翌朝、リリカとアリスを玄関口で見送った。
「いってきます、おじさま!」
玄関でアリスが俺に大きく手を振る。
「今日、早く帰ってくるね」
「急ぐと危ない。ゆっくり帰ってきなさい」
アリスは無邪気に笑って、駆け出した。
制服姿のリリカが後を追いながら、俺を一瞬だけ見た。何も言葉に出さなかったが、彼女なりの念押しだろう。
扉が閉まると、廊下が静かになった。
俺はリビングに向かった。
マリアが背中を向けて立っていた。掃除中だったらしく、手には雑巾を持っていた。セーターとタイトジーンズが彼女の女性的なラインをより一層際立たせている。
プラチナブロンドの髪が一面のガラスから差し込む朝の光を受けて淡く輝いていた。
俺がリビングに入るのと同時に、マリアもこちらに気が付いた。
「あら、旦那様。何か御用ですか?」
俺は無言で彼女の前に立った。
マリアが少し俺を見上げた。俺より頭一つ低い。青みがかった瞳が戸惑いを宿して俺を見ていた。
「あの……旦那様?」
「マリア」
初めて名前だけで呼んだ。マリアが息を飲む音が聞こえた。
「お前に惹かれてる。まずはそれを伝えておく」
マリアは動かなかったが、瞳だけが揺れた。
「……私も、です」
答えの声は小さかったが、はっきりしていた。
「兄への義理は、もちろんある。だが俺が好意を向け、俺に好意を向けてくれている女より義理を優先するほど、俺は人間が出来てない」
「……はい」
「だから、逃げるつもりはない」
俺は彼女の肩に手を置いた。
マリアが俺を見上げた。瞳に何かが満ちていた。
それがみるみる溢れたかと思うと、泣き黒子を掠めるようにして涙が零れ落ちた。
誰かが"女は泣いている時が一番美しい"と無責任な事を言ったらしいが、今なら半分程度はその説に同意してもいいとすら思えた。
それほどまでに、潤んだ瞳でこちらを見上げるマリアは綺麗だった。
「嫌なら、言ってくれ」
「嫌ではありません」
短く、だが確かな返事はすぐに返ってきた。
俺はマリアを抱き寄せた。
彼女は俺の胸に顔を埋めた。触れ合えば、見た目の印象よりずっと小さな体だった。柔らかな髪の感触が俺の顎に触れた。
どちらからともなく互いの視線が絡み合い、ゆっくりと唇を合わせる。
「ん……ちゅっ……」
優しく触れ合い、お互いの感触を確かめるようなキス。
こちらが唇を離そうとする度、マリアが切なげな瞳で見つめてくる為、少し段階を進める事にした。
口腔内に侵入してきた俺の舌に、マリアは少し目を見開いたが、すぐに求めに応じて自分の舌を差し出し、俺の舌と絡め合わせ始めた。
可憐な唇から、唾液を混ぜ合う音が漏れ始める。
「くちゅ…ちゅっ…あむっ、んんっ♡」
次第に激しさを増すお互いの舌遣いが、そのまま相手の興奮を伝え、さらに自らの興奮を高めていく。
俺がジャケットを外すと、彼女もセーターを脱いでキャミソール姿となった。服の上からでも目立っていた双胸の膨らみが、より一層主張を強めていた。
一着脱ぎ終わると再び唇を合わせ、互いの舌を貪る。
「じゅるっ♡んぅ…れろっ♡ぢゅるるっ♡」
俺がシャツを破るような勢いで脱ぎ捨てると、マリアはタイトジーンズのボタンを外してスルリと脚を抜いた。
黒いレースの下着が現れる。白い肌の上で、それは酷く扇情的に映った。
一着ずつ、お互い服を脱ぎ捨てるたびに息継ぎのようにキスを再開する。
触れ合う時間が一瞬でも途切れないように。
繋がっていない時間を互いが恐れるかのように。
上着を捨て、下衣を外し、下着を脱ぎ──
やがて、お互いの身体を隠すものは何も無くなった。
リビングに散乱した衣服の中心で、俺たちは互いの裸身を見つめ合った。
一糸纏わぬ姿のマリアは、雄の欲望を詰め込んだかのような身体をしていた。
俺の手にも到底収まりきらない程に大きな長乳は、重力に負けることなく前方に突き出している。
真っ白な山の頂上では濃い桃色の突起が、少し大きめの乳輪の中で控え目に自己主張をしていた。
ほど良くくびれた腰を経て、前から見て判るほど肉付きのよい臀部。
滑らかな腹部の下には、髪と同じ色の陰毛が薄く微かに踊る。
さらにその下に目をやれば、陰裂の上部が僅かに覗き見えていた。
「いい身体だ。抱き甲斐がある」
「旦那様こそ、とても素敵です……♡」
突き出た胸にゆっくりと両手を伸ばす。同時に彼女もこちらの胸板に手を伸ばしていた。
遠慮の欠片もなく十指で掴んだ乳肉はどこまでも柔らかく、むにゅううぅっ♡と指が埋もれるように沈んでいく。
しばしその感触を楽しんだ後、乳輪をなぞるように指を動かすと、先端が大きく固く尖り始めた。
「あんっ♡」
親指と人差し指で突起を摘むと、マリアが形の良い眉を曲げる。
彼女はといえば俺の胸板を確かめるように手を滑らせ、そこに刻まれた古傷を労るように一つ一つ撫でていた。
無言で見つめ合い、お互いの身体を確かめ合った手と手が、示し合わせたかのように共に下へ降りていく。
彼女が勃起しきった陰茎を包むよう優しく握るのと、俺が既に湿り気を帯びた秘裂に指を這わせたのは、ほぼ同時だった。
「これが、旦那様の…♡ こんなにおっきくて…♡ とっても熱くて…すごく硬いです♡」
マリアの手による緩い快感を感じながら、こちらは陰唇を軽くなぞり、右手の中指を膣口にゆっくりと侵入させる。マリアの膣内は既に濡れそぼり、かき混ぜるだけでくちゅっ♡と粘ついた蜜音を立てていた。
ぐちゅっ♡ ぐちゅっ♡ ぐじゅじゅっ♡──わざと下品な音が聞こえるよう小刻みに指を出し入れすると、愛おしそうに陰茎を扱いていたマリアの顔が、たちまち羞恥で赤く染まった。
「旦那様っ、お願いですからそんなに──んむッ」
左手で強引に抱き寄せると、抗議を発しかけた唇を塞ぐ。驚いたマリアの舌をこちらの舌で絡め取り、抱き寄せた左手はそのまま下に這わせ、柔らかな尻肉を揉みしだく。同時に右の中指はザラついた天井を探り当て、指の腹でひたすらに擦り上げた。
口腔と膣口から同時に鳴る粘ついた水音が、静かなリビングに響き渡る。
上と下からの快感に翻弄されつつも、陰茎を扱く手は止めないよう必死に耐えていたマリアだったが、右の親指が固く充血した陰核を探り当て、人差し指とでキュッ♡と軽く摘んだ瞬間、たまらず手を離して俺にしがみついた。
「ひゃん♡ だ、旦那様、そこは…っ」
俺は無言で右手を動かし続けた。中指はゴリゴリと膣天井を責め立て続け、二本の指で小さな肉芽を扱き上げる。
マリアは俺の首に両手を回し、快感の波に耐えていた。豊かな乳肉が俺の胸板でぐにゅうっ♡と潰れて形を変える。
「そんなっ、こんなのッ、わたしっ…おかしくなっ…♡ あっ、あああぁッ♡」
マリアの両ひざが外側を向き、股を大きく広げて巨尻がゆっくりと下がり始める。
小刻みに震える全身が、彼女の絶頂が近いことを告げていた。
痛そうなほど勃起した陰核をぎゅううっ♡と親指で押し潰すのと同時に、丸尻に回していた左手の指で尻の窄まりにツプり♡と指を差し込んだ。
「あ、あッ、だめッ、イくっ♡ イっちゃうッ♡ イくっ、あっ──ひあああぁぁぁぁっっ♡」
ガニ股
脱力したマリアはこちらの首に手を回したまま息を切らせ、全身を俺に預ける事で辛うじて立っていた。
この極上と言える女の身体を、俺の手で啼かせたというのはなかなか悪くない気分だった。
荒い息を整えたマリアが俺から身体を離した。
「もうっ、旦那様ったら。ご奉仕したかったのに、私ばかり気持ち良くなっちゃったじゃないですか」
少し拗ねたようにこちらを非難するマリアに、俺は自身のいきり立った陰茎を見せつけた。
「奉仕か……なら、使わせて貰う」
一拍遅れて意味を理解したマリアが小さく息を飲んだ。
「あの、寝室で──」
「ここでいい」
俺はそのまま、マリアをリビングのソファーに押し倒した。
「──あ」
窓ガラスから差し込む強い光の中、ソファーの上でその美しい裸身を惜しげもなく晒すマリアと目があった。
彼女の青い瞳に別の色が混じっていた。或いはそれは罪悪感と呼ばれるものだったのかもしれない。
だが、彼女は何かを断ち切るかのように静かに瞼を閉じた。
「龍一さん…ごめんなさい。私はこれから、旦那様に身も心も捧げます」
静かな独白を終え、目を開いた彼女はこちらを見つめると、軽く微笑み──
大きく脚を広げ、少し色づいた陰唇を自らの指でくぱぁっ♡と開いてみせた。見せつけるかのように。
薄桃色の秘肉が雄を誘うように蠢き、膣口から透明な液が一筋、尻の谷間に流れていく。
「旦那様……来て♡ マリアを、あなたの
普段は貞淑を絵に描いたようなマリアによる、誘うような媚びるような──同時に神聖な誓いに似た告白は、俺の理性を瞬間的に蒸発させるのに十分だった。
痛いほど怒張した肉槍を開脚したマリアの秘部に宛てがい、彼女の瞳を見つめながら、マリアの全てを俺自身で書き換えるかのようにゆっくりと押し進めていく。
ぐっ♡ ぐぐっ♡ ぐぷぷぷぷ……っ♡
膣内は二児の経産婦とは思えない程狭く、熱く、侵入を拒むような圧迫とは裏腹に、無数に蠢く濡れた肉の襞が久しぶりの来訪者を歓迎するかのように陰茎に絡みついてきた。
「あっ…んん゛っ♡ あぁっ、おっきい♡ 旦那様のっ、おっきすぎます…っ♡」
陰茎がゆっくりと膣内を味わい、ずぶずぶと強引に押し広げながら進んでいく度に、マリアが切ない嗚咽を漏らす。
「ひぁっ…♡ やぁっ…お゛ッ…♡うそっ、まだっ…入ってっ…♡ こんな…ああ゛っ…これっ、知らないッ♡」
やがてお互いの腰が完全に密着し、亀頭の先端が柔らかな感触を捉えると同時に、マリアは絶頂を迎えた。
「ひぁっ、あぁっ♡ 旦那様っ♡ だんなさまぁっ♡」
膣内が激しくうねり、襞の一つ一つがまるで意思を持つように俺の分身に絡みつく。気を抜くとすぐに射精に導かれそうな程、それは絶妙な締め付けだった。
挿入だけで達したマリアは、未だ余韻から覚めていないようだったが、俺は構わず一方的に抽送を始めた。
ぐっちゅッ♡ ぐっちゅッ♡ ぐっちゅッ♡ ぐっちゅッ♡
「えっ...ひあぁっ!そんなッ…♡ ダメっ、ダメですっ!わたしっ、まだっ♡ イッたばかりでッ…♡ あっ、やぁっ…またっ、きちゃうッ♡」
「奉仕してくれるんだろう」
絶頂直後に雄のピストンを叩き込まれて言葉を発する余裕のないマリアは、それでも返答代わりに俺の腰に両脚を回し絡め、俺を受け入れるように両手を伸ばした。
身体の全てを差し出してくれている雌に対し、一切の遠慮なく剛直を突き立てる度、桃色の軌跡を残しながら巨大な乳房がばるんっ♡ばるんっ♡と激しく揺れる。
無尽に暴れる長乳肉を掴んでは絞るように揉みしだき、硬く尖った先端の突起を口に含んで舌で転がした。
「あっ、あぁッ♡ 旦那様っ、わたしのだんなさまっ♡ 好きっ、すきですっ♡ あいしてますっっ♡」
結合部分はすでに白く泡立ち、断続的に秘所から噴き出す潮が俺の腹まで濡らす。
喜悦の声を聞きながら、彼女の全てを貪るうちに、下半身に煮え上がるような感覚が昇ってきた。
射精の予感に感づいたのだろうか、快楽に蕩けていた彼女の瞳に、若干理性の色が戻る。
「旦那様……その、避妊は──」
すでに選択は済ませていた。
「全部、引き受ける」
応えた瞬間、膣肉が悦ぶかのように収縮した。
「はいっ♡ 旦那様っ、お願いします♡ 私を……マリアを孕ませてください♡♡♡」
心の底から幸せそうに微笑むマリアを見た瞬間、
不意に酷く強い衝動が俺を襲った。
ある種、暴力的と言ってもよかった。
この女は、どこまで、俺を。
むっちりとした白い太ももを上から押さえ付け、身動きの取れないように固定する。
脳を灼く衝動に身を任せ、逃げ場のないマリアの膣穴に向かって、杭を打ち込むような種付けピストンを叩きこんだ。
ドチュッ!♡ ドチュッ!♡ ドチュッ!♡ ドチュッ!♡
「んお゙ッ♡ あ゙ッ♡ あ゙ッ♡ あ゙ッ♡ はげし、あ゙っ、あああああぁッ♡」
ギシギシとソファを軋らせながら、俺の下でよがり狂うマリアに腰を打ち付ける。肉ビラが射精を促すようにねっとり絡みつき、子宮口が雄の精液を求めて降り始めた。
清楚で淑やかな義理の姉を──俺の子種で孕ませる。
陰嚢がせり上がり、激しい抽挿を繰り返す肉棒がはち切れそうな程に膨張した。
「あんッ♡ あッ♡ あッ♡ あッ♡ 膣内で、だんなさまのがっ、膨らんでるっ♡ あ゙ッ♡ぁっ...くるっ♡ スゴイのきちゃうっ!♡ もうっ...だめッ♡ だんなさまあぁぁぁっ♡♡!!」
マリアが一際大きく痙攣し、無数の肉襞が一斉に陰茎に絡みついた瞬間。俺は降り切った子宮口に亀頭を密着させ、叩きつけるような勢いの精液をマリアの胎内に放出した。
──びゅるるるッ♡ どぷッどぷどぷッ! びゅるッ、ごぷッ♡ ぶびゅびゅびゅびゅッ……!
「あっ、あぁッ♡ ああああぁッ♡♡♡ 膣内に、あついの、でてる…ッ♡ あ"あああぁぁぁ──ッ♡♡♡」
絶頂を迎えて強く収縮する膣の締め付けと、生中出しの快感に脳を溶かしつつも、渦巻く衝動が収まる事はなかった。
まだ足りない。俺も、彼女も。
「ん…あぁ…っ♡ だんなさまの射精…スゴ、い…♡ はぁッ、あ、はぁッ……えっ!?…うそっ、まだこんなにっ」
あれほどの射精を終えたにも関わらず、膣内の陰茎に全く萎える気配がない事にマリアも気が付いた。
「終わりだと思ったか」
一度与えた以上、半端で止める事は許されなかった。
「きゃぁっ」
余韻に浸っていたマリアの身体を素早く入れ替えると、後背位の形で強引に組み伏せ、容赦なく抽送を再開した。
染み一つない白く大きな丸尻は、胸と同じく掴んだ指が沈んでいくほど柔らかい。
パンッ♡ パンッ♡ パンッ♡ パンッ♡♡ パンッ♡♡♡
愛液がこちらの腹まで濡らしていた為か、マリアの尻に腰を打ち付ける度、湿った打擲音がリビングに響く。
伴奏のように、彼女の口から洩れる吐息と軋むソファーの音が追従した。
「だんなさまっ、そんなっ、激し…っ♡ あ、だめっ、だめですっ、わたしっまたイって…♡ ひあぁっ♡♡」
形が歪むほどに両指で柔尻を鷲掴み、尻肉を押し広げ、快感にうねる膣内の最奥──子宮口に剛直の先端をひたすら打ち付ける。
男なら誰もが一夜を希うだろう雌の肉体を組み敷き、女として最も大切な場所を獣のように蹂躙する快感は、脳が溶けそうなほど甘美だった。
無慈悲に肉槍を突き入れる度に、精液と愛液が綯い交ぜになった液体が膣口から飛び散り、ソファーを汚していく。
「あっ、ひあっ♡おく、奥にっ、当たって…っ♡ そこっ、ホントにだめなんですっ♡ ああっ、イきますっ! またイくっ♡ あ゛あぁッ♡♡」
女が連続絶頂を迎えるその度に濡れた肉襞がうねり、更なる射精を懇願するかのように陰茎を扱き上げてくる。
マリアの白い背中は興奮のあまり赤く染まり、玉のような汗がいくつも浮いていた。
果てがないとも思われた律動に終わりが見え、再び睾丸からマグマのように射精感が込み上げてきた。
驚くことに俺の中で渦巻く体液の熱量は、一度目よりも多量の放精を予感させていた。
マリアの耳元に口を寄せ、一言「直接出すぞ」と短く告げる。
こちらを振り返った彼女の顔は紅潮し、青い瞳に涙を浮かべ、口からはだらしなく涎を垂らしていた。荒い吐息を吐きながら振り絞るように声をあげる。
「はいっ、だしてっ、いっぱいだしてくださいっ♡マリアのいちばん奥でっ、だんなさまをお迎えさせてくださいッ♡ だんなさまのせーえきで孕ませてくださいぃっ♡♡」
打擲のせいか興奮のせいか、白肌に赤みを帯びた丸尻を目掛け、大きく引いた腰を一際強く叩きつける。
──ドチュッッッ♡♡♡
これまでにない深さで打ち込まれた肉槍が、貫くような勢いで子宮口を穿った。
柔らかな肉の輪に亀頭が食い込み、尖端が子宮の中にズリュッ!!と侵入する。
同時に決壊でもしたかのような射精が始まり、女の──マリアの最も大切な場所に、直接俺の精液が注ぎ込まれていく。
ぶぴゅッ、どびゅるるるッ♡! どっぴゅッ、ぶびゅるッ! びゅッ、びゅくびゅくッ♡ ぶびゅうううぅッ♡
「お゛ッ、あ゛あ゛ッ♡ イくっ!♡ イきますッッ!!♡ イ゛くッ!♡ イクううぅぅぅッッ!!♡♡♡」
子宮への直接射精と同時に最大の絶頂を迎え、背中を大きく弓なりに反らせたマリアが、その後突っ伏すように脱力する。
彼女に覆い被さるように顔を寄せると、蕩けきった目をしたマリアの唇を奪い、もう何度目になるか分からない唾液交換を行う。
――どぷっ♡ どぷっ♡ どぷっ♡
いまだ止まる気配のない種付け放精。
半ば自失しているマリアと舌を絡めながら、俺はひたすら彼女の胎内に己の精を流し込み続けた。
◆◆◆
永遠に続くとも思われた放精がようやく終わり、俺はマリアの膣から陰茎を引き抜いた。
よほど奥に注ぎ入れたのか、あれだけ出したにも関わらず、広がり切った雌穴から精液が垂れてきたのは五秒ほど経ってからだった。
膝立ちのままの俺に、ゆっくりと体を起こしたマリアが這うように身を寄せる。
絶頂の余韻はまだ消えていないが、動ける程度には回復したらしい。
「綺麗にいたしますね♡」
マリアはすっかり小さくなった陰茎を口に含み、赤子を撫でるような優しさで舌を動かすと、付着した精液を舐めとっていった。
最後に尿道に若干残ったものを丁寧に吸い取ると、目を閉じ、味わうようにして嚥下する。
射精後特有の気怠さからソファーに腰掛けるとマリアが隣に座り、頭を倒すように促された。
膝の上に横たわった俺の頭を、マリアが労わるように撫でつける。
母に甘えた記憶は薄い。だが、こうして柔らかな太ももに頭を乗せて寝そべると、安らぎで満たされるような感覚があった。
「子供扱いだな」
若干の気恥ずかしさを覚えながら告げると、返って来たのは慈愛に満ちた微笑みだった。
「旦那様にいっぱい愛して頂いた分をお返ししたいんです」
どこかで常に感じていた痛みが、ようやく無くなったかのような穏やかな声だった。
マリアは俺の頭を撫でながら続けた。
「今だけは気を張らないで、どうか私で安らいでください。気にすることはありません。私たちを救ってくれた格好いい旦那様も、私の膝枕でお休みになる可愛い旦那様も、どちらも、私は大好きですから♡」
「……そうか」
いっそ愚直とも言える肯定が、なぜか素直に胸に落ちてくる。
思えばほんの短時間であっても、現在の一切を他人に委ねた記憶は──思い出せる限りではない。
目の前にはマリアの豊かな乳房が揺れており、顔に近い方を手に取ると、桃色の乳首を口に含んだ。
マリアは何も口にせず、ただその表情に慈愛の色を一層深めると、先ほどよりもさらに優しい手つきで俺の頭を撫で始めた。
愛撫も技巧も無く、ただ無心のまま乳首を舌で転がし、吸い付く。それでも上半身に感じる柔らかな女の感触のせいか、再び下半身に血液が集まるのを感じた。
俺が何も言わないうちに、マリアのたおやかな白い指が硬さを取り戻しつつある陰茎を優しく握り、ゆっくり上下に動かし始めた。
我が子を慈しむような愛情に満ち溢れたその手つきは、そうでありながら同時に男が快感を覚える場所を的確に刺激していた。
先ほどの燃え盛るような情欲から一転、今度はまるで暖かい湯船に身体を沈めていくような緩やかさで、肉体が射精に導かれていく。
若干硬さを増した乳首を口に含んだまま目を閉じれば、世界に存在するのは後頭部の柔らかな感触。
優しく頭を撫でる手のひらの感触。
そして下半身を慰撫する滑らかな指。
たまに頬に触れる乳肉の感触も心地良い。
先程の交わりで、マリアの捧げてくれたものは全て受け取ったと思っていた。
もっと直接的に言うなら、男として彼女を征服したとすら思っていた。
だが、今彼女が俺に与えてくれているのは、俺が知るそれとは別の快楽だった。
あるがまま全てを受け入れてくれるような、全身を彼女に抱擁されているような幸せの中。
特に前触れもなく吐精が始まった。緩々と水嵩を増したコップの縁から水が溢れるような、静かな吐精だった。
急な放出にもマリアは驚いた様子がなく、手助けをするように指の形を輪に変えて、根元から先端までを優しくゆっくりと扱いていく。
その間も俺を撫でる手は止まることはなかった。
緩やかな吐精が終わり、少々の名残惜しさを感じつつも乳首から口を離した。
夢から覚めるような感覚で目を開けると、こちらに優しく微笑みかけるマリアの顔が目に入った。
「旦那様♡」
それだけ口にした彼女は、俺に優しくキスを落とした。
もし彼女に聞けば、自分は救われた、与えられた側だと言うのだろう。
だが実際は、俺はそれ以上を彼女から受けとっているのだ。
もう、手放す理由がない。
「マリア」
呼びかけに応え、こちらを覗き込む青い瞳を見つめながら、俺は自身ですら珍しく思うほど韜晦のない言葉を告げた。
「お前を離さない」
マリアの両目が見開かれると、それは瞬く間に花の綻ぶような笑顔に変わった。
「はいっ♡」
身体を起こし、マリアと長い口付けを交わす。
その間、俺たちは何も言葉を発しなかった。
もう必要なかった。
その後、腰にまき散らした精液をマリアに丁寧に舐め取って貰うと、俺たちはリビングに脱ぎ散らかした衣服を片付け、俺の部屋に移動し、二人で続きを楽しんだ。
何回したのかは覚えていない。
◆◆◆
微睡むような睡眠から意識が浮かび上がる。
窓の外はもう暗かった。上半身を起こし、時計を確認すると、針は十九時を少し回っていた。
随分と眠ったらしい。外界から帰還した直後でも、これほど長く眠れた記憶はあまりなかった。
隣を見た。マリアはいなかった。
シーツに残る温もりも、もう消えていた。
自分の体に目をやると、服が着せられていた。
ベッドから体を起こした瞬間、廊下の向こうから二人分の足音が聞こえた。
すぐに扉が開いた。
「おじさまーっ……起きてた!」
アリスが顔を覗かせた。制服から着替えた部屋着姿で、両手を扉の端に添えてこちらを見ている。ビスクドールのような可憐な顔が、喜びでいっぱいの表情に変わっていた。
「ああ、起きている」
「アリス、ノックはしないとダメですよ」
少し遅れて顔を覗かせたリリカが俺を見た。
さりげない視線が部屋を一周し、再び俺の顔に戻って来たが、何も言わなかった。
「ご飯できてるよ。一緒に食べよ」
「すぐに行く」
アリスの顔が引っ込むと、小さな足音が遠ざかっていった。
リリカはそのままの姿勢で廊下にいた。
何か言いかけたのか、少しだけ唇の端が動いたが、結局止めたようだった。
「行きますよ、叔父さん」
「……わかった」
ダイニングルームに入ると、マリアがテーブルの配膳をしているところだった。
エプロン姿にプラチナブロンドの髪をゆるく後ろでまとめ、湯気の立つ皿をテーブルに並べていた。こちらに背を向けていたが、足音に気づいたのか振り返った。
「あら、旦那様。よくお休みになられましたか?」
声も表情も穏やかな、いつものマリアに見えた。ただ、昨日まで瞳の奥にあった張り詰めたものが消え、代わりに柔らかい色が宿っていた。
「ああ」
「お食事はどうなさいますか?」
「頂こう」
マリアは小さく微笑んで、また配膳に戻った。
俺が椅子を引いて座ると、アリスがその隣に勢いよく座った。
「おじさま、今日ずっと寝てたの?」
「まあ、そうだな」
「疲れてたの?」
「ああ、少しだけ」
アリスはふんふんと納得したように頷いた。
マリアが最後の一皿を並べ終え、するりとエプロンを外す。ガラス張りの夜景を背にしたその動作は、まるで一枚の絵画のように見えた。
「ねえ、ママ」
アリスがマリアを見上げた。
「なぁに、アリス」
「なんか……ママ、キレイになった」
ダイニングルームが、一瞬静寂に包まれた。
マリアは少し目を瞬かせた。それからゆっくりと微笑んだ。
「そうかしら?」
「うん。なんかちがう。なんかキレイ」
「ありがとう、アリス」
マリアがアリスの頭をそっと撫でた。アリスが嬉しそうに目を細めた。
俺はその様子を黙って眺めていた。
テーブルの向かいに座ったリリカと目があった。リリカはやはり何も言わず、少しだけ呆れたような顔をして肩をすくめてみせた。
俺も何も言わなかった。
マリアが最後に自分の椅子に腰を下ろし、四人が揃った。
「いただきます!」
アリスの声が先頭を切った。
皿に手を伸ばそうとした時、マリアと目が合った。
マリアの目線が二人の子供の様子を見たあと俺に戻る。
あ、と、で、と唇を動かし、頬を染めて微笑んだ。
いつもと変わらない夕食だが、見えない何かは確かに変化していた。
俺としては、悪い気分ではなかった。