翌朝の食卓は、冬の朝に相応しい静かさだった。
ようやく日常に帰ってきた住人たちは、簡素な朝食が並んだ座卓を囲んで座った。
壊れた引き戸に毛布を被せて応急処置をしたものの、刺すような冷気を止めることは出来ていなかった。
家の中でも息が白くなるような有様だったが、それでも少しだけ以前の景色が戻ったように見えた。
アリスは座った俺の上に陣取り、動こうとしなかった。
母親は何度か窘めたが、昨日のこともあってか強く言えないようだった。
リリカは昨日の事など無かったかのように平静だった。
制服姿のまま、行儀よく朝食を口に運んでいた。
マリアはどこか落ち着かない様子だった。
視線が時折こちらへ向き、そのたびに慌てたように逸らしていた。
朝食が終わりかけたところで、俺は口を開いた。
「提案がある」
三人の視線がこちらに集まった。
「俺と一緒に暮らして欲しい」
三人はまったく違う表情を浮かべた。
マリアの青い瞳が大きく見開かれた。
アリスの顔が歓喜で輝いた。
リリカはどこか納得した様子で頷いた。
「昨日の件は落ち着いた。だが今度似たような事が起きないとも限らない。いざという時、手が届く場所にいた方が護りやすい」
マリアの顔に浮かんだ表情が、困惑から躊躇を経て遠慮へと変化した。
「そんな……そこまでご迷惑をお掛けするわけには──」
「ご迷惑をお掛けしますが、よろしくお願いします」
母親の言葉を追い越すように口を開いたのはリリカだった。
娘の予想外の発言に、思わず顔を向けたマリアが言葉を発する前に続けた。
「お母さん。昨日、もし叔父さんが来るのが少しでも遅れていたら、私たちはどうなっていたか分かりません」
「それは……」
「そうでなくても、今の私たちは女性だけの暮らしです。男の人がいたほうが安心できます」
リリカはそこで言葉を切って、自分の母親を見返した。
「もしお母さんが、叔父さんと暮らすのがどうしても嫌というなら仕方ありませんが」
「そんなわけないでしょう!」
思わずといった感じで腰を浮かしかけたマリアが、我に返ったようにこちらを見た。
慌てた様子で、なにか口を開きかけたようだったが、言葉にならなかった。
「なら、決まりですね」
リリカが箸を置いて口にした言葉と、アリスの歓声が重なった。
◆◆◆
朝食を終え学校に向かう二人を見送ると、部屋の中へ静けさが戻ってきた。
八畳一間の借家にいるのは、俺とマリアだけだった。
「……お茶、淹れますね」
マリアはどこか落ち着かない様子で立ち上がると、逃げるようにキッチンスペースへ向かった。
その背中を見ながら、俺は生活を共にする前に、明らかにしておくべき内容について考えていた。
マリアが湯呑みを運んできた。
俺の前に置き、座卓の正面に腰を下ろした。
俺は礼を言うと、彼女に向き直った。
「義姉さんに話しておかなければならない事があります」
「……虎徹さんのお仕事、ですね」
俺は頷き、拉致の経緯について話し始めた。
監禁中ショック状態ではあったものの、俺と津村の会話は断片的に覚えており、理解は早かった。
「ですから、義姉さん達が攫われた原因は俺です」
俺の一言を最後に、八畳一間の部屋に沈黙が降りた。
マリアはしばらく黙っていたが、やがて口に出した言葉は全く別の事だった。
「あの人が──龍一さんが、昔言ってました。『弟はとても不器用な人間だ』って」
机の上に向けられた視線は、どこか別の場所を見ているようだった。
「利口な……いえ、普通の人なら切り捨てたり、取り替えたりするような事を決して放り出すことができない。夢も、生き方も、──責任も」
マリアはこちらに向き直ると、深く頭を下げた。
「虎徹さん…ふつつか者ですが、どうかよろしくお願いします」
俺がなんと答えるべきか考えている間に、顔を上げたマリアが微笑んだ。
俺は黙ってその顔を見つめていた。
こんな時、兄ならどう返していたのだろうか。
答えはもう分からなかった。
◆◆◆
俺はパート先に休みの連絡を入れたマリアを車に乗せ、拠点都市の中央区へ向かった。
この家に住み続けるのは論外だったが、かといって今の俺の住処にも四人が住むだけのスペースはなかった。
俺は新しい住居に越すことを提案した。
マリアは驚いたようだったが「虎徹さんがよろしければ」と頷いた。
控えめな態度と思慮深さこそ変わらないが、今朝までの過剰とも言える遠慮は薄くなっていた。
中央区にある不動産会社は、落ち着いた雰囲気の店だった。
華美な装飾はなく、白と木目を基調にした内装の店内には静かな音楽が流れていた。
受付を済ませると、若い女の担当者が現れた。
俺とマリアを愛想よく眺めると、話を切り出した。
「本日はどういった物件をお探しでしょうか」
「四人で住める広さ。防犯性が高いこと。家主が不在中、女性だけでも安全を確保できること。入居は可能な限り早く済ませたい」
担当者は面食らったようだった。
客の警戒心を和らげるため用意された、営業用の雑談を口にすることも忘れていた。
思わずといった顔でマリアの方を見たが、マリアは微苦笑を浮かべただけだった。
「……失礼ですが、ご予算は」
「先ほど言った条件に合致するなら、どの物件でも構わない」
不動産への冷やかしがいるのかどうかは知らないが、担当者は目の前にいるのが接客すべき人種なのか考えているようだった。
「……少々お待ちください」
一礼し、奥へ下がっていく。
しばらくして代わりに現れたのは、白髪交じりの髪を丁寧に整えた初老の男だった。
物件屋よりは、英国系の仕立て屋でメジャーを持っている方が似合いそうな風情だった。
名刺を取り出して渡す動作の途中、初老の男が素早く俺を観察したのがわかった。
大したもので、自然な振る舞いに隠されたその動きは、こちらがほとんど気が付かない程だった。
設楽と名乗った男は、俺たちを先に席につかせると、自分も椅子を引いて座った。
「静間様がご希望の物件ですが、数はだいぶ絞られます」
余計な前置きを挟まず、設楽は切り出した。
「まず、防犯面から普通のマンションは対象外となります。不特定多数の出入りがありますからね。かといって一軒家となると、家主……静間様がご不在の際、安全保証が心許ない。ここまではよろしいですか」
俺とマリアは揃って頷いた。
「もちろん、この世に完全なセキュリティなどあり得ません。そこはご承知置きください。そのうえで私から、こちらの物件を提案させて頂きます」
設楽は手にした革張りのバインダーを机の上に広げた。
最初に目に入ってきたのは、一面のガラス張りと、その先に広がる拠点都市の眺望だった。
「三年程前に竣工したばかりの高層階マンションです。エントランスには施設警備員が常駐しており、ビル全体で、警備会社とも契約済みとなります」
設楽は資料をゆっくりと捲りながら話を続けた。
ソムリエがワインの説明をするような流暢さだった。
「マンション内には簡易ですが売店もありますので、静間様がご不在の間、外出を控えても最低限の生活には困らないかと。あとはこちらをご覧ください」
資料に記された間取りは、このマンション一階あたりの面積とほぼ同じだった。
「こちらワンフロア一住戸となります。もともとは富裕層の方に向けたショールームだったのですが、高額の為なかなか買い手がついておりません。最低限の家具を含めた内装がすでにございますので、すぐの入居という静間様のご希望とも合致しているかと」
俺は頷いた。
確かに、現実的な範囲で条件に合致していた。
「悪くないと思う。義姉さんはどうですか」
マリアは唖然としていたようだが、ゆっくりこちらを向いた。
「もちろん、私はいいのですが、でも……」言いかけて小さく被りを振った。
「私も構いません」
俺は設楽に向き直った。
「現地を確認したい」
設楽は恭しく一礼した。
「ええ、もちろん。お車をご用意しますので、少々お待ちください」
◆◆◆
設楽に案内された住居は三十六階にあった。
写真で見た通り、一面のガラス窓からは拠点都市の景色が一望できた。
設楽は、いつの間にかインテリアコーディネーターと名乗る、にこやかな中年女性を連れていた。
「はじめまして。私の方からは家具のご案内を。カタログにない商品でも、奥様のご希望に沿って手配をさせて頂きます」
マリアが目に見えて慌てだした。
「いえっ、その…奥様ではないです……」
俺は部屋の間取りを簡単に確認した。四人で住むには少々部屋数が多かったが、使わなければ済む話だった。
説明された通り、すでに必要最低限の家具は揃っているようだ。俺もマリアたちも荷物はそう多くはない。これならすぐにでも生活を移すことができそうだった。
マリアは中年女性とテーブルにカタログを広げて談義し始めていた。
兄の稼業もあり、もともと好きだったのだろう。だいぶ熱中しているように見えた。
カタログをためつすがめつ眺めながら真剣に悩んでいる姿は、俺の記憶の中にいるマリアには見当たらない初めての顔だった。
部屋を見渡すと設楽は部屋の隅に立っていた。客の視界に入らず、探せば見つかる位置だった。
「ここにしよう。契約の準備を頼む」
「ありがとうございます」
俺は値段を尋ねなかったが、設楽からも聞き返してこなかった。
「あと、彼女が希望した家具も購入する。後日でも構わないから届けてくれ」
「承知いたしました」と、設楽は頭を下げた。
不動産会社に戻るとその場で契約を行った。
今日からでも入居可能との事だった。
◆◆◆
マリアの家に帰り、学校から帰宅した二人に引越しの事を告げた。
アリスは飛び跳ねるようにして喜んでいた。新しい家よりも、四人での暮らしが現実味を帯びたことが原因のようだった。
自分の荷物をさっさとまとめると、行楽地へ向かう朝のように他の二人を急かしていた。
リリカは引っ越し自体は予想していたようだった。
だが、同居を提案したその日に話が進むとは思っていなかったらしく、少しだけ驚いた様子を見せた。
この借家で生活していた際は泰然としていたが、内心思うところがあったのだろう。
彼女にしては珍しく、荷物を纏める手に逸る様子が見えた。
三人の荷物は驚くほど少なかった。
学用品、当座の衣服、ちょっとした小物、その程度だった。
トランク一杯に荷物を詰められて若干機嫌を損ねたフェアレディに三人を乗せ、新しい入居先に向かうことにした。
マンションの地下駐車場に車を停め、エントランスに上がると、アリスの落ち着きが無くなりはじめた。
お城に勝手に入ったら怒られちゃうよ、との事だ。
真剣な表情に、マリアが微笑みながら大丈夫と言い聞かせていた。
エレベーターを降り、玄関扉が開いた瞬間、アリスが息を呑んだ。
「……わぁ」
声が、広い室内へ吸い込まれていく。
夜景だった。
リビング一面のガラス窓の向こうに、拠点都市の光が広がっていた。
道路を流れる車の灯り。
高層ビル群の窓明かり。
遠くを飛ぶ航空灯火。
アリスは靴を脱ぐのも忘れ、リビングまで駆けていった。
「おじさま!ママっ!みてっ!」
リリカも部屋へ入り、静かに周囲を見渡していた。
「……フロアを全部使ってるんですね」
俺が頷くと、リリカは若干呆れを含んだ目線を寄越した。
「住まわせて頂く身で言うのもなんですが、叔父さんの金銭感覚が少々心配になります」
マリアは、リビングの入口近くで立ち止まったままだった。
声を掛けると、彼女はゆっくり室内を見渡した。
窓ガラスに額をつけて夜景を眺めるアリス。
チークの食卓を確かめるように撫でるリリカ。
部屋の中央で振り返った俺の順番に視線が動いた。
「……なんだか――夢みたい、です」
零れ落ちるように言葉が漏れた。
返答の代わりに荷物を持ち上げ、室内へ運ぶ。
彼女たちが取り戻した新しい生活の音が、静かな部屋に少しずつ満ち始めていた。
◆◆◆
夕食を兼ねて、マリアが新しいキッチンで用意した料理でささやかな祝いを行った。
一人で入浴するには少々広すぎる風呂を姉妹で満喫すると、リリカとアリスはそれぞれ選んだ自分の部屋で眠りについた。
疲れていたのだろう──ここ数日でなく、さらに以前から。
夜更けのリビングには、空調の微かな駆動音だけが流れていた。
俺は窓際に立ち、拠点都市の夜景を眺めていた。
ガラス越しに見える街は、外界拠点から眺めた時とはまた別の趣きがあった。
光の帯が幾重にも交差し、その向こうには外壁照明に照らされた巨大企業群が並んでいる。
まるで、この都市そのものが眠る事を拒絶しているようだった。
「……眠れませんか」
背後から聞こえた声に振り返る。
手にマグカップを二つ持ったマリアが立っていた。
薄い色のカーディガンを羽織っていたが、その下は簡素な部屋着だった。
風呂上がりなのだろう。白金色の髪は少しだけ湿っており、柔らかな香りが微かに届いた。
「義姉さんも休んでください。今日は疲れたでしょうから」
「ええ、もう少ししたら休みます」
そう言ってマリアは俺の隣まで歩いてくると、互いの肩が触れない程度の位置で止まった。
そっと差し出されたマグカップからはカモミールが薫っていた。
礼を言って受け取ると、マリアは小さく頭を振った。
「ここに居させていただいている以上、家事のお手伝いくらいは当たり前のことです」
それから、こちらを少し伺うようにして微笑んだ。
「虎徹さんはこの家の主ですから。……旦那様、ですね」
俺は淹れてもらった紅茶の味に集中することにした。
マリアは夜景を見下ろすと小さく息を漏らした。
「すごいですね……こんな高い場所、初めてです」
窓の外から届く光の洪水が、彼女の髪と瞳を静かに煌めかせていた。
「人間の生活は、多少高い場所でもそう変わりません」
マリアの小さく笑う声がすると、そのまま沈黙が落ちた。
気まずさはなかったが、妙に落ち着かない静けさだった。
ふと視線を向けると、示し合わせたかのようにこちらを向いたマリアと目があった。
青い瞳と見つめ合ったのは数秒程度だったかも知れない。
肩が僅かに揺れ、何かを言いかけるように唇が動いた。
けれど言葉にはならないようだった。
先に目を逸らしたのはマリアだった。
「そろそろ、休みますね」
こちらに背を向け、キッチンへ向かっていく。
マリアの後ろ姿から視線を外し、俺は夜景に目を戻した。
その後、自分の部屋に戻って目を覚ますまでの間の事は、よく覚えていない。
◆◆◆
四人での新生活は、平穏そのものと言えた。
二人の姪を学校に送り出した後、マリアは家庭の仕事を行う。
次期探査が始まるまで間もない俺は、何回か拠点を訪れ準備を進めていた。
まだ担当エリアは決まってはいなかったが、尾上たちの途中探査記録の閲覧申請も行った。
外界の中でもこの世界であっても、生存の為の努力は可能な限り行うべきだった。
越してからも周囲に気を配っていたが、特に怪しい兆候もない。
その点で言えば、日々の暮らしに気掛かりと呼べるものはなかった。
例外を挙げるとすれば、マリアの様子だった。
引っ越しの翌朝、彼女は「おはようございます、旦那様」と声を掛けて来た。
朝食の準備をしていたマリアに理由を尋ねると、彼女は当然のように返事をした。
「この家では、私は旦那様のお世話をする身ですので」
呼び方が変わった程度で、なにか不都合があったわけではない。
多少の問答はあったものの、無理に止めはしなかった。
ただ、俺を「旦那様」と呼ぶ義姉の声には、なにか他の感情が混じっているように聞こえた。
ある朝、拠点へ向かう前に上着へ袖を通していた時だった。
背後から近づいてきたマリアが、何も言わず俺のジャケットの襟へ指を伸ばした。
「整えますね」
整え終わると、マリアは少し満足そうに微笑んだ。
「……いってらっしゃいませ、旦那様」
例えば、毎日の食事の際。食卓に並ぶ料理はいつの間にか俺の好みに寄っていた。
例えば、食事の後にコーヒーを淹れる時。マリアは俺の分だけ砂糖の量を変えていた。
例えば、リビングで隣に座る際。その距離は今までよりも近かった。
日常のふとした瞬間に、彼女の青い瞳がこちらへ向けられている事があった。
視線に気づくと、マリアは少しだけ微笑んで視線を逸らす。
この美しい義姉とその眼差しに宿る感情を、俺はどう扱うべきなのか決めかねていた。
◆◆◆
その日の深夜、部屋のドアを叩く音がした。
返事をすると、入ってきたのは寝間着姿のリリカだった。
俺はベッドから起き上がり、椅子に腰掛けるよう勧めたが、リリカは「すぐ済みますから」と断った。
「相談があります。母の事です」
リリカが口にしたのは、いつか聞いたセリフと同じだった。
この少女は、その辺りの母親が娘の事を心配する以上に、自分の母親を気にかけているのではないかと考えた。
「叔父さんも気がついてますよね」
俺は頷いた。少なくとも、母を思う娘の前で誤魔化すべきではなかった。
「母は叔父さんに惹かれてます。──いえ、訂正します。母は叔父さんに恋をしています」
義姉が向ける感情について姪から説明されるのは、なかなか複雑な気分だった。
「娘の君に言うのも変な話だが、確かに君の母親は魅力的だ。だが今まで兄の妻、義理の姉弟として接してきた。そう簡単に関係を変えるわけにはいかないだろう」
リリカは少し首を振ると、こちらを見つめた。
「叔父さんが気にしているのは、父の事だけじゃない。──私たちの事でしょう?」
俺は黙った。図星だったのもあるが、当の本人である少女に、どう答えを返せばいいのかも分からなかった。
リリカはため息をついた。
「私は母が幸せになるのを喜びこそしても、叔父さんを責めるようなことはしません」
……まあ、他の意味で少し複雑ではありますけど、と呟いた言葉の意味は分からなかった。
「叔父さんはその気になれば、私たちを自分の好きなようにできました。でも、そうはしなかった」
微笑みと同時に向けられた信頼は、少し気恥ずかしいものがあった。
「母はそれに深く感謝しているのと同時に、不安を抱えているはずです。自分が叔父さんに必要とされていないのではないか、と。……ひどく矛盾してますけどね」
リリカは小さく肩をすくめ、どこか困ったように笑った。
「母は、そういうところありますから」
その言葉には、呆れとそれ以上の愛情が含まれていた。
「別に責任を取って結婚しろ、なんて言いません。母に必要なのは、愛されているという実感なんだと思います。……これは娘の私が言うことじゃないのかもしれませんけど」
俺の返答を待たず、話は終わりとばかりにリリカはドアを開けて外へ出た。
「女性の方に勇気が足りなかったら、リードしてあげるのが男の人の役目だと思いますよ」
言葉と同時にドアが閉まった。
俺はベッドの上に横たわり、寝る事にした。
眠りに落ちる寸前、脳裏に浮かべたのは兄への詫びの言葉だった。