オンゲのフレンドがリアルのセフレになりまして ~フレンドなんだからリアルでもボクと一緒に楽しいことしよ!~ 作:真喜屋五木路
友情は永遠に
「んぅ……あれ、もう夜……?」
ボクの意識が再びはっきりしたのは、部屋がすっかり暗くなってからだった。
時間を確認しようと身動ぎした所で、全身をぎゅっと抱きしめられる。
「起きたか、歩」
「あ、徹……」
起きてすぐ大好きな温かさを全身で感じて、ボクは徹の胸板に頬ずりをする。
「ふふっ、やっぱり朝起きて徹がいるのって、いいなぁ……」
「確かにな」
徹は代わりとばかりにボクの後頭部へ鼻を埋め、すぅっと深呼吸してきた。
「あ、その……徹っ、今はちょっと、昨日お風呂入ってないし、汗もいっぱいかいちゃったから……く、臭くない?」
「全然、むしろいつまでも嗅いでたいぐらい」
即答した徹は犬みたいに鼻先でわしゃわしゃと髪をかき乱してくる。
「あ、ちょっと徹……っそれ、髪が崩れるから……っ」
実際は髪型なんてとっくにボロボロで、恥ずかしさを誤魔化すための言い訳だったのだが、その言葉に徹がピタリと動きを止めた。
「あの、歩、それなんだけどさ……できれば、髪型前のに戻してくれないか?」
「へ、なんで? 徹好きなんだよね、ハーフアップみたいな清楚系の髪型」
だからボクの好きな髪色と徹の好きな髪型を合わせるのはいいアイデアだと思ったのだけど。
「いや、それは否定しないけど、やっぱり歩といえばあの髪型のイメージだし……その、俺が好きになったのはそっちの歩だからさ」
「~っ」
やっぱり恋人なんかならなければ良かったかもしれない。
(こ、このままじゃあまりに徹の火力が高すぎて、ボク死んじゃうんだけど……っ⁉)
あーうーと心の中で散々悶えまくり、それからできるだけ平静を装って口を開く。
「ふーん……で、でも、そう言う割には今日、すっごい興奮してたんじゃない?」
「いや、それは歩と付き合えたのが嬉しくて……」
「本当に? 清楚そうな子がこんなにえっちだったなんて――って興奮してたんじゃないの?」
「うっ……」
図星らしき徹が言葉に詰まり、たっぷりと逡巡して。
「……その、たまには清楚だけどえっちな女の子プレイもしてくれると嬉しいです」
「ふふっ、よろしい」
ボクはぎゅっと徹に抱きつき、ふと今なら例の計画を実行に移せるのではと思い至った。
「なら、その代わりと言っちゃなんだけどさ、一つ徹にお願いがあるんだけど」
「お願い?」
「うん、実は……」
――――
「はぁ……すっげぇ緊張した……」
「ふふっ、お疲れ徹っ♪」
学校からの帰り道、ふらつきそうになる徹の腕にぎゅっと歩が抱き着いた。
瞬間、周りにいたまだ事情を知らない生徒が二人の方(というか主に徹)へと容赦のない視線を浴びせかけ、徹は教室での一日を思い出して再びため息をつく。
「注目浴びるのってあんなに疲れるんだな……」
「そうだよ、徹もボクの気持ちがちょっとわかった?」
「いや、歩と違って俺にはなんか男連中から殺意みたいなのも向けられてたんですけど⁉」
「大丈夫だよ、いざとなったらボクが守ってあげるからさ♪」
「それ普通は男が言う奴だからね? うう、明日から教室に入るのに胃が痛い……」
そう、歩のお願いとは自分たちの関係を学校でも大っぴらにするというものだった。
「――実はさ、徹がボクの彼氏なんだ」
そうギャル友に紹介された時の教室のざわめきは凄まじく、それと同時に男子連中から突き刺さる嫉妬の視線もまた凄まじかった。
それはもう視線で人って殺せるんだなというほど恨みがましくて……。
ただ、唯一幸いなのは歩の友達からは好意的に受け入れてもらえた点だろうか。
「へぇ、本当はヨッシーと付き合ってたんだ。ま、歩が選んだだけあってよく見ると結構可愛いじゃん」とか、「万一歩泣かせたらどうなるか分かってるよな?」とか、「まあこれからしごいてやれば歩と並んでもギリ恥ずかしくないか」とか……アレやっぱり微妙な扱いなんじゃこれ?
徹がこれからの日常に半ば呆然とした目で中空を眺めていると、きゅっと袖が引っ張られる。
「……あの、それともやっぱり徹は、ボクたちの関係は秘密のままがよかった?」
不安そうに見つめてくる歩に、徹は「悪い」と苦笑する。
「いや、そんなことはないって」
「本当に? 無理してない?」
「いや、確かにちょっと無理はしないといけないかもだけど……でも、お陰でこうやって一緒に帰れるわけだし」
「あ……」
腕に抱き着いている歩の手に指を絡めて恋人繋ぎにすると、露骨に嬉しそうな溜息が漏れる。
同時に背中に突き刺さる視線が増えた気がするが、幸せそうな歩の前では些細な問題だ。
「ふふっ、そうだね。これからはどこでもイチャイチャできるわけだし♪」
「そうだな、というかもうちょっと外に出ないと不健全一直線だし」
「えー、ボクはそれでもいいけど?」
歩は徹にだけ見えるように一瞬小悪魔のような悪戯っぽい笑みを浮かべて。
「……けど確かに、せっかくこうやって徹とリアルでも堂々と遊べるようになったんだもんね。色々楽しまないと損かも」
「だろ? 俺たちは恋人でもあるけど親友でもあるんだからさ」
「ふふっ、それもそっか……それじゃあ徹、今週末はなにして遊ぶ?」
そう聞いてくる親友の笑顔は、今までで一番キラキラと輝いていた。
改めて、ここまで読んでいただきありがとうございました。
楽しんでいただけていれば幸いです。
完結記念と言うことで、評価やお気に入りでお祝いしてもらえると……嬉しいです(その方がやはり目に止まって読んでもらいやすくなるので)。
――以下後書きなので興味がある方だけ――
まずは最後までお読みいただきありがとうございます。
今作品のコンセプトは「気の置けない男友達との遊び感覚でって絶対楽しいよね」というのが一つ。
そしてもう一つ、終盤の「常に病んでいるヤンデレではなく、普通の子が落ちる瞬間こそいいダシが取れるのでは」という創作仲間の意見(だいぶ意訳してますが)というのが軸にあります。
なので全般的に歩は明るく気さくな友達として描いていますが、読み返した時に関係の変化に対して否定的だったり、ほんのりと徹に依存している感じが出せていればと思います。
分かりやすいところで言えば、歩は最後の最後まで徹に対して自分のことを名前で呼ばせる一方、徹のことは『トール』と頑なに呼び続けたりしているのも、関係の変化を嫌っての現れだったり。
なのでタイトルの『オンゲのフレンド』要素は意外と薄いというか、なんというか……タイトルづけはもう少しいいのがあったんじゃないかと今更にして思わなくはないですね……。(一応ゲームは色々途中で出したりしてはいますが)
正直なところ、前作の長編(弱みを握る方)と比較してイマイチ伸びなかった印象もあり、もしかして微妙な作品だったか? と思ってしまってはいます。
一章とかまるっと、二人の出会いのためだけに使っちゃってたりとか、官能作品としてはもうちょい早い段階でなんかあった方が良かったのか? いやでもそうなると歩があまりにも軽い女の子になるし……とか、割と今も悩んでいたり。
というわけで、今後の作品の指標のためにも、忌憚ないコメントを頂ければと思っています。
それこそ「面白かった」「つまらなかった」「よかった」「わるかった」の一言でもいいので……。
なにはともあれ、また次回作で会えることを楽しみにしております。
次は一本短編挟んで、今度はファンタジー系でやりたいなぁ……とか(思ってるだけ)。
それではこんなチラ裏めいたところまでお付き合いいただきありがとうございます、また会う日まで!