【ラブライブ μ's物語 Vol.7】 にこ姉ぇの親友に手を出した話 作:スターダイヤモンド
三人で近くのスーパーに来た。
にこ姉ぇと買い物なんて…いつ以来だろう。
小学校に上がる前くらいが最後か?
あの頃は、にこ姉ぇの顔を見上げて歩いていた。
しかし今は、彼女の頭の頂点を覗き込めてしまう。
光陰矢の如し…か。
俺も随分大人になったもんだ。
「花陽、アンタは食料品コーナーを周っててくれない?」
「にこちゃんは?」
「アタシは洗剤とか生活用品を見てくるから」
「了解です」
「これ、今日の買い物リスト…」
「あ、はい…ん?…お米も買うの」
「今日は5人で食事だし…アンタがいたんじゃ、いくらあっても足りないでしょ?」
「え〜…昔ほどは食べてないよう」
「へ〜…じゃあ、一杯でいいのね?」
「うぅ〜 それは…」
花陽さんの眉が、ハの字になった。
「こたは花陽を手伝ってあげて」
「えっ?」
「アタシはついでに生理用品とか買ったりするから…一緒に周るのはイヤでしょ」
「お、おう…」
女もアラサーになると、デリカシーというものが無くなるらしい。
もっとも、話す相手が俺だからかも知れないが…。
「じゃあ、宜しく。先に終わったら、合流するわ」
「私たちが先に終わったら?」
「そうね…じゃあ、あの辺で待ってて」
にこ姉ぇはレジの奥にある、イートインスペースのあたりを指差した。
「今日はサンマの炊き込みご飯と、お鍋なんだって」
「そ、そうなんですか…」
俺は買い物カゴをカートの上下に乗せた。
「まずはお野菜からだね…えっと…最初は…白菜…と…」
メモを見ながら、花陽さんが移動する。
俺はその後をカートを押しながら付いて歩く。
「次は…長ネギと人参とエノキと…シイタケと…」
花陽さんは真剣な顔で、食材の良し悪しを丁寧に見定めて…選んだ品を後ろにいる俺に手渡していく。
ふくよかな胸に誤魔化されがちだが…花陽さんもにこ姉ぇに負けず劣らず、背が低い。
並んで歩いてみて、改めて感じたことだ。
加えて…あの時、一緒に繋いでくれた手は、こんなにも小さくて可愛かったのか…ということも知る。
野菜を渡される度に、手が触れる。
そして、その滑らかな肌触りが、俺の鼓動が高鳴らせていく。
入念に洗った…とはいえ#、俺のこの右手は…さっきあなたを汚(けが)すことに使用した手なのです…。
もちろん、そんなことは知らないでしょうけど…。
俺の心の中に、背徳感のようなものが湧き上がる。
いや、それはそもそも、今に始まった話じゃない。
花陽さんが、姉の親友だ…と知りつつ、毎回、そういう行為に及んでいたわけだが…そこには常に、にこ姉ぇへの贖罪の意識があった。
「ごめん…姉ちゃんの、大事な人、奪っちゃったよ…」
妄想の中だから許されたシナリオ…。
だが、さっきのは…
本人を目の前にして起こした、現実世界での出来事なのだ。
「こたろう君、こっちとこっち、どっちがいいと思う?」
花陽さんの、その問い掛けに、俺は我に帰った。
「えっと…どっちも同じじゃないですか?」
「う〜ん…こっちは長野産で、こっちは茨木産なんだけど…値段も量も変わらないんだよねぇ…悩むなぁ」
「何が違うんですかね」
「お米の違いならわかるんだけどなぁ…キノコまでは…あ、そうだ!じゃあ、こたろう君…ちょっと目を瞑って」
「えっ?」
め…目を瞑って?
急に?
何故…
まさか…
き…き…き…キス?
こんなところで?
何の脈略もなしに?
全身から汗が吹き出した。
「はい!!右と左と…どっちがいいですか!?」
「えっ?…あ、えっと…じゃあ右で!」
勢いに押されて、とっさに口にした。
「右!?…はい、長野産に決まりました!」
「あ、はい…長野産ですよね…」
質問の意味を悟り、目を開けた。
花陽さんがキラキラとした瞳で俺を見ていた。
さすがに…ここでキスはない!
するハズがない。
期待した俺が馬鹿だった…。
「ん?」
「いえ、別に…」
「じゃあ、ちょっと鮮魚コーナー見てくるね」
俺に長野産の椎茸を渡すと、トテトテとここを離れていった。
〜つづく〜
感想をお聴かせ下さい。
-
エロい
-
面白い
-
ふつう
-
つまらない
-
期待外れ
-
その他