【ラブライブ μ's物語 Vol.7】 にこ姉ぇの親友に手を出した話 作:スターダイヤモンド
その時だ。
「あっ、矢澤じゃん」
「!!」
俺に気が付いた同級生が声を掛けてきた。
大倉っていう女子だ。
通称『ジョニー』。
芸能人で例えるなら『宮下愛』に似ていて…俺はまったく彼女に興味はないのだが…割りと男子の人気者は高い。
「な、何してるんだよ、こんなところで」と間が悪い時に使う、お決まりのセリフを吐く俺。
「買い物に決まってるでしょ」
「そ、そりゃそうだ…」
予想通りの答えが返ってきた。
「そっちこそ…こんなところでデート?」
花陽さんをチラ見しながら、大倉が呟く。
「バカ!なに言ってるんだよ。あんな歳の離れた人が彼女の訳ねーじゃん。姉ちゃんの友達だよ、姉ちゃんの!」
「歳の離れた?」
「あの人…ひと周り近く、上」
「ウソ?見えない…」
「嘘じゃねーよ。俺からしたら、おばさんみたいなもんだし」
「へぇ…おばさんねぇ…」
「なんだよ…」
「まぁまぁ…黙っててあげるから、本当のことを言いなよ」
「本当のことだっつうの!」
「ムキになると余計に怪しく見えるよ」
「ムキになってねーし!」
俺は小中の時は、先生からも先輩からも『矢澤の弟』と呼ばれていた。
良くも悪くも、姉3人の名前が付いて回る。
『4代目』なんてあだ名で呼ばれたりもした。
俺はシスコンだと思われたくなくて、ずっと「姉ちゃん、関係ないし…俺は俺だし」みたいなキャラを演じてきたが…正直、姉たちのお陰で色々守られてきたり、助けられてきたりした部分もある。
高校では…同じ中学から進んだ先輩や同級生…は知っているけど、大抵の人は姉の存在を知らない。
もちろん、この大倉だって知らない。
「…っていうか、矢澤ってお姉さんいるんだ」
案の定、訊かれた。
「あぁ…まぁ…3人ほど」
「へぇ…」
「…で…一番上の姉ちゃんの…友達」
「なるほど」
一緒にいたのが花陽さんじゃなく姉とだったら『彼女』と間違われることはなかっただろう。
俺たちは顔がみんな気持ち悪いほど似てる為、一目で兄弟姉妹(きょうだい)とわかるからだ。
「こたろう君のお友達?」
鮮魚コーナーで品定めをしていた花陽さんが、生牡蠣のパックを手に戻ってきた。
そして俺たちを見るなりそう訊いた。
「あ、はい…矢澤君のクラスメイトで…」
大倉が頭を下げた。
「こたろう君の彼女?」
「い、いえ…違います!全然、全然…ただの同級生です」
「は、はい…コイツはただの同級生で…」
「ふふ…ムキになると余計に怪しく見えるよ」
花陽さんのその言葉を聴いて、ぷっ…と大倉が吹き出した。
「?」
花陽さんが首を傾(かし)げる。
「えっと…今、その会話をしたばかりで…なぁ?」
「うん…」
「誰と?」
「コイツと…。コイツが花陽さんのことを彼女?なんて訊くもんだから」
「!?」
「だから、そんなんじゃねーよ。姉ちゃんの友達だよ…って説明してたところで」
「♪」
花陽さんの顔がほころんだ?
「どうしました?」
「彼女に見られたってことは…私もまだまだ捨てたもんじゃないのかな…なんて♡」
「そりゃあ、まだまだ全然です!全然イケてます!」、、
「あれ?矢澤、さっきこんな歳の離れたおばさんが彼女の訳ねーじゃ…」
「お〜い!!」
「お…ば…さ…ん?」
「あっ…いや…それは…その…言葉の綾ってやつで…」
「うわぁ、調子いい…」
大倉がニヤリとした。
「うるさいよ」
俺は顔をしかめた。
「へぇ…普段のこたろう君…ってこんな感じなんだぁ」
と、今度は花陽さんが俺を見て、ふふふと笑う。
「あ、いや…」
こんな感じって…どんな感じなんだ?
狼狽える俺。
早く消えろよ!と花陽さんに見えないよう、大倉に手でサインを送る。
それを察したのか「すみません、お買い物の邪魔しちゃって…」と大倉は、しおらしく花陽さんに頭を下げた。
「ごゆっくり♡」
別れ際、俺の耳元でそう囁いて、買い物客の中に姿を消した。
〜つづく〜
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