の【日の丸の国史上最悪の猟奇殺人事件がきっかけで始まった物語】 作:桃色ぴんく
7月9日午前10時
藍谷さんは気分転換におひさまモールで買い物をしようとしていた。
まあ、本当の目的は例のSNSの特定班の書き込みが本当だったらどうしようという焦燥感を抑えるためだった。
「とにかく買わなきゃ!じゃないと……。桃松さん、昨日来なかったのって……。まさか!」
藍谷さんは息を切らしながら早足で階段を駆け上がり、2階のレディース、メンズ、キッズファッションのフロアに向かった。苦しい胸の鼓動を抑えきれずに……
「はぁ……はぁ……。いつもは我慢してたけど買うんだっ……!買わないともう……。あたしはっ!」
藍谷さんはBeautiful flowerという服屋さんに行った。
ここのワンピースは1番安いものでも3万円するが、その分レースが繊細で、生地もしっかりしていて長持ちする。そして何より、花柄の美しさが他とは段違いだ。
「プルメリアの白……あった……!あ……白だけ5万円か……。でも買わなきゃ!すみません!買います!」
藍谷さんはレジでお金を払った後も全然楽しい気持ちになれなかったし、それどころか余計に胸が苦しくなった。
午前10時30分
とりあえず何か買わなきゃと早足で歩いていたが、いつもだったら素通りする場所で無意識に足を止めてしまった。
そこは、めるへん♡らんどというメルヘンチックや乙女チックに全振りした服ばかり売っているお店だ。
そこにいたのは、ピンクのセーラーワンピを着た黒髪ツインテールのマネキンだ。その服は例のSNSの女の子が着ていたものにそっくりだ。
「え、桃松さん!?あ、マネキンか……」
藍谷さんはブラックホールに吸い込まれるようにめるへん♡らんどに入ってしまった……
一方その頃……
金森さんと白谷さんはくまさんのおうちという焼き菓子屋さんにいた。
そこは、1階の食品のフロアにある人気店で、土日祝日は長蛇の列になるほどだ。
「あら!このくまさんマドレーヌおいしそうね!プレーン、抹茶、チョコ、いちご、紅茶!迷うわね!白谷さんどれがいいかしら?」
「あら!このくまさんクッキーおいしそうね!塩バター、キャラメル、ココア、ココナッツ、アーモンド!迷うわね!金森さんどれがいいかしら?」
2人は藍谷さんと違ってとても楽しそうだ。
「いっそ全種類買おうかしら!」
「そうね、そうしましょう!」
「あ、ちょっとちょっと〜!カヌレもあるわよ!」
「え!カヌレ?!それも買うわ!」
2人のおしゃべりは始まったら最後、なかなか止まらない。
「それにしてもどうして桃松さん昨日来なかったのかしら?青山くん早退しちゃったし……」
「もしかしてシフト勘違いしてずーっと寝ていたのかしら?まさか……!例のSNSのせい……じゃないわよね…?」
?「あ、金森さん、白谷さん!お久しぶりです!」