俺のヒーローアカデミア~怪物(ジャイアント)の双璧~ 作:ラベンダーフェアリー
本作を開いていただき、ありがとうございます!本作は『僕のヒーローアカデミア』をベースに、『グラップラー刃牙』『シャングリラ・フロンティア』『対魔忍』の要素が極限まで融合した、W主人公による【最強無双×R-18】のクロスオーバーファンフィクションです。
天津気 忍: 243cm/211kg。晴天流と対魔忍を従え、AFOの撲滅を誓う冷徹な怪物。
緑谷 出久: 196cm/116kg。刃牙の武術と初手OFA50%を誇り、ハーレムを築く重戦車。
バトルはどこまでもバイオレンスに、夜は超濃厚な大人の乱交ルートをガッツリ描写していきます。
まずは主人公・忍の理不尽すぎる“人生の幕引き”からお楽しみください。
それでは、『怪物(ジャイアント)の双璧』の開幕です――!
第1話:熊と、神と、規格外のパッケージ
深夜の住宅街は、死に損ないの街灯が頼りなく明滅するばかりで、ひどく静まり返っていた。
俺――後に「対魔 忍(つしま しのぶ)」となる男は、小脇に抱えたビニール袋を大事そうに抱え直し、ひとり満面の笑みを浮かべていた。
中身は、今日発売されたばかりの『僕のヒーローアカデミア』の最新コミックスと、大好きなキャラクターの限定アクリルスタンドだ。
「よし、帰ったらさっそく特等席に飾って、夜通し原作を読み返すとするか……ッッ」
自分の部屋の学習机をどう模様替えしようか、そんな平和な妄想に胸を膨らませながら、視界の悪い暗い曲がり角へと差し掛かった、その瞬間だった。
ドン、と。
夜の闇をそのまま切り取って凝縮したかのような、圧倒的な「黒い質量」と正面衝突した。
「……え?」ライトノベルの定番なら、ここでトラックのヘッドライトが視界を白く染めるはずだ。
だが、俺の目の前にあったのは、そんな機械的な金属の塊ではない。
生臭い獣臭。
夜の底を引き裂くような、獰猛な咆哮。
住宅街のど真ん中で俺が出くわしたのは、冬眠に失敗したのか、丸々と太った野生の巨大な「熊」だった。
(待ってくれ、ここ地方都市とはいえ、一応は舗装された新興住宅街……ッッ)
あまりの不条理さに思考が停止する。
熊は、ヒロアカのグッズを抱きしめたまま硬直する俺を見下ろし、容赦なくその太い剛腕を振り下ろした。
肉が裂け、骨が砕ける、嫌な生々しい音が頭蓋の奥で響く。
ビニール袋から飛び出したコミックスが、俺の血で真っ赤に染まっていくのを見つめながら、俺の意識は唐突に、深い、深い闇の底へとブラックアウトしていった。
これが、俺のあまりにも理不尽な前世の幕引きだった。
次に目を覚ました時、俺は上下も左右も定まらない、完全な白一色の空間に浮かんでいた。
あまりの寒さも痛みのなさにも困惑していると、目の前の空間がぐにゃりと歪み、胡散臭い笑顔を浮かべた男――否、「神様」としか形容しようのない存在が唐突に現れた。
「やあ、不運な死に方をした少年。お前、転生な」
開口一番、神様はコンビニの挨拶並みに軽いノリでそう告げた。
「て、転生……!? ちょっと待て、さっきの熊は一体なんだったんだ! なんで住宅街に――」
「あー、細かいことは気にしなくていいから☆」
神様は俺の抗議をパシリと軽い手つきで遮ると、俺が抱きしめたまま死んだ、血塗られたヒロアカのグッズを指差した。
「まあ、死ぬ間際までその世界のグッズを大事に持ってたわけだしさ? 冥土の土産ってことで、その『僕のヒーローアカデミア』の世界に送ってあげるよ。特典と容姿に関しては、こっちの裁量で一番『面白いやつ』を勝手に選んでパッケージングしておいたから! じゃ、逝ってこい☆」
「おいふざけるな! せめて自分で選ばせろ! チート能力とか、格好いい見た目とか、色々と選ぶ権利が――」
俺が猛烈に食い下がろうとしたその瞬間、足元の真っ白な床がパカッと音を立てて二つに割れた。
重力など存在しなかったはずの空間に、強烈な自由落下(フリーフォール)の風が吹き荒れる。
奈落へと真っ逆さまに落とされる俺の耳に、あのクソ神の、どこかで聞いたことのある軽快なアナウンスの声が響き渡った。
『\ボッシュートです/』
「あのクソ神がああああああああああッッ!!」
「wwwwwwwwwwww」
俺の怒号は、次元の狭間の突風にかき消されて消えた。
「――ッッ!」
ガバ、と跳ね起きると、そこは古びた孤児院の一室だった。
カビ臭い空気と、並べられた安物のベッド。
どうやら俺は、前世で愛読していたあの『僕のヒーローアカデミア』の世界に、原作の主人公たちと完全に同い年の幼児として転生させられたらしい。
頭が割れるように痛む。
だが、それ以上に身体に凄まじい違和感があった。
俺は、まだ頼りない小さな手で自分の身体の「現状確認」を始めた。
「……なんだ、この感覚は……ッッ」
体格自体は、そこらの4歳児に比べて少しばかりガタイが良いという程度だ。
筋肉もまだバキバキについているわけではない。
しかし、部屋の隅にある手垢まみれの姿見の前に立ち、俺は絶句した。
鏡に映っていたのは、愛らしい幼児の顔ではなかった。
整ってはいるものの、顎の筋肉が異常なまでに発達し、すでにギチギチと筋張った不気味な輪郭。
アラミド繊維だろうが鉄柵だろうが噛みちぎれそうな、鋭く尖った凶悪な歯。
それは、かつて前世で読んだ格闘漫画の怪物――あの過剰な薬物と狂気的な鍛錬に手を染める前の、『ジャック・ハンマー』の面影をそのまま幼少期に落とし込んだ顔つきだった。
「……嘘だろ。何だこの顎は。4歳児にして、あの最も狂気に満ちた時代の顔立ちをさせられているのか……ッッ」
自分の顔の凶悪さに引き攣っていると、さらに脳の奥底に、この世界での「能力」――すなわち【個性】の情報が、洪水のように流れ込んできた。
その個性の使い方を本能で理解した瞬間、俺の周囲の空間がゆらりと歪んだ。
ポフン、と小気味いい音がして、俺の周りに『何か』が出現する。
それは、手のひらにすっぽりと収まるような、シルバニアファミリーサイズの人形……いや、実体を持たない、ぷかぷかと宙に浮くミニチュアの絶世の美女たちだった。
黒髪のポニーテールを揺らす凛とした美女、金髪の妖艶な魔族、大人の色気を放つ女戦士――。
(……井河アサギ……イングリッド……アンネローゼ……!?)
前世の記憶が叫びを上げる。それは、かつて別世界のゲームで「感度三千倍」というパワーワードとして名を馳せた、あの『対魔忍シリーズ』のキャラだった。
アサギたちのミニチュアは、宙に浮きながら、じっと俺の11年前のジャック顔を見つめている。
バキシリーズの超絶バイオレンスな血統を思わせる面構え。
それに対して、内に宿ったのは、淫靡かつチート級の異能を誇る対魔忍の召喚術。
これっぽっちも噛み合っていない、あまりにも極端すぎるギャップの塊が、この俺という一人の人間にパッケージングされていた。
俺は、発達しすぎた顎の奥歯をギリリと噛み締め、後のジャック・ハンマー直系の静かで重厚なトーン――三宅健太さんの重低音ボイスのプロトタイプのような声で、ポツリと、しかし確かな怒りを込めて呟いた。
「……見た目が幼いジャックで、個性が対魔忍の召喚……。これからどうしろって言うんだ、あのクソ神は……ッッ」
オールマイトという平和の象徴が燦然と君臨する、現代のヒーロー社会の片隅で。
薄暗い孤児院の部屋のなか、4歳の忍は静かに拳を握りしめ、理不尽な天を仰ぐのだった。
熊に襲われ、神のノリで『ボッシュート』された先は、大好きなヒロアカの現代社会。
だが、与えられたのはジャック・ハンマーの体と、ぷかぷかと浮遊する『対魔忍』の召喚術だった。
規格外のギャップに頭を抱える4歳の俺を待っていたのは、「個性診断」。
そこで俺を診察室で待ち受けていたのは、よりによってあの白衣の絶対的な黒幕――殻木球大だった。
次回、第2話!【白衣の邪悪と、四歳児の時価総額】
「……個性を根こそぎ奪い、骨の髄まで使い潰す……ヒィ、ヒヒッ!」
暴かれた特異点の肉体。突きつけられた確定の死刑宣告。
生きるため、4歳の怪物の雛(ひな)は決死の夜へと走り出す――!