※この作品はR-18です。

強化人間がSEEDの世界で活躍します   作:ナラティブ

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32話

同時刻。

混戦を極める戦宙域の別方面では、ロンド・ベル隊の旗艦『ラー・カイラム』がザフト軍の猛攻に晒されていた。

「捕捉されたか!」

艦橋のモニターに映る信じられない機動を見せながら迫る敵影に、副艦長が顔を真っ赤にして怒号を飛ばした。

「対空弾幕薄いぞ! 何をやってる、イーゲルシュテルンとレーザー砲、全門斉射だ!! 艦(ふね)に一歩も近づかせるなッ!」

ラー・カイラムの巨体から、無数のレーザー砲の光線とイーゲルシュテルン(近接防御火器)の実弾の雨が宇宙にばら撒かれる。しかし、その濃密な弾幕を縫うように、尋常ではない機動で迫る機影があった。

謎のエースパイロットが駆る、数機のザクウォーリアだ。

「くそっ、動きが速すぎる!」

「照準を甘やかすな! 弾幕で面を制圧しろ!」

副艦長の怒声に合わせ、ラー・カイラムの主砲クラスのレーザー砲が火を噴いた。

極太のビームの奔流が宇宙を薙ぎ払い、回避を誤った1機のザクウォーリアを直撃。装甲を容易く蒸発させ、一撃で爆散させる。

だが、喜ぶ暇はなかった。

――ズドドォォォンッ!!

「なっ……甲板に被弾!? いや、敵機上陸!!」

ラー・カイラムの巨体が大きく揺れた。

もう1機のザクウォーリアが弾幕をくぐり抜け、あろうことかラー・カイラムのカタパルトデッキへと直接降り立ったのだ。

『艦を守れ! 迎撃するぞ!』

艦内に残っていた7機のジェダのうち、即座に出撃態勢を整えていた2機がカタパルトへ躍り出る。

しかし、デッキに降り立ったそのザクウォーリアのパイロットは、間違いなくエース級の腕を持っていた。

『遅いッ!』

ジェダがビーム・ライフルを構えるより早く、ザクウォーリアが恐るべき踏み込みで肉薄する。

ビームトマホークが閃いたかと思うと、先頭のジェダのコックピットブロックを無慈悲に、そして正確に真っ二つに叩き割った。

『うわぁぁぁぁっ!!』

『隊長ォッ!! 貴様ァァァッ!』

仲間の死に激昂した2機目のジェダが、ビームサーベルを抜いて突進する。

しかし、ザクウォーリアは落ち着き払った動作で、背部から実体弾式のショットガンを引き抜いた。

――ガコンッ、ズドンッ!!

至近距離から放たれた無数の散弾がジェダの装甲を蜂の巣にし、両腕と両脚――四肢を無残に破壊して吹き飛ばした。

ダルマ状態にされたジェダが、カタパルトの上で無力に火花を散らす。

『これで終わりだ、ロンド・ベルの雑魚が!』

ザクウォーリアがショットガンの銃口を、動けなくなったジェダのコックピットへと向けた。

ラー・カイラムのクルーたちが絶望に顔を歪めた、その時。

――ピキィィィンッ!

宇宙の闇を切り裂くような、凄まじい高推力の駆動音が響き渡った。

『……させないッ!』

カタパルトのハッチから、大型ブースターとスラスターを増設した『ジェダ高機動仕様』が、弾丸のような速度で射出された。

『なにっ!?』

ザクウォーリアが反応するより早く、ジェダ高機動仕様は圧倒的なスピードで敵の懐へ飛び込む。

そのまま手にしたビームサーベルを逆手に持ち、すれ違いざまにザクウォーリアの動力炉を正確に貫いた。

『ば、馬鹿な……ザフトの、栄光……!』

ザクウォーリアはショットガンを取り落とし、カタパルトから蹴り出されるようにして宇宙空間へと落下。その直後、大爆発を起こして宇宙の塵となった。

「……ふぅ。ラー・カイラム、無事か!?」

「た、助かった……! 高機動型のパイロット、よくやってくれた!」

副艦長が安堵の汗を拭う。

間一髪のところで艦と連合の仲間を守り抜いたジェダ高機動仕様は、カタパルトの上でライフルの切っ先を下げ、戦場全体を見据えるように再びスラスターを吹かした。メサイア周辺の宙域は、ザフト軍、オーブ残存艦隊、そしてロンド・ベルのジェダ部隊が入り乱れる大混戦となっていた。

無数のビームと爆発の閃光が宇宙を照らす中、レクイエムを止めるべく一直線に斬り込んでいくアスラン・ザラたち。だが、その行く手に立ち塞がったのは、巨大な赤い戦艦ミネルバと、ルナマリア・ホークの駆るインパルスガンダムだった。

『アスランッ!!』

ルナマリアの放つ怒りのビームが、アスランのインフィニットジャスティスを掠める。

「ルナマリア! 退け、俺はお前と戦いたくはない!」

やむなく応戦しながらも、アスランは必死に呼びかける。だが、ルナマリアの悲痛な攻撃は止まらない。

そこへ――リンのユニコーンとの死闘で片腕と翼の一部を失い、ボロボロになりながらも狂気を放つディスティニーガンダムが猛スピードで駆けつけてきた。

『あんたがっ! あんたが裏切るからぁぁっ!!』

激昂したシン・アスカが、残された武装でアスランへ狂ったように襲い掛かった。

だが、その太刀筋は怒りと迷いで大きく乱れている。アスランはそれを容易く捌き、通信越しに鋭く一喝した。

「シン! お前は自分が何をしているのか分かっているのか! 過去に囚われたまま、破壊を続けるのがお前の望んだ世界か!」

『うるさい、うるさいッ! 俺は……俺はただ……っ!』

アスランの真っ直ぐな言葉が、シンの心に突き刺さる。先ほどのリンの悲痛な謝罪、ステラへの喪失感、そして目の前のアスランの説得。すべてがシンの脳内でショートし、彼は完全に錯乱状態に陥った。

『うあぁぁぁぁぁぁッ!!』

見境なくビームを振り回すディスティニー。その狂乱を見かねたルナマリアが、2機の間にインパルスを割り込ませた。

『やめてシン! もうやめて!』

しかし、錯乱したシンの目には、立ち塞がるインパルスすら自分を阻む「敵」にしか見えていなかった。

『邪魔をするなぁぁっ!!』

『キャアアアッ!?』

無防備なインパルスへと、ディスティニーの刃が振り下ろされる。

「この、馬鹿野郎ォォォォッ!!」

間一髪。アスランのインフィニットジャスティスが、インパルスを蹴り飛ばして救い出すと同時に、シンの刃を弾き返した。

アスランの怒りが限界を超えた。過去に囚われ続け、あろうことか今を生きる大切な仲間すら壊そうとするシンへの激しい怒りを爆発させ、インフィニットジャスティスが一気にディスティニーへ肉薄する。

圧倒的な格闘戦の連続攻撃が、ディスティニーの残された武装を、装甲を次々と無慈悲にダルマにしていき、シンを完全に制圧・圧倒していった。

一方、そのエースたちの死闘の周囲でも、泥沼の消耗戦が繰り広げられていた。

重火力を誇るスタークジェダの部隊が、迫り来るザクウォーリアの群れにミサイルとビームの濃密な弾幕を浴びせ、次々と敵機を制圧していく。

だが、対艦大型ミサイルをすでに撃ち尽くしていたプロトスタークジェダの1機は、デッドウェイトとなった装備をパージしながら、頭部のマシンキャノンで接近してきたジンを1機、蜂の巣にして撃破した。

『よし、次――』

しかし、一息つく間もなく、背後と死角から2機のザクウォーリアが突進してくる。

『しまったッ!』

クロス(十字)の陣形を組んだザクウォーリアのビームトマホークが、プロトスタークジェダの胴体を無惨に十文字に斬り裂き、宇宙空間に大爆発を叩き起こした。

『こちら第4小隊! 敵の数が多すぎる、支えきれ――うわぁぁぁっ!』

『隊長機がやられた! 防衛線、崩壊――』

ロンド・ベルのパイロットたちは精鋭揃いだが、ザフトが投入するモビルスーツの『物量』はあまりにも多すぎた。絶え間なく押し寄せるザクウォーリアやグフイグナイテッドの波に飲み込まれ、乱戦の中でジェダが1機、また1機と撃墜されていく。

別の宙域だけでも、既に12機のジェダがその圧倒的な物量の前に散っていた。

エースたちが雌雄を決するその足元で、無名の兵士たちの命が、残酷な消耗戦の中で燃え尽き続けていた。

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