本国の暴走を止めることだけが、今の彼らに残された唯一の希望。ここでザフトに降伏すれば、オーブは完全にユウナたちの手に落ち、ロゴスの操り人形と化してしまう。

「……申し訳ありません、グラディス艦長。私たちの歩みは、ここで止めるわけにはいかないの」

マリューは通信を切り、悲壮な決意を瞳に宿して叫んだ。

「バリアント、ゴットフリート、てぇーッ!! キラ、リン、出てッ! この包囲網を突破するわよ!」

――その頃、激しく揺れるアークエンジェルのMSデッキ。

ナラティブガンダムのコックピットの中で、リンはシートに深く身を沈めたまま、ガタガタと激しく震える手で小さなプラスチックのシートを握りしめていた。

パキ、パキ、パキ、パキ。

狂ったような音を立てて、銀色のアルミから白い錠剤が次々と押し出されていく。手のひらに乗ったのは、優に10粒を超える大量の向精神薬(OD錠)。

「はは……、これ、が無いと……レバーも、握れない、なんてね……」

リンは自嘲気味に歪んだ笑みを浮かべると、水も飲まずにそのすべてを口の中へ放り込み、無理やり喉の奥へと流し込んだ。

人を撃つ恐怖。ステラを殺してしまった罪悪感。そして、いつ自分が暴走して仲間を殺してしまうかもしれないという悪夢の記憶。それらすべてを脳から力任せに消し去るには、もうこの量で思考を麻痺させるしかなかった。

数秒後、過剰に摂取された薬物が脳の神経を急速に麻痺させ、世界の輪郭をぐにゃりと歪めていく。激しかった手の震えがピタリと止まり、胸を締め付けていた激しい動揺が、白い霧の向こうへと消えていく。頭の中が、不気味なほどにふわふわと、軽くなっていく。

「システム……オールグリーン。ナラティブ、リン・少佐……行くわよ」

感情の消え失せた、虚ろで冷徹な声。リンは操縦桿を押し込み、深紅に発光するナラティブガンダムをカタパルトへと進めた。

その隣のカタパルトには、すでにフリーダムガンダムがスタンバイしていた。

「リン! 無理はしないで、僕が前に出るから、君はアークエンジェルの防衛を――」

通信ウィンドウの向こうから、キラが心配そうに声をかけてくる。

「何言ってるのよ、キラ。天才スーパーコーディネイター様のお守りをするのが、私の役目でしょ?」

リンは完璧な「偽りの笑顔」を通信画面に浮かべてみせた。薬の霧に包まれた頭では、キラの心配すらどこか遠くの出来事のようにしか感じられない。

「ナラティブ、出るわよッ!」

「フリーダム、キラ・ヤマト! 行きます!」

二条の強烈な閃光が、アークエンジェルから激しい砲火の飛び交う大空へと解き放たれる。

待ち受けるのは、ステラの復讐に燃えるシンのインパルス、そしてザフトの精鋭たち。薬の力で辛うじて自我を保ち、虚ろな戦意を燃やすリンと、仲間を守るために剣を執るキラ。二人のガンダムは、アークエンジェルの運命を賭けた最悪の激戦の渦へと、真っ向から飛び込んでいく――。「邪魔だァッ! どけよ、ナラティブッ!!」

シンの怒号と共に、インパルスが目にも止まらぬ速度で空を切る。フォースシルエットの機動性を極限まで引き出し、空中での複雑な機動を連発するシンは、今の彼に迷いという言葉は存在しなかった。ただステラの仇を討つという一点にのみ集中し、インパルスの武装を完璧に使いこなす。

「うぐっ……! はぁっ、はぁっ……!」

リンのナラティブは、防戦一方だった。薬で感覚を麻痺させているとはいえ、ナラティブのサイコフレームが拾い上げるのは、リン自身の深い罪悪感と、ステラを殺したという拭えない記憶。

さらに、リンには「アークエンジェルを守る」という大前提がある。しかも、ステラを死に追いやったという後悔から、どうしても敵のコックピットを狙うような殺人的な攻撃を躊躇ってしまう。その甘さが、シンにはすべて見透かされていた。

「甘いんだよッ! ステラを殺したお前が、何を守ろうとしてるんだ!!」

シンのインパルスが、リンのナラティブの懐に飛び込み、ビームサーベルを突き立てる。ギリギリで回避するリンだが、機体のあちこちが掠められ、装甲が火花を散らす。

「くっ……! キラ、お願いっ……!」

リンの叫びに、キラのフリーダムが背後から支援砲撃を加える。バラエーナのビーム砲とクスィフィアスのレール砲が、シンの進路上を縫うように撃ち込まれる。

だが、今のシンは復讐の獣だった。機体の性能限界を超えた挙動で、弾幕を紙一重で踊るように回避し、逆にフリーダムの死角からインパルスのライフルを突きつける。

「うわっ……!?」

キラのフリーダムが回避の機動を取るが、シンの執拗な追撃は止まらない。シンの放ったビームがフリーダムの左肩をかすめ、装甲の一部を焼く。

(……やばい、キラまで……ッ!)

リンは自分のことよりも、仲間が傷つくことに戦慄した。その瞬間、急激に世界がグラつき始める。

過剰摂取した薬の効果が、急速に切れ始めていたのだ。

「っ……あ、ああ……っ!」

喉の奥から、胃液と吐瀉物がせり上がってくる。強烈なめまいと、冷や汗が全身を襲う。コックピットのモニターが、リンの視界の中で二重にも三重にも揺れ始める。

(薬……きれた……。吐く……っ、また、吐き気が……ッ!)

吐き気を抑えるために、リンは自分の舌を強く噛みしめた。血の味が口の中に広がる。激痛で意識を繋ぎ止め、必死にナラティブのレバーを握りしめる。

「私は……負けない……! アークエンジェルを、守るの……ッ!!」

薬が切れた反動で、リンの意識には鮮明な「殺された人々の顔」がフラッシュバックする。それでも、リンはナラティブのドラグーンを展開し、シンのインパルスをアークエンジェルから遠ざけるように、障壁となって立ち塞がり続けた。

満身創痍のナラティブ。吐き気で視界が真っ白になりながらも、リンはアークエンジェルの周囲を死守し、ただひたすらに、シンという名の「復讐の嵐」の盾となり続けていた――。




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グスタフカール先行型

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スタークジェダ

ユニコーンガンダム

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