キラたちとの温かい時間を終え、私たちは名残惜しくも彼らと別れた。再びカガリと一緒にシャトルへと乗り込み、私たちは最終目的地であるプラントの首都へと向かった。
やがてシャトルはプラントの首都へと到着した。港湾区から一歩街へ出ると、近代的な高層ビルが立ち並ぶ美しい都市の空を、見たことのない新型のモビルスーツがゆっくりと飛行し、街の巡回警備を行っていた。
ゴォォォォ……ッ!
巨体が頭上を通り過ぎる際、凄まじい風圧が吹き抜ける。
「わわっ……!」
「うおっと!」
私とカガリは慌てて手で頭を押さえ、お気に入りの帽子が風で飛ばされないように身をすくめた。見上げると、その機体は滑らかな動きでビル群の合間をパトロールしている。
プラント首都 警備モビルスーツ
エイジャックス
特徴: モノアイの上にバイザーを装着した、独特な頭部形状を持つ最新の試作型モビルスーツ。現在はプラント首都の治安維持および巡回警備任務に就いている。
武装: テロや不測の事態に対して、機体を過度に破壊せず無力化できる「対モビルスーツ用ライトニングウィップ(電磁鞭)」を主兵装としている。他には、頭部バルカン、ビームシールド、そして市街地での取り回しに優れた「90ミリショートマシンガン」を装備し、過不足のない高い防衛能力を誇る。
「あの新型、動きがすごくスムーズ……。首都の警備も、少しずつ新しい機体にシフトしてるんだね」
私が整備士としての目線でエイジャックスを見送っていると、カガリがふと、街を行き交う人々に視線を向けた。
「……なぁ、リン。見てみろよ」
カガリに促されて周囲を見渡した私は、ハッと息を呑んだ。
そこには、以前のプラントでは決して見られなかった、信じられないほど優しくて幸せな光景が広がっていた。
「あそこにいるの、連合の制服を着たナチュラルだよね……? プラントのコーディネーターの人と、笑いながらお茶してる……」
そう、今のプラントの首都では、かつて激しく殺し合っていたコーディネーターとナチュラルが、何一つ壁を作ることなく、ごく当たり前のように隣り合って笑い、仲良く生活することが主流になっていたのだ。手を繋いで歩く異種族のカップルや、無邪気に駆け回る子供たち。
ファンデーションとの戦いを経て、世界は本当に、誰もが望んだ「幸せな世界」へと生まれ変わり始めていた。
「すごい……本当に世界が変わっていくんだね。みんなが手を取り合って、こんなに優しく笑えてる……」
胸の奥から込み上げる強い感動に、私の視界が少しだけ潤む。
カガリもまた、その温かい光景を愛おしそうに見つめながら、感慨深そうにつぶやいた。
「ああ。本当に……変わったな。多くの犠牲を出して、泥をすすりながら進んできた道のりだったが……私たちがやってきたことは、間違いじゃなかったんだ」
二人の胸に平和への確かな希望が灯ったところで、SPの男性がそっとカガリに声をかけた。会談の時間だ。
「よし、行こうか。この平和を、もっと確かなものにするために」
「うん、行こう!」
私たちは小さく頷き合うと、引き締まった表情でプラント政府の迎賓館へと向かった。
ロビーに入ると、すでにプラント側の高官たちが、オーブの代表であるカガリと、コンパスの一員である私を歓迎するために、にこやかな笑顔で待ち構えていた。世界を繋ぐための、大切な未来への話し合いが、今ここから始まろうとしていた。