※この作品はR-18です。

の【日の丸の国史上最悪の猟奇殺人事件がきっかけで始まった物語】   作:桃色ぴんく

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第108話

7月12日午後1時10分

 

翔子さんとみなみさんは、スマホを見ながら星のハンバーグランチが届くのを待っていた。

 

自分の子供の写真や動画を見ればいいものの、どうしても例のSNS関連の情報ばかり目で追ってしまうのだ。

 

「みなみ、大丈夫?」

 

翔子さんはみなみさんの顔をじっと見つめた。

 

みなみさん側のテーブルクロスには、いくつもの小さな水溜まりができていた。

 

「しんどい……」

 

みなみさんはスマホを持った手を小刻みに震わせていた。

 

画面に映っていたのは、

 

 

ゆうちゃんさえいなければ、Aが日の丸の国史上最悪の犯罪者になって死なずに済んだのに!

 

 

というSNSの投稿だった。

 

「そんな……Aの歌がもうこれ以上聞けなくなって悲しいのは分かるけど……。でも、こんなのあんまりだよ……!」

 

翔子さん側のテーブルクロスも、だんだん小さな水溜まりが増え始めたのだ。

 

一方その頃、レストランハッピーでは……

 

「お待たせしました!冷製トマトパスタです!」

 

汗だくの夏美さんは、精一杯の作り笑顔で接客していた。

 

日曜日のこの時間は、どうしても忙しくなるのはもはや説明するまでもない。

 

さらに、今日は冷たいメニューが異常に売れているのも原因の1つだったのだ。

 

「ああ……泣きたい……」

 

ピーンポーン

 

「あ、はーい……」

 

夏美さんは、今にも倒れそうな身体で次の注文を取りに向かった。

 

「お客様、お待たせ……あれ?沙也加、真由美と一緒じゃないの?」

 

夏美さんの目の前にいた沙也加さんは、メニュー表を潤んだ目で見つめていた。

 

「真由美?……藍斗がAだったから、ショックで寝込んでるんじゃないかな……?それに、伊東くんもゆうちゃんのお母さんも死んじゃったし……!桃色の天使……私も神曲だと思ってたから悲しいよ……」

 

その時、夏美さんの手が小刻みに震え始めた。

 

「嘘……嘘だ……!」

 

夏美さんは、注文を取ることを忘れてハンディを床に落とし、パタリと倒れてしまった。

 

「夏美!夏美?!あ、あああああああ!!!」

 

沙也加さんは、夏美さんの背中や肩をメニュー表で何度も叩いた。

 

だが、夏美さんは完全に気を失っていた。

 

遠目に見れば、生きているのか死んでいるのかさえ分からないほどに。

 

「どうしよう……!夏菜子とまちこは絶対忙しいし……!」

 

沙也加さんは、もう1回注文用チャイムを鳴らした。

 

ピーンポーン

 

沙也加さんは、まだ使っていないおしぼりを胸元にグッと押さえつけていた。

 

「あとで真由美にも電話しよ……」

 

午後1時15分

 

赤森さんがめるへん♡らんどに着いた。

 

「彩音……少しでも楽になるかな……。ツナマヨと明太エビマヨ用意したけど……」

 

赤森さんは、セーラーワンピコーナーを涙目で歩いたが、当然、ゆうちゃんの面影などどこにもなかったのだ。

 

「桃松さん……最期にAに会えただけでも幸せだったのかな……?」

 

セーラーワンピコーナーを通り過ぎた赤森さんの目線の先には、ゆうちゃんが7月4日に着ていたジャンスカがあった。

 

そのジャンスカこそ、彩音さんが今朝マネキンに着せた、王子様のハートを射止めるサックスのフリフリジャンスカだったのだ。

 

「桃松さん……!」

 

赤森さんは、その場に崩れ落ちて泣き出してしまった。

 

その時だった。

 

「いらっしゃいませ〜!……って、お兄ちゃん?!え、どうしたの?!なんでおにぎり4つも持ってんの?!」

 

新作のワンピースを抱えた彩音さんが通りかかった。

 

「あ、あああああああああああ……!」

 

赤森さんは、おにぎりを買った理由を伝えることができなかった。

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