※この作品はR-18です。

の【日の丸の国史上最悪の猟奇殺人事件がきっかけで始まった物語】   作:桃色ぴんく

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第106話

7月12日午後0時

 

日曜日のお昼時ということもあり、おひさまスーパーは大混雑だった。

 

汗だくの弘樹さんは、作り笑顔でレジを打ち続けていた。

 

「いらっしゃいませ、お待たせいたしま……あれ?上田?」

 

「弘樹、ここで働いてたの?意外wあ、私は日の丸コンビニで働いてる。今日休みだけどw」

 

真由美さんは、パックご飯、じゃがいも、玉ねぎ、甘口のカレールーを買っていた。

 

「カレー作るのか。いいじゃん」

 

弘樹さんは、やっと心から微笑むことができたはずだったが……

 

「売り切れてるから作るしかないんだよ……!Aのせ……あ……私も同罪だ……!なんでAに食べられたいとかスプーン再現とかバカみたいなこと言っちゃったのかな……?」

 

真由美さんは財布からお金を出そうとしたが、感情を抑えきれずとうとう泣き出してしまった。

 

「おい!AってあのAなのか?!え、桃松のために桃色の天使投稿してたよな?!」

 

レジを打つ弘樹さんの手がピタリと止まった。

 

「うん……」

 

真由美さんが俯いたその時、弘樹さんは一昨日の午後4時に犯した過ちを思い出した。

 

おひさまファッションビルの赤のベンチに座って、真っ白なお皿に盛り付けられたゆうちゃんのファンアートを見てニヤニヤしていたことを……

 

一方その頃、麺屋 鳳では……

 

「いらっしゃいませー!冷たいうどんとそばはいかがですかー?」

 

康太さんも汗だくになりながら接客していた。

 

異常に混んでいる理由は、もはや説明するまでもない。

 

「あ、康太くんサーセーンw冷やしぶっかけうどん1つ〜wwwあ、冷やしすだちうどんも1つ〜www」

 

「どっちも大盛りにしろよな〜w康太く〜んwww」

 

冷やしぶっかけうどんを選んだ純さんと、冷やしすだちうどんを選んだ颯斗さんは

相変わらずヘラヘラ笑っていた。

 

「あ、吉岡に本泉か。今作るから待ってろよ!」

 

注文を聞いた康太さんは、大急ぎで厨房へと向かった。

 

午後0時10分

 

「お待たせ……え?」

 

康太さんは、2人に頼まれた冷やしうどんを乗せたトレイを持ったままその場に固まってしまった。

 

純さんも颯斗さんも一切笑みを浮かべていなかったからだ。

 

「なあ、颯斗……。昨日の俺らさ、誠人くんと黒谷に最低なこと言っちまったよな……」

 

「純……。誠人くんも黒谷も……そして、金山も俺らを同窓会の仲間に入れてくれたけどさ……。本当はまだ怒ってるよな……桃松に最低なことしたから……」

 

真夏の太陽とは正反対の表情をしていた2人の会話が、康太さんの耳に嫌でも入ってきた。

 

「颯斗……。お前、正直に言え。裸の桃松がピンクのリボンで拘束されてる絵に興奮していた俺のこと……ぶっちゃけ、嫌いになったよな……」

 

「やめろよ、親友なんだから嫌いになんかなれねえよ……!むしろ、本当は俺と縁切りたいって思ってるんじゃねえかって不安だったんだよ……。桃松の女体盛りとかキモイこと言ったから……」

 

純さんと颯斗さんは、昨日のノンデリ発言はもちろん、一昨日、青のベンチで吐き気がするような会話をしたことも激しく後悔していた。

 

「あ、うどん置いとくから……うん……」

 

康太さんは震える手でゆっくりとテーブルにうどんを置いて、その場を去っていった。

 

「俺……なんで桃松の絵がいやらしいだの大声で言っちまったんだ?俺すげえクソ男じゃねえか……。弘樹……一昨日俺と一緒にいたこと……後悔してねえよな……」

 

一方その頃、フルーツバスケットでは……

 

「大輔〜!全然行列が途切れないよ〜!」

 

「日曜日だから当たり前だろ、ひなこ!」

 

ひなこさんと大輔さんは、今日も一生懸命フルーツジュースを作っていた。

 

当然、そこには昨日よりもたくさん、いや、日曜日にしてもありえない数のお客さんが並んでいた。

 

根ノ江市の最高気温が原因なのは、もはや説明するまでもない。

 

「はい、レモネードが2つですね!」

 

「はい、オレンジジュースが3つとパインジュースが2つですね!」

 

2人とも注文を取るだけで一苦労だった。

 

お金の受け取り自体は機械がやってくれるのだが、食券式ではないゆえ、正確に聞き取る必要がある。

 

復唱と指差し確認の両方をしないと、確実に間違えてしまいそうだったのだ。

 

「私たち本当はもうとっくに休憩に入ってるはずなのにな……」

 

「それなら店長がずらしてくれるはず。とりあえず頑張るしかないよ!」

 

気づけば午後0時30分

 

みんなお昼ご飯を食べに行ったのか、やっと行列が途絶えた。

 

「つ、疲れた〜!私もう死にそう!熱中症になりそう!もう嫌だ〜!」

 

「そうだな。それにしても、あんなにお客さんいっぱいいたのに、なんで夏限定のスイカジュース誰も頼まなかったんだ?謎だ……」

 

ようやく休憩に入ることができた2人は、まずSNSを開いた。

 

「え、何これ……」

 

ひなこさんのSNSのアカウントに、最悪な投稿が回ってきていた。

 

そこには、

 

【速報】

 

ゆうちゃん、死ぬ前日の夜にスイカジュース飲んでいたwww

 

と書かれていた。

 

「また迷惑なデマか……?あ……」

 

最悪な投稿は、ゆうちゃんのSNSの投稿を引用していた。

 

ゆうちゃんは7月6日の午後6時30分に、

 

フルーツバスケットのスイカジュース♡冷たくておいしい♡

 

と投稿していたのだ。

 

スイカジュースの写真も忘れず添えていたのは言うまでもない。

 

「どうした?もしかして、見たのか……?これを……!」

 

大輔さんは、同じ投稿を表示したスマホをひなこさんの目の前に突きつけた。

 

午後0時40分

 

「ひなこ……。なんで俺ら金山たちに昨日あんな動画見せちまったんだ……?それが桃松を侮辱する行為だって、なんで気づかなかったんだ?!なあ……!」

 

「大輔のせいじゃないよ……!全部私が悪いんだよ!!ゆうちゃんが元クラスメイトだったこと忘れてた私のせいだよ……うん……」

 

ひなこさんと大輔さんは、スマホを手に持ったまま互いに涙を流しながら抱き合った。

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