オルドリン地区の市街地に降り立った私の視界に飛び込んできたのは、防衛にあたるジンと、侵攻してきたブルーコスモス残党の105ダガーが至る所で激しく交戦している泥沼の光景だった。
「ジェガン隊、民間人の避難を最優先に!」
私は着地の勢いそのままに背中のビーム・サーベルを引き抜き、目の前でジンを追い詰めていた105ダガーに肉薄。すれ違いざまに装甲を両断し、さらにもう1機を背後から突き刺して、瞬く間に2機を撃破した。
私の動きに合わせ、仲間たちが駆るジェガン隊も迅速に展開する。
2機のジェガンは、逃げ遅れた民間人たちの前に巨大な壁となって立ちはだかった。強固なシールドで敵の射線と爆風を完全にカバーしながら、的確なビーム・ライフルの連射で群がってくる105ダガーを次々と蜂の巣にして撃破していく。
「よし、このまま押し返せ……!」
そう思った矢先だった。
ズウゥゥゥン……ッ!!
地響きと共に、ビル群の奥から絶望的な巨体がゆっくりと姿を現した。無数の砲門を備えた悪夢のような巨大機動兵器――デストロイガンダムだ。
『こんなものまで……!』
「またこんな物を持ち出して……!」
通信越しに響いたキラの悲痛な声と、私の怒りの声が重なる。
どれだけの街を焼き、どれだけの命を奪えば気が済むのか。私とキラは即座にデストロイの撃破へと向かってスラスターを吹かした。
だが、デストロイに接近しようとした直後、巨体の死角から無数のシュツルム・ファウストが私たちを狙って一斉に放たれた。
「当たってたまるかッ!」
私はユニコーンの装甲フラップを展開し、スラスターの噴射角を細かく調整。空中でアクロバティックな回避軌道を描き、迫り来るシュツルム・ファウストの弾頭と爆風を紙一重で躱しきる。
そのまま勢いを殺さず、デストロイの懐へと一気に潜り込んだ。
「はあああッ!」
高出力のビーム・サーベルを横薙ぎに一閃。分厚い装甲を焼き切り、デストロイの巨大な腕部を付け根から見事に斬り落とした。
「キラ、こいつのトドメは任せた!」
『分かった!』
腕を失いバランスを崩したデストロイをライジングフリーダムの猛攻に託し、私は即座に機体を反転させた。周囲にはまだ、民間人を狙う105ダガーの群れが残っている。
「次っ!」
私は再び乱戦の中へと身を投じ、ビーム・サーベルの軌跡を残しながら105ダガーの部隊と激突。圧倒的な機動力で敵の連携を翻弄し、瞬く間に4機を立て続けに斬り伏せ、撃破していった。デストロイをキラに任せ、息つく暇もなく前線を押し上げようとした矢先――新たに増援として現れた6機の105ダガー部隊に行く手を阻まれ、激しい一斉射撃による迎撃を受けた。
「数の暴力だけで、押し切れると思わないで!」
私は冷静にビーム・ライフルを構え、牽制の弾幕を掻き分けるようにして先頭の1機を正確に撃ち抜いた。機体が爆散する光を盾にしてスラスターを吹かし、一気に敵の陣形へと飛び込む。
そのまま懐に潜り込み、すれ違いざまにビーム・サーベルを一閃。2機目の胴体を綺麗に両断して撃破する。
「次ッ!」
私の猛攻に焦ったのか、3機目がビーム・ライフルを乱射しながら突っ込んできた。私は頭部のバルカン砲を掃射し、敵のメインカメラを的確に破壊する。
視界を奪われ、パニックに陥り体勢を崩した3機目の四肢――両腕と両脚――をサーベルで次々と斬り払い、ダルマ状態にして完全に無力化。コックピットを狙うことはせず、そのまま戦闘不能の残骸としてその場に放置した。
『リン、背後から来てるぞ!』
「ジェガン隊、そこをお願い!」
私の死角から回り込もうとしていた4機目には、護衛のジェガンが即座に呼応した。ジェガンの的確な援護射撃が4機目を捉え、逃げ場を失った敵機は火を吹いて崩れ落ちた。
さらに5機目が私へ照準を合わせた瞬間、上空から鋭いビームの雨が降り注いだ。
『リンさん、そいつは俺が!』
シンのイモータルジャスティスだ! シンの見事な牽制射撃によって5機目の動きが完全に止まる。私はその隙を見逃さず、シンの援護に合わせるようにビーム・ライフルを放ち、5機目を確実に撃ち抜いた。
「残るは……あんただけよ!」
部隊が壊滅し、ヤケを起こした最後の6機目が、ビーム・サーベルを力任せに振り被って単機で突進してくる。
私は逃げも隠れもせず、シールドを正面に構えた。
ガキンッ!!
敵の渾身の一撃を、シールドの装甲で完璧なタイミングでパリィ(弾き返し)する。
「なっ……!?」
「隙だらけ!」
大きく体勢を崩し、無防備になった6機目の右腕をサーベルで正確に斬り落とした。武装を失い、完全に沈黙した105ダガー。私はそのコックピットに、ビーム・ライフルの銃口をピタリと突きつけた。
「勝負はついたわ。これ以上の無駄な抵抗はやめて、投降しなさい!」
逃げ場のない圧倒的な実力差。そして、上空のシンや周囲を取り囲むジェガン隊の威圧感を前に、6機目の105ダガーはついに戦意を喪失し、力なく機体を膝をつかせて降伏のサインを送ってきた。