※この作品はR-18です。

強化人間がSEEDの世界で活躍します   作:ナラティブ

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8話

「通信途絶!? ジャミングの発生源はどこ!?」

アークエンジェルのブリッジに、マリューの焦燥に満ちた声が響き渡った。

モニターには、軍事境界線を突破していくキラのライジングフリーダムの航跡と、完全にロストしたリンのユニコーンのシグナルが映し出されている。この異常事態に、アークエンジェル側も即座に違和感と危機感を察知した。

「マーズ、ヘルベルト! 急いでリンの救援に向かって! 彼女の機体が狙われているわ!」

マリューの指示を受け、ゲルググメナースを駆るマーズとヘルベルトがカタパルトから飛び出す。

だがその直後、アークエンジェルの艦体を凄まじい衝撃が襲った。

「きゃあっ!?」

「第1、第2ゴットフリート、被弾! 完全に沈黙しました!」

ノイマンの悲痛な報告。上空から強襲してきたブラックナイトスコードの精密な狙撃により、アークエンジェルの主砲であるゴットフリートが立て続けに破壊されたのだ。

一方、先行してユニコーンのシグナルロスト地点へと急行したマーズとヘルベルトは、信じられない光景を目撃していた。

「おい、あれを見ろ! リン司令の機体だ!」

砦跡の崩落現場。そこには、右腕と左脚を失い沈黙した純白のユニコーンガンダムが、3機のブラックナイトスコード・ルドラによって、ファンデーション軍の大型輸送機へと強引に搬入されようとしていた。

「司令をどこへ連れて行く気だ! 返してもらうぞ!」

マーズが怒号と共にゲルググの推力を全開にし、ビームライフルを構えて突撃する。だが――。

『邪魔だ』

ルドラの1機が振り返りざまに放った高出力のビームが、マーズのゲルググのコックピットを正確無比に撃ち抜いた。

「が、ああっ……!!」

「マーズ!?」

爆発四散する僚機。

その光景に、後続としてギャンシュトロームで駆けつけたヒルダ・ハーケンが血を吐くような絶叫を上げた。

「マーズ!! ……よくも、よくも私の部下をぉっ!!」

激怒したヒルダはギャンのスラスターを吹かし、ビームアックスを構えてルドラへと肉薄する。しかし、相手の反応速度は常軌を逸していた。

ルドラの滑るような回避機動に攻撃を躱され、逆に死角からのカウンターの斬撃を浴びてしまう。

「くっ……ぁあっ!」

火花が散り、ギャンの右腕が根本から斬り飛ばされる。さらに頭部へ掠った一撃により、メインカメラの一部が破壊され、ノイズが視界を覆った。

「なんて動きなの……化け物め……!」

片腕をもがれたヒルダは、歯を食いしばりながらもこれ以上の追撃を阻まれ、輸送機へと近づくことができない。

「リンさん!! 待て、ふざけんなッ!!」

上空からその絶望的な光景を見ていたシンは、イモータルジャスティスの機首を輸送機へと向けた。味方が次々とやられ、大切な仲間が奪われようとしている。怒りで頭が沸騰しそうだった。

だが、一直線に降下しようとするシンの前に、1機のブラックナイトスコード・ルドラが立ち塞がった。グリフォン・アルバレストの駆る機体だ。

『お前の相手は僕だよ、野蛮人。そこから先へは行かせない』

「どけぇぇっ!! リンさんを返せ!!」

シンは苛立ちを剥き出しにし、ビームブレイドを起動して狂ったように斬りかかる。だが、冷静に心を読み、的確に捌いてくるグリフォンのルドラを前に、シンの猛攻はことごとく空を切らされていた。

焦燥と怒り、そして届かない力への苛立ち。戦場は完全にファンデーションの掌の上で転がされていた。

その頃。

輸送機の薄暗いカーゴスペースに固定された、大破したユニコーンのコックピット。

警告灯の赤い光だけが点滅する密閉空間の中で、リンはシートにぐったりと倒れ込んでいた。激突の衝撃で額から流れ出た血が、頬を伝ってパイロットスーツを赤く染めている。

意識は深い闇の中へと沈み切っている。

だが、その閉じられた瞼の裏では、絶え間なく続くトラウマのフラッシュバックと、オルフェの洗脳による呪縛が彼女の心を切り刻み続けていた。

「……ごめん、なさい……」

血の気が引いた青白い唇が、微かに震える。

「私のせいで……ごめんなさい……みんな、ごめんなさい……」

誰もいない暗闇のコックピットで、届くはずのない謝罪の言葉だけが、壊れたレコードのように延々と繰り返されていた。「リンさん……まさか、連れ去られたのか!?」

モニターの端で、大破したユニコーンを乗せたファンデーションの輸送機が戦域を離脱していくのを確認し、キラは血の気が引くのを感じた。

追わなければ。機首を翻そうとしたその瞬間――。

「戦場でよそ見とは、余裕だな」

強烈な殺気と共に、シュラ・サーペンタインの駆るブラックナイトスコード シヴァがライジングフリーダムの眼前に迫っていた。

凄まじい踏み込みから放たれた近接兵装の連撃。キラは間一髪でシールドを構え、防ぐのが精一杯だった。

「くっ……! どけっ!」

「逃がすわけがないだろう。お前の相手はこの私だ、キラ・ヤマト!」

シュラはキラの意識を一切輸送機へ逸らさせないよう、息をつく暇もないほどの猛攻を仕掛けてくる。シヴァの滑らかな機動と、心を読まれているかのような的確な先読みの前に、キラは完全に防戦一方に追い込まれていった。

「お前たち……リンさんをどうする気だ!!」

激しく火花を散らして鍔迫り合いをしながら、キラは悲痛な声で叫んだ。

シュラは冷酷な笑みを浮かべ、コックピットの中で目を細める。

「……冥途の土産だ、特別に教えてやろう」

シュラは刃を激しく押し込みながら、残酷な計画を淡々と告げた。

「あの娘は、我々の意志を体現する『完璧な戦闘兵器』として生まれ変わるのだ。彼女の乗るあの白い機体……そして『サイコフレーム』という未知の技術。我々は、とある者からその力を最大限に引き出すための情報を得た。アウラ陛下とオルフェは、それを利用し、ファンデーションの最強の剣を完成させる」

「とある者……? サイコフレームを……!?」

キラの顔が蒼白になる。ファンデーションがユニコーンの真の力を狙い、得体の知れない何者かと結託しているという事実に戦慄した。

「ふざけるな……リンさんは、心を持った人間だ! お前たちの道具じゃない……兵器なんかじゃないんだ!!」

キラは激昂し、ライジングフリーダムの推力を強引に上げてシヴァを押し返そうとする。だが、シュラは顔色一つ変えずにその力をいなし、さらに鋭い斬撃を叩き込んだ。

「人間? 兵器ではない? ……ならば、そうなるように『教育』するまでだ」

「教育……だと!?」

「そうだ。あの娘が抱える過去の死者への執着、トラウマ、絶望……その全てを徹底的に刺激し、痛めつけ、心を砕く。自我を完全に破壊し尽くした後に、我々への絶対的な忠誠を刷り込むのだ。恐れも戸惑いもない、ただ引き金だけを引く美しい刃へと作り変えてやる」

「やめろ……やめろぉぉぉっ!!」

大切な仲間の心を弄び、絶望の底に突き落として壊そうとするシュラの外道な言葉に、キラは狼狽と怒りを爆発させる。しかし、その激しい感情の揺らぎすらも、心を読めるシュラにとっては格好の隙でしかなかった。

シヴァの重い一撃が、ライジングフリーダムの装甲を大きく削り取る。

絶望的な戦況と、リンを救えないという無力感が、洗脳を受け精神を削られているキラの心を、さらに暗く、深い闇へと追い詰めていった。

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