※この作品はR-18です。

の【日の丸の国史上最悪の猟奇殺人事件がきっかけで始まった物語】   作:桃色ぴんく

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第113話

7月12日午後3時

 

黒田さん、赤竹さん、茶山さん、青木さん、そして緑ヶ丘さんは、うさぎマーケットの休憩室にいた。

 

テーブルの近くには、ボロボロのピンクのセーラーワンピが入ったゴミ袋が10個も置かれていたのだ。

 

当然、今朝の最悪な速報のせいで誰もテレビをつけなかったのは、もはや説明するまでもない。

 

「みんなありがとう。疲れたよね……」

 

疲れきった表情の黒田さんは、うさぎマーケットの店内から持ってきた緑茶をテーブルに5本置いた。

 

「疲れましたよ……あ、お茶ありがとうございます」

 

赤竹さんは、赤いハイビスカス柄のハンカチで汗を拭いた。

 

「こんなに可愛いお洋服をボロボロにするなんて……信じられませんよね……」

 

茶山さんは両手で顔を覆った。

 

「桃松さんをいじめるのを楽しんでいるようにしか見えませんよね!」

 

青木さんは、思わずテーブルを両拳で殴ってしまった。

 

「全く。人間ってこんなにも残酷になれるんですね……」

 

緑ヶ丘さんは呆れていた。

 

「あ、緊急朝礼……じゃないね。緊急昼礼。本当は、金森さん、白谷さん、黄ノ山さん、赤森くん、藍谷さんもいる時に話すべきことなのかもしれないけど……」

 

黒田さんは、組んだ両手の上に顎を乗せたまま俯いた。

 

「え……何ですか?」

 

赤竹さんたち4人の声はかなり震えていた。

 

「……っ!うっ、うう……ごめん……」

 

黒田さんは、大粒の涙を流しながらゆっくりと土下座し始めたのだ。

 

「ちょっと店長!いきなり土下座しないでください!困ります!」

 

ガン!

 

動揺した赤竹さんは、立ち上がった途端、両膝をテーブルにぶつけてしまった。

 

「あら……大丈夫ですか……?」

 

茶山さんは心配そうに赤竹さんを見つめた。

 

「あの、保冷剤いりますか……?」

 

青木さんは、休憩室にある小さな冷蔵庫を見つめていた。

 

「副店長、それ……絶対大丈夫じゃないやつですよね……?あ、店長。一体どうしましたか……?」

 

緑ヶ丘さんは赤竹さんのケガに戸惑いつつも、黒田さんの土下座の理由が気になって仕方がなかった。

 

黒田さんは、ゆっくり起き上がると、テーブルにあったスマホをそっと手に取ってこう言った。

 

「……うさぎマーケットは今日をもって閉店にする。この状況で再開しても、桃松さんに対する野次馬のせいでお客様に迷惑かけるから……」

 

スマホを持つ黒田さんの両手が小刻みに震えていた。

 

「何より、桃松さんも青山くんも失った今、僕はもう耐えられないんだ!ごめん!」

 

黒田さんは、とうとうスマホを床に叩きつけ始めたのだ。

 

赤竹さんたち4人は、取り乱した黒田さんを前に何も言えず、休憩室のゴミ箱のようにカチコチに固まっていた。

 

「本当にごめん……許して……。金森さん、白谷さん、黄ノ山さん、赤森くん、藍谷さんにも後で伝えるから……」

 

一方その頃……

 

亜李さんの金色の小型車が、アイスクリームワールドの目の前に停まった。

 

「美由利のアイスなら、2人とも喜ぶはず。あ、ウチの分も久しぶりに買おうかな……。えっ……?」

 

だが、茶色のドアには、本来この時間にはあるはずのない

 

 

本日の営業は終了しました

 

 

と書かれた貼り紙がどこか悲しげに貼られていた。

 

「マジか……日曜日だしめちゃくちゃ暑かったから午前中に売り切れたのかな?ショック……」

 

亜李さんは、その場を立ち去って車に戻った。

 

ハンドルを握る手は、汗でぐっしょりと濡れていたのだ。

 

「そういえば、みうと大輝に電話したっけ……?」

 

午後3時10分

 

アイスクリームワールドの裏口の合鍵を持った孝行さんが、ゆっくりとドアの鍵を開けた。

 

だが、美由利さんの姿はなく、冷凍庫のすぐ近くの床には、美由利さんのスマホがひとりぼっちでポツンと置かれていたのだ。

 

「あれ?なんでこんなところに……?ていうか、閉店するならまず僕に言ってよ……。ストック分を誠人たちに分けたりできるのに……」

 

スマホを拾った孝行さんは、心のモヤモヤを抱えながら冷凍庫をゆっくりと開けた。

 

ガチャ

 

「……っ!!!」

 

冷凍庫の中に入っていたのは、これから使う予定だったアイスのストックだけではなかった。

 

「美由利!どうしてここにいるの?!ねえ!」

 

身体を丸めた美由利さんは、安らかな笑みを浮かべ、ドライアイスのように冷たくなっていたのだ。

 

孝行さんが呼びかけても、もう何も返事をしなかったのは言うまでもない。

 

「あ……あ……!!!」

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