午後の実技室は、いつもより少し緊張した空気に包まれていた。
「え……今日のヌードモデルさん、急にキャンセル?」
喜多川郁代がスマホの画面を凝視しながら声を上げた。赤い髪を耳にかける仕草が、珍しくぎこちない。
教授から連絡が入ったのは、授業開始直前だった。都会の美大とは違い外部のヌードモデルを確保するのは簡単ではなく、今日の講義は完全に白紙になってしまった。
根元陽菜は眼鏡を押し上げ、いつもの無口モードでスケッチブックを抱えたまま小さく呟いた。
「……せっかく楽しみにしてたのに……」
三人の視線が自然と交錯する。気まずい沈黙が数秒続いた後、俺──高村虎太郎は、半分冗談、半分本気で口を開いた。
「俺がモデルやろうか?」
「「えっ……?」」
二人が同時に声を揃えた。喜多川さんは目を丸くし、根元さんは眼鏡の奥で瞬きを繰り返す。
「まあ、3人しかいないクラスだし、こんな機会そうそうないだろ? 俺、別に恥ずかしい体じゃないし」
俺は軽く肩をすくめてみせた。実際、心の半分は本気だった。細身ながらも程よく筋肉がついた体には自信がある。腹筋は薄く割れ、胸板も厚めで、全体的に引き締まっている。そして──男として大事な部分、おちんちんも、平均より明らかに大きい自覚があった。普段は服の下に隠しているが、晒してみたいという好奇心も、確かにあった。
喜多川さんが最初に反応した。頰を少し赤らめながら、いつもの明るい笑顔を無理やり作る。
「う、うわー……虎太郎くん、急に大胆! でも……本気?」
根元さんは真っ赤になって俯き、指先でスケッチブックの端をいじりながら小さな声で言った。
「……高村くんが……裸……? そ、それは……芸術的には、すごく貴重な機会では……あります……」
二人の視線が俺の体をチラチラと這う。困惑と好奇心が混じった表情が、なんだか可愛かった。結局、10分ほどの協議(主に喜多川さんが「せっかくだし!」「陽菜ちゃんも描きたいんでしょ?」と根元さんを焚きつける形)で決まった。
俺はその場で服を全て脱ぎ、どうせ全てを見せるのにもかかわらず何となく腰にタオルを巻いて教室の中央に置かれた台の上に上がる。
「じゃあ……失礼します」
タオルをゆっくり外した瞬間、二人の息を飲む音が聞こえた。俺の体が完全に晒される。肩から腕にかけてのしなやかな筋肉、引き締まった腹部、そして股間の——半ば勃ちかけている太くて長いおちんちんが、教室の明るい自然光の下に堂々と露出した。亀頭の形もくっきり浮かび上がり、血管が浮いた幹の太さは、彼女たちにとって明らかに想定外だったようだ。
喜多川さんが赤い髪を掻き上げ、目を逸らしかけてはまた戻すのを繰り返す。
「うわ……虎太郎くん、意外と……ガチで逞しいじゃん……。あそこも……すっごい……」
根元さんはもう真っ赤を通り越して耳まで赤くし、眼鏡が曇りそうになりながらも、手は素早く鉛筆を動かし始めていた。お下げの黒髪が震えるほど緊張しているが、瞳は熱を帯びて俺の全身、特に股間部分を捉えている。
「……線……太い……。比率、ちゃんと取らないと……」
俺は指定されたポーズを取った。片膝を立てて座るような自然体。股間が正面からよく見える角度だ。
「動かないように……頑張るよ。描いてくれ」
喜多川さんが少し声を上ずらせながら笑った。
「虎太郎くん、堂々としてるね……。なんか、芸術的っていうか……エロいっていうか……」
「喜多川さん、集中してください……!」
根元さんが珍しく強い口調でたしなめるが、彼女自身も視線を股間に釘付けにしている時間が長い。教室に鉛筆の音と、三人の息遣いだけが響く。
この狭い絵画科で、たった3人だけのヌードデッサンは、こうして始まった──
俺の太く逞しいおちんちんが、二人の視線を一身に浴びながら、ゆっくりとさらに硬度を増していくのを感じていた。
ファンタジーは加速する