※この作品はR-18です。

の【日の丸の国史上最悪の猟奇殺人事件がきっかけで始まった物語】   作:桃色ぴんく

100 / 132
前半に……というより、初っ端から人を選ぶかなり残酷な描写が入ります。

後半には肉体的グロはありませんが、心の準備をお願いします。

ただし、これらの行為を肯定・助長する意図はありませんのでご安心ください。


第100話

7月12日午前2時10分

 

「嘘だ……」

 

ゆうちゃんの部屋に入った藤田さん、浅川さん、そして下田さんたちは、無情にもその場に崩れ落ちてしまった。

 

全身傷だらけで内臓が飛び出した無様な33歳の男の死体と、心臓に包丁が突き刺さった世界一可哀想な58歳の女性の遺体が、ゆうちゃんのベッドの上でクロスしていた。

 

ゆうちゃんのおもちゃ箱の上に置かれた『桃』と『宝石』が、4人をさらに絶望の淵へと叩き落としたのだ。

 

「あいつ……!ゆうさんのお母さんを殺して自殺したのか……?!」

 

怒り狂った1人目の下田さんは、残酷な真実にまだ気づいていないようだ。

 

「きっとそうだ……。ゆうさんのお母さんに1円も渡さないために……!」

 

藍斗の最低な目的だけに気づいた2人目の下田さんは、右の拳で何度も床に叩きつけた。

 

「あ……あああああああああ……!ああああああああああ!!!」

 

藤田さんに至っては、真っ赤な床に突っ伏して泣き叫ぶことしかできなかった。

 

「大丈夫か……?あ……とりあえず報告しないと……」

 

浅川さんは、拝郷さんと風雅さんに電話をかけることにした。

 

プルルルルル

 

「……ん?もしもし……?」

 

「は、拝郷さん……。あいつ……ゆうさんの家で死んでいました……。ゆうさんのお母さんに……全財産を奪われないために……!」

 

「え?!ちょっと待って!ゆうさんのお母さんは無事なの?!」

 

「いえ……亡くなっていました……」

 

「そんな……!」

 

「あ、もしもし?風雅だけど……。今の話……全部本当なのか?」

 

「はい……」

 

「そうか……分かった。今行くからもう少し待ってて」

 

「ありがとうございます……!」

 

浅川さんは電話を切った。

 

「ゆうさん……」

 

1人目の下田さんは、藍斗の左手首に巻き付けられていた本来のピンク色を『失った』ゆうちゃんの真っ赤なリボンを解き、ゆうちゃんの真っ赤なシュシュを1つずつゆっくりと外した。

 

「悪魔にボロボロにされて、可哀想に……」

 

2人目の下田さんは、ピンクを『失った』ゆうちゃんのセーラーワンピを藍斗とベッドの間から引き抜いた。

 

「すみません……。ちょっとトイレ行ってきます……」

 

藤田さんは、あまりの惨状に耐え切れず、とうとうゆうちゃんの部屋を抜け出してしまった。

 

「おや……?」

 

浅川さんは、真っ赤なローファーと真っ赤なリボン付きフリフリ靴下が、ベッドから落ちていたことに気づいた。

 

2つとも、ゆうちゃんがあの日履いていたもので、本来のピンクを『失って』いた。

 

リボン付きフリフリ靴下に至っては、リボン以外の部分の白も『失った』のだ。

 

午前2時20分

 

涼介さんが、白の軽自動車をゆうちゃんの家の前に停めた。

 

「ここが桃松さんの家か。あれ?副店長、まだ起きているのかな?ダメ元で謝りに行こうかな……え?なんでパトカーがあるの……?それに、あれはもしかして純白のSUV……?まさか……!」

 

カサブランカの花束を抱えた涼介さんは、『特急案件』と言いたげな足取りで軽自動車を降りた。

 

ピンポーン

 

涼介さんは、無意識に右手の人差し指で、ゆうちゃんの家の玄関チャイムを押していた。

 

「はーい……あれ?あなたは、もしかして……ゆうさんの彼氏さん……ですか……?」

 

完全に勘違いした藤田さんは、インターホン越しに涼介さんに話しかけた。

 

「違います!桃松さんのお母さんの部下です!どうしても伝えたいことがありまして……!もしかして、警察の方ですか?」

 

涼介さんは、やや取り乱しながらそう返した。

 

カサブランカの花束もゆらゆらと揺れていたのだ。

 

「はい、根ノ江警察署の藤田と申します……。ですが……あの……ゆうさんのお母さんは……もう……」

 

藤田さんの声を聞いた涼介さんは、カサブランカの花束をその場に落として崩れ落ちてしまった。

 

「あああああああああああああ!!!」

 

カサブランカの花弁だけでなく、ゆうちゃんの家の玄関前のコンクリートまで濡れてしまったのは言うまでもない。

 

ガチャ

 

藤田さんは、ゆっくりとドアを開けた。

 

「あ……お辛いですよね……。お話だけでも聞きましょうか……?」

 

藤田さんの声はかなり震えていた。

 

涼介さんは、身体を小刻みに震わせながらカサブランカの花束を拾った。

 

「お願いです……僕を逮捕してください……」

 

涼介さんの心の叫びを聞いた藤田さんは、即座に首を左右に振った。

 

「それはできません。あなたは、その花束を持って、ゆうさんのお母さんに何か伝えたかっただけですよね?」

 

きっぱり断る藤田さんの声は、決して冷たいものではなかった。

 

だが、それがかえって涼介さんの心の傷をさらに抉ってしまうのだ。

 

「だったらその拳銃で撃ってください!それが無理なら、最後に副店長に会わせてください!」

 

完全に精神崩壊した涼介さんは、両手の拳を玄関前のコンクリートに何度も叩きつけた。

 

そこに、藤田さんを心配した浅川さんが駆けつけてきた。

 

「藤田くん、大丈夫か?!……って、どうした?!」

 

浅川さんは、完全に取り乱した涼介さんとカチコチに固まった藤田さんを見て、思わず後ずさりしてしまった。

 

「ああああああああああ!神様、僕を地獄へと突き落としてくれ!僕は副店長と桃松さんだけじゃなく、蒼森さんも傷つけた!本当に醜い怪物なんだ!」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。