オンゲのフレンドがリアルのセフレになりまして ~フレンドなんだからリアルでもボクと一緒に楽しいことしよ!~ 作:真喜屋五木路
「その、シャワーありがとね」
「ああ、別に……」
先にシャワーを浴びてベッドに座っていた徹は、ピンクの髪をしっとりと濡らし、バスタオル一枚を纏っただけの歩に、思わず目を泳がせる。
タオルの長さが足りないせいで、胸部の隙間から柔らかそうな肌色がちらりと覗けているのが、たまらなく理性に悪い。
「……えーと、おじゃまします?」
歩が隣に座ってきて、ベッドが軋む。
ふわりと湿気を帯びた甘い香りが漂い、心臓が口から飛び出そうなほど跳ねた。
「あはは……その、思ってたより何倍も恥ずかしいや、これ。心臓がすっごくうるさいぐらいドクドクしてるし」
動揺を誤魔化そうとするよういつもより早口な歩に、自分だけではないのだと徹は少しほっとする。
「いや、仕方ないだろ……異性の前で服脱いでるんだから。……俺も、油断したら心臓が出てきそうだし」
「あはは、そっか、トールもおんなじなんだ……」
歩もちょっと安堵したというように微笑みを浮かべた。
「でも、こんなところでドキドキしてちゃダメだよね……今からもっとえっちなことするんだから」
「っ、そう、だな……」
そう、現状はタオルを巻いて横に並んで座っているだけ。
コース料理で言えば前菜すらまだで、店に入ったところぐらい。
「それで、その……先に言っとくんだけど、ボク、えっちなこととか得意じゃなくて……今まで具体的なことはできるだけスルーしてたから、その……全然えっちなこと知らなくて……。だから全部、トールにお任せしちゃいたいんだけど、いいかな?」
歩は顔を真っ赤にしながらも、縋るような目で見上げてくる。
正直なところ徹も興味があってテクニックなどを調べたことはあれ、知識のほとんどが創作物由来なのだが……そんな顔をされて無理ですと言えるはずもない。
持てる知識を総動員して、なんとか言葉を絞り出す。
「じゃ、じゃあ……その、最初はキスからするか?」
「ぇ、あ……き、キス⁉ い、いきなり⁉」
飛び上がって目を白黒させる歩。
「いや、いきなりというか……多分、かなり軽い方のスキンシップだと思うけど」
「え、あ、や……でも、キス……キスかぁ……」
本気で葛藤している歩を見ていると、ちょっと自信がなくなってくる。
「……その、俺とキスしたくないっていうなら、多分それ以上のことは止めといた方がいいんじゃ――」
「あ、や、違うの! その、キスって恋人がするものじゃんか……?」
「まあ……?」
徹が疑問符を浮かべていると、歩は「だから!」と語気を強める。
「その……トールはキスしてもちゃんとボクと親友でいてくれる?」
ああ、つまり一回やったからといって勘違いはするなということか。
歩の意図を察し、徹はしっかりと頷く。
「わかった、約束する。ちゃんと友達のままでいるから」
「ん……それなら、いい、よ……?」
小首を傾げていた歩は、アニメみたいに唇を突きだした。
顔の赤さも相まって、まるでタコみたいだなと徹は思わず笑ってしまう。
「……くくっ」
「ちょっと! 酷いよトール、笑うとかさぁ!」
「あ痛っ、悪い! 悪かったって! でもそんな力まなくてもいいのにって!」
「し、仕方ないじゃん! だってやり方知らないんだし!」
怒った歩が、割と容赦ない力加減でつんつんと脇腹を突いてくる。
「や、ほんと悪かった! ――じゃあその、もっと力抜いて、少しだけ唇開く感じで」
「……ん、分かった」
「後はそのままじっとして……あ、目は閉じた方がいいかも」
尤も最後の指示は徹が気恥ずかしかったからだが。
歩の白磁のような肩を捕まえて、徹はゆっくりと顔を近付ける。
(やっぱ歩、すげー美人だよな……)
目を閉じたキス待ち顔の歩は、まるで童話の眠り姫のような神秘さを纏っていて。
――柔らかさが、重なる。
一秒、二秒、三秒……ゆっくりと離れると、熱っぽい吐息が唇の後を追った。
「っ……キスって、こんな感じなんだ」
うっすらと開いた歩の瞳はしっとりと濡れている。
「生ぬるくて、湿ってて……ん、なんだろ」
「……嫌、だったか?」
徹はつい自分のやり方がまずかったのではと不安になって聞いてしまうが、歩は目を細めて首を振った。
「ううん。不思議な感じだけど、嫌じゃないかも。えへへ、トールが相手だからかな」
たぶん、歩のこれまでの発言からして、その言葉に深い意味はないのだろう。
けれど、そんなことを言われて滾らないはずがなかった。
「……歩っ!」
「トー……んっ、ちゅっ、んむっ」
再び歩と唇を重ねる。
驚かせないようにと遠慮がちだった一回目と違い、今度はその弾力を芯まで味わうように思いっきり密着させる。
小鳥が餌をついばむような水音だけがしばらく部屋の中に響いた。
「んっ……あ、トールってば、激しいよ……」
徹が離れると、酸欠で顔を赤くした歩が困ったように苦笑する。
「悪い……でも、今のはキスでも軽い方だと思うぞ」
「え、そうなの?」
「……もしかして、ディープキスとかも知らない?」
「名前は、聞いたことある。友達がやったって言ってたし、ボクも経験あることになってるけど……普通のキスと違うの?」
歩が本当に無知であることに、それを今から自分が染めようとしていることに腹の底が疼くような興奮を感じながら、徹はできるだけ冷静に説明する。
「あー、今のキスが唇合わせただけじゃん」
「だけって、それでも一大事だよ!」
「……えー、ディープキスは舌を入れます」
「えええぇええぇぇッ⁉」
歩は発光しそうなどに赤くした顔を布団に埋めた。
「ううぅぅ……ぼ、ボク、今まで人前でそんな恥ずかしい行為してるって公言してたの……⁉」
「ど、ドンマイ……」
耳まで羞恥で赤くしながら、どんよりとした空気を纏う歩。
徹は苦笑しながらその肩を軽く叩き――瞬間、歩がガバッと跳ね起き詰め寄ってきた。
その目はぐるぐる渦を描いているようにも、真っ暗な闇に沈みきっているようにも見える。
「……ディープキス」
「ちょ、どうした歩……⁉」
「ディープキスするから」
恥ずかしさがオーバーフローしてヤケになったらしい歩は、徹の肩をがしりとその場に固定すると、ゆっくりと自分から真っ赤な顔を近付けて――
「――んぐっ」
唇が押し付けられて、舌が差し入れられた。
ただ、歩の舌の動きは恥ずかしさを誤魔化そうとするかのようにめちゃくちゃで、度々犬歯に引っかかる。
このままでは怪我をするのではと、徹は宥めるように舌を絡みつかせた。
「っ! ……ちゅぴ、ちゅぱ……っ」
舌どうしが触れ合ったことで一瞬驚いたように目を見開いた歩だったが、すぐに思い出したように目を閉じて、舌を絡めてくる。
暴れるようだった舌の動きは、徐々にダンスを踊るようにしっとりと絡みあったものへと変わっていった。
「ちゅぷっ……これへ、あっへる?」
「うん、上手いと思う……ちゅくっ、ちゅる……」
お互いに吐息を混ぜあい、舌を舐めあい、唾液を塗りたくりあう。
歩の唾液は何だかほの甘く、段々と頭の芯が痺れるような感覚に、徹の理性は徐々にふやかされていった。
もっと歩を感じたい――そんな思いが頭の中で膨らんで体を乗っ取り、気付けば手が動いていて。
ふにゅり、と胸の柔肉に指先が触れた瞬間、歩が息を詰まらせ肩を跳ねさせた。
「あ、悪い……つい流れで」
「……あ、ううん。ボクこそトールにお任せって言ったのに、ごめん。次からはできるだけ驚かないように頑張るから」
そう言いながらも歩の指は小さく震えていて、それでもぎこちなくタオルをはだけさせる。
豊かな双峰がたゆんと揺れて現れた。
(っ、これは、想像以上に……)
徹はあまりの絶景に、思わず体を強張らせる。
タオル越しでも大きいとは思っていたが、それでもなお押しとどめられていたのだということを思い知らされた。
歩のおっぱいは、例えるならつきたての大きなお餅だ。
白くて柔らかそうで、重たげにひしゃげながらも垂れているわけではない。肌の細やかなキメが柔肉をたおやかな球体に引き締めている。
先端の色も恥ずかしそうに淡く、けれど雄を誘うような桜色に色付いて、まさに男の理想の巨乳だった。
「……トール、見過ぎ」
歩が腕で胸を隠す。
尤もそのせいで二の腕に挟まれた柔肉がむにゅりと量感豊かに変形し、徹は視線を逸らすのにやや苦労した。
「っ、悪い……」
「……その、必要なら仕方ないけど、できるならあんまり見ないでほしい……」
歩の表情には少し陰が差しており、胸に関して嫌なことがあったであろうことは容易に想像がついた。
(そういうことなら仕方ないか……)
本能が「舐めさせろ」、「吸わせろ」と叫んでいるが、無理強いはできない。
そもそもこれは歩のためにセックスを教えているだけだ、自分の欲望をぶつけるのは違うだろう。
徹は理性を指先まで漲らせ、柔毬を下から支えるように持ち上げ、マッサージをするようにやわく揉む。
「痛かったら言えよ」
「……うん、まだそれぐらいなら大丈夫」
少し緊張した面持ちな歩の様子を伺いながら、乳房の下方から全体へと優しく揉みほぐしていく。
感じさせるというよりリラックスさせるような手つきに、引き結ばれていた歩の唇が徐々に解けていった。
「んっ……やっぱり男の子って、おっぱい触りたいものなの?」
「……まあ、そう、だな。小さい方がいいって人もいるけど、大抵の男は大きい方がいいって答えると思う」
「トールは……あはは、ごめん。聞くまでもなかったや」
「おいコラ……いや、否定はしないけどさぁ」
笑えるぐらい歩の気持ちが緩んだことに安堵して、けれど勝ち誇ったような笑みを浮かべられるのはちょっと悔しくて、徹は遠慮していた乳首を軽く指ではじく。
「ひゃうッ⁉」
瞬間、歩が全身を跳ねさせた。
思った以上の反応に徹も思わず手を止める。
「と、トール……今のって……?」
驚いたような、自分の声に困惑したような歩の様子に、徹はやりすぎたかと心の中で舌打ちした。
「悪い、調子のった。痛かったか?」
「あ、や、痛くは、なかったんだけど……」
歩は困ったように小首を傾げる。自分が感じたものがなにか分からないというような表情に、けれど徹を見つめる目はどこか香るような期待を孕んでいるような気がして。
今度は少し優しく、親指と人差し指で、まだ柔らかな短塔をきゅっ、とつまむ。
「ひゃうっ!」
二回目の悲鳴には、間違いなく甘さが滲んでいた。
「い、いまの、なに……?」
眉は怖がるようなハの字だが、その下の目はほんのりと緩んでいる。
(ああ、そうか)
歩に性知識がないということは、多分自慰の仕方なんかも知らないわけで。
自分が彼女にはじめての快感を刻んだという興奮を押さえつけながら、徹はできるだけ優しい声を出す。
「それが気持ちいいってことだから、その感覚に集中してみて」
「う、うん。わかった……」
触りやすいように歩を膝の間へ座らせ、後ろから抱きしめる。
身長は同じぐらいだが、モデル体型で脚が長いからか、こうやって座るとちょっと小柄に見えて可愛らしい。
「触るぞ」
歩が小さく頷いたのを確認して、両乳首へと指を這わせる。刺激が強くなり過ぎないよう、磨くようにすりすりと乳輪ごと擦りまわす。
「あ、ひゃ……んくっ♡ なんかこれ……変っ……」
「大丈夫、それが気持ちいいってことだから、その変なのに集中して……」
「ん、了解……っ」
素直に頷く歩に疼く悪戯心を抑え込み、丁寧に撫でているうち、段々と乳首が硬く尖ってくる。
「あ、や、ダメ……ボクのおっぱい、変になっちゃってる……」
「正常な反応だから大丈夫だって」
変化しているのは乳首だけではない。全身がほんのりと熱を帯びて汗ばみ、吐息も短く不規則に変わっていく。
頭では分からなくとも、体は快感に順応し始めているのだろう。
(これなら、もう少し強い刺激でもいけるか?)
そう考えて、摘んだ乳首をきゅっと引っ張った瞬間だった。
「んにぃぃッ♡」
歩の肩が跳ね、一際鼻にかかった甘い声があがる。徹の腕の中で全身がふるふるっと小さく震えた。
「はぁ……はぁ……はぁ……ッ♡」
しばらく足先までを突っ張らせて天井を仰いでいた歩は、粘っこい吐息を吐きだす。
「あぅ、今の……は……?」
「今のはイくってやつかな。気持ちいのが集まるとそうなる感じ」
「つまりゲージ技みたいな……? イくのって、すごいね……」
徹を振り返り見上げる歩の顔はほんのりと蕩けていた。
快感に浸され、揺蕩い、ふやけた、そんな顔。
その手は無意識に徹の手に重ねられ、自分の胸に押し付けている。まるで「もっと今のを感じたい、もっと気持ちよくしてほしい」と言うように。
歩が無知だからこそ、それは誘惑などではない彼女の本音で。
もうこれ以上は限界だった。
快感すら初めての女の子をゆっくりと自分の手で染め上げていく瞬間にしか摂取出来ない栄養……。