※この作品はR-18です。

の【日の丸の国史上最悪の猟奇殺人事件がきっかけで始まった物語】   作:桃色ぴんく

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第109話

7月12日午後1時30分

 

黒田さん、赤竹さん、緑ヶ丘さんは、うさぎマーケットの自動ドア前にいた。

 

「ごめん。赤竹さん……。たったひとりで苦しんでいたんだね……」

 

黒田さんの声はかなり震えていた。

 

緑ヶ丘さんがあの時隣にいなければ、ゆうちゃんと青山さんがいる世界へふらっと行ってしまいそうな状態だったのだ。

 

「店長のせいではありません……悪いのは全部Aですから……っ」

 

赤竹さんは、スマホを持った手を小刻みに震わせていた。

 

3時間前に見た最悪な光景が、頭の中を執拗に支配し続けていたからだ。

 

「店長、副店長……。僕、もうまともに働けないかもしれません……!また笑って接客できる気がしません……」

 

緑ヶ丘さんは、胸の内に秘めた思いを、黒田さんと赤竹さんにぶちまけた。

 

そして、

 

 

【悲報】

 

うさぎマーケットの店員

 

桃松ゆうちゃん 28歳

 

Aを洗脳して死なせた日の丸の国史上最悪の悪女

 

うさぎマーケットって、こんなヤバいやつ雇ってたんですかーwww

 

 

と書かれたSNSの投稿を見せた。

 

「そんな……!桃松さん、可哀想に……」

 

「桃松さんはそんな最低な人間じゃないわ……」

 

黒田さんと赤竹さんは、本当に恐ろしい投稿を前に、嘆き悲しむことしかできなかった。

 

嫌な貼り紙は赤竹さんのバッグの中になんとか収まっていたものの、ボロボロのピンクのセーラーワンピは、うさぎマーケットの駐車場に大量に散らばったままだったのだ。

 

そこに、買い物を済ませた青木さんと茶山さんが来た。

 

青木さんはサニーちゃん、茶山さんはサンシャインくんを両腕で大事に抱えていた。

 

サニーちゃんはお姫様らしいピンクのドレス、サンシャインくんは王子様らしい青のタキシードを身につけていた。

 

「えっ、店長に副店長に緑ヶ丘くん……?」

 

青木さんはその場に固まってしまった。

 

「お疲れ様です……。桃松さんと青山くんにお供えしようと思いまして……。あら、緑ヶ丘くんもここにいたのね……」

 

茶山さんは蚊の鳴くような声でそう言った。

 

3人は黙って頷いた。

 

一方その頃、おひさまファッションビルの従業員専用の休憩室では……

 

いつものようにスマホの電源を入れた真理子さんは、藍谷さんからのメッセージに気づいた。

 

そこには、

 

 

お姉ちゃん……メンタルしんどい……

 

 

と書かれていた。

 

「チョコ……。真理奈をよろしくね……」

 

冷や汗をかきながらそう呟いた真理子さんは、

 

 

分かるよ、しんどいよね。

 

 

と返した。

 

「……っ!」

 

そして、大粒の涙を流しながら社割で買った昆布おにぎりを食べた。

 

「あはは……。今度は私が濡らしちゃったな……」

 

一方その頃、めるへん♡らんどでは……

 

「……ありがとう、お兄ちゃん。ツナマヨもいいけど、新作の明太エビマヨも食べたいって言ってたの覚えててくれたんだね」

 

赤森さんの優しさに気づいた彩音さんは、ツナマヨおにぎりと明太エビマヨおにぎりをそっと両手で受け取った。

 

「あああああああああああ!!!」

 

赤森さんはまだ泣き叫んでいた。

 

「泣かないで、大事に食べるから……」

 

彩音さんは、赤森さんの肩にそっと手を当てた。

 

だが、赤森さんは、自分の昆布おにぎりと梅おにぎりをぐっしょりと濡らしながら胸元に抱えることしかできなかったのだ。

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