バイクのエンジンを切り、静まり返った住宅街にひっそりと佇む我が家を見上げる。鍵を開けて中に入り、玄関のスイッチを押すと、パッと明るくなった部屋は私が出た時のまま、綺麗に整頓されていた。
「ただいま……って、誰もいないけどね」
何日も基地に泊まり込んでいたせいか、自分の家なのにどこか久しぶりのような、不思議な感覚に包まれる。静寂が少し寂しくて、私はとりあえずリビングのテレビをつけ、深夜のニュース番組をBGM代わりに流した。
「ふぅ……疲れたぁ」
着ていた上着を脱ぎ捨て、タンクトップ一枚の身軽な格好になる。
その時、ふと自分の胸元に視線が落ちて、私は思わず瞬きをした。
「……あれ?」
毎日作業着かパイロットスーツばかり着ていたから気付かなかったけれど、タンクトップの生地が以前よりも明らかに張っている。ファンデーションとの死闘を繰り広げていたあの頃よりも、明らかに……その、たわわに実っているというか、デカくなっているのだ。
(これ……ひょっとして、今のマリュー艦長ぐらいあるんじゃ……!?)
思いがけない自分の成長に少し戸惑いつつも、それよりも今は別の不快感が勝っていた。お酒を飲んで盛り上がったことや、そこからバイクで夜風を切って走ってきた影響で、タンクトップの下の肌はすっかり汗だくだ。
「……うん、色々考える前にお風呂に入ろう」
私は脱衣所へ向かい、お風呂のお湯張りのボタンを押した。
着替えとバスタオルを用意しようと棚を開けた時、その横に飾ってあるいくつかの写真立てがふと目に留まった。
一つは、コンパスやオーブの仲間たち――シンやルナマリア、カガリやアスラン、キラたちと一緒に撮った、最近の笑顔溢れる賑やかな写真。
そしてもう一つは、あの過酷だった『メサイア攻防戦(メサイア・ショック)』の時代に、私が率いていたロンド・ベルの仲間たちと撮った少し色褪せた写真だった。
写真の中で、少しあどけなさの残る私の隣には、いつも私を支えてくれていた『副艦長』が、静かに、けれど優しい瞳で笑って写っている。
その顔を見つめていると、今日、コロニーのカフェでキラとラクス様に聞かれた言葉が不意に脳裏に蘇ってきた。
『リンには……その、好きな人とか、いないの?』
「……っ」
その途端、写真の中の副艦長の顔と過去の記憶がフラッシュバックして、私の顔は一気にカッと熱くなった。
(わ、私ったら……何考えてるのよ、もう……!)
首まで真っ赤になりながら、私はブンブンと首を横に振ってその考えを追い出そうとする。少し恥ずかしいような、くすぐったいような気分を誤魔化すように、私は棚から勢いよくバスタオルを引っ張り出した。
「お、お風呂! そう、早くお風呂の用意を完全にしなきゃ!」
誰も見ていないのに一人で慌てふためきながら、私は沸き上がるお湯の音が響く浴室へと、逃げるように足を踏み入れた。湯船にざぶんと浸かると、温かいお湯が全身の疲れをじわじわと解きほぐしていく。
「ふふふーん、ふふーん♪」
お気に入りの曲を心地よい鼻歌(鼻声)で歌いながら、私は広めの湯船の中で思いきり足を伸ばした。やっぱり自分の家のお風呂は一番落ち着く。キラたちの穏やかな笑顔や、カガリの酔っ払いっぷりを思い出して、自然と頬が緩んでしまう。
そんな風にすっかりリラックスしていると、脱衣所に置いてきた端末から、ピピッと小気味いいメールの受信音が響いた。
「ん? 誰からだろ、こんな時間に……」
お湯から上がり、バスタオルを巻いて脱衣所へ戻る。画面を覗き込むと、差出人はなんとモユラン島のペントコスト司令からだった。
『リン、本日のプラントでの任務およびこれまでの連続勤務、苦労だった。ムウ大尉からも「少し休ませてやれ」と直訴があってな。明日から3日間の特別休暇(お休み)を付与する。機体のことは心配せず、私生活を充実させておいで』
「ええっ、本当!? やったぁ!!」
思わず誰もいない脱衣所で小さな歓声を上げてしまった。ムウさん、口だけじゃなくて本当に司令に話してくれたんだ。頼れる先輩の優しさに感謝しつつ、私はさっそく「明日、何をしようか」とベッドに転がりながら考え始めた。
「せっかくのお休みだし、やりたいことはたくさんあるよね……」
まず頭に浮かんだのは、自分の身体のメンテナンスのことだ。
「最近、両足の義足の調子がちょっと良くないんだよね……。歩く時にほんの少し違和感があるし、この機会に新調しに行くのも一手かな」
モビルスーツの整備ばかりで自分の足の調整を後回しにしていたから、これは最優先かもしれない。
そして、もう一つの切実な問題。
私はベッドの上で、今さっき脱いだばかりの服を見つめた。
「それから……下着と服も買いに行かなきゃダメだなぁ……」
さっきタンクトップがきつくなっていることに気付いたけれど、よく考えたらブラジャーもサイズが全然合わなくなって、胸が苦しかったのだ。それに、胸だけじゃない。
「お尻の方も、学生時代に着ていたお気に入りの服が、この前着ようとしたらパツパツで入らなくなってたっけ……」
昔に比べて、いつの間にかずいぶんと全体的に体型が女の子らしく……というか、メリハリがつきすぎてしまっている。嬉しい悲鳴ではあるけれど、このままだと着る服がなくなってしまう。
「よし、決まり!」
私は手元のタブレットを開き、明日のスケジュールを書き込んでいく。
午前中は義足の専門クリニックに行って、最新のパーツで足の調子をバッチリ整える。
そして午後からは、オーブの最先端のショッピングモールへ行って、今の私にぴったりの可愛いブラジャーやタンクトップ、それからお尻のサイズにも余裕があるお洒落な新しい服をたくさん買い込むんだ。
「久しぶりのお買い物、すっごく楽しみ……!」
明日のお出かけを想像するだけで、胸の奥がワクワクとした気持ちでいっぱいになる。私は明日への期待に胸を膨らませながら、心地よいベッドの中で、吸い込まれるように深い眠りへと落ちていった。
一応リンの年齢は22歳で
身長は171
体重は秘密
大きさはHと店員に、言われる
残りはウェスト97、ヒップ99ある