※この作品はR-18です。

の【日の丸の国史上最悪の猟奇殺人事件がきっかけで始まった物語】   作:桃色ぴんく

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第117話

7月12日午後4時35分

 

 

続いてのニュースは〜☆

 

テレビ初公開☆

 

Aがボツにした幻ソング〜☆

 

桃色の頬のお姫様へってタイトルらしいんだけど、歌詞公開するね☆

 

この世で1番愛らしい

 

天使のようなお姫様

 

僕は君を守りたかった

 

王子様になりたかった

 

根ノ江川で亡くなった青山めぐみさんが警察に見せたものなんだって☆

 

悲しいよねー!

 

Aは、このメモの1番下に、桃松ゆうはこの世で1番おいしい食材ではあるけど、この世で1番愛らしい顔じゃないからボツって書いてたんだって☆

 

超ムカつくー!失礼だよねー!

 

 

おひさまファッションビルの電光掲示板は、相変わらずよくわからんニュースを映し出していた。

 

「失礼だよねってレベルじゃない!失礼極まりないよ!ゆうちゃんは世界一可愛いシンデレラなんだから!」

 

亜李さんは、おひさまファッションビル入口付近の自動販売機で買った飲みかけの麦茶のペットボトルを握り潰してしまった。

 

そして、大きな足音を立てながら駐車場へと向かった。

 

「どうしようかな……みうの家行こうかな……」

 

亜李さんはそう言って車に乗った。

 

助手席には、一昨日買ったものと同じお菓子が入った袋が大量に積まれていた。

 

一方その頃、日の丸百貨店の5階では……

 

黒田さん、赤竹さん、茶山さん、金森さん、白谷さん、青木さん、緑ヶ丘さん、赤森さん、茜ちゃんを抱いた黄ノ山さん、そしてチョコを抱いた藍谷さんは、Hinomaru Dreamという超高級デザートパーラーの店内にいた。

 

「メニューここにあるから、遠慮しないで好きなものを頼んで。あ、茜ちゃんとチョコちゃんの分もあるよ」

 

黒田さんは優しく微笑もうとした。

 

だが、どう足掻いてもメニュー表に涙が落ちてしまうのだ。

 

「あ、あああ……!ありがとうございます……!」

 

目に大粒の涙を浮かべた9人の大人たちは、両手で顔を隠した。

 

だが、茜ちゃんとチョコだけは、店内と同じくらいキラキラと輝いた目をしていたのだ。

 

メニュー表には、宝石のように美しいフルーツを乗せたタルトやケーキの写真がいくつも載っていた。

 

赤ちゃん用の果汁やペースト、ペット用のケーキやタルトの写真も同じくらいの美しさだったのだ。

 

「ねえ、その傷どうしたの?」

 

赤竹さんが、藍谷さんのおでこと頭の傷に気づいた。

 

「あ、えっとですね……。気づいたら、おでこを目覚まし時計に、頭を壁にぶつけていたんです……。あの時、チョコが止めてくれなかったら……」

 

藍谷さんは右腕の青あざをそっと指差した。

 

それは、藍谷さんがゆうちゃんと青山さんがいる世界へ行くのを止めようとしたチョコが、口に咥えたフリスビーを右腕に押しつけた跡だったのだ。

 

「桃松さんを食べた男がAだなんて、まだ信じられません……」

 

赤森さんは、緑ヶ丘さんを見つめて涙を流していた。

 

「だよな。くだらねえ嘘だったらよかったのにな。はぁ……」

 

緑ヶ丘さんは、小さくため息をついた。

 

「桃松さんと青山くんどころか、めぐみちゃんもいなくなってしまうなんて!」

 

金森さんと白谷さんは、ゆうちゃんと青山さんだけでなく、青山さんのお母さんの死も深く悲しんでいた。

 

「桃松さんの事件、本当に残酷ですよね……」

 

黄ノ山さんは、茜ちゃんの頭を優しく撫でながらそう言った。

 

「そういえば、青山くんのお母さんって確か……」

 

茶山さんは、青山さんのお母さんが金森さんと白谷さんの同級生だったことを思い出した。

 

「確か、桃松さんと青山くんと同じ高校でしたよね……」

 

青木さんは静かに俯いた。

 

午後4時50分

 

黒田さん、赤森さん、緑ヶ丘さんはシャインマスカットタルト、赤竹さん、金森さん、白谷さんは桃ケーキ、茶山さん、青木さんはブルーベリータルト、そして、黄ノ山さんと藍谷さんはシャインマスカットケーキを選んだ。

 

さらに、黄ノ山さんは、茜ちゃんのために桃ペースト、藍谷さんは、チョコのためにペット用プチケーキを選んだ。

 

「じゃあ、注文するね」

 

ほんの少しだけ目を潤ませた黒田さんは、右手をそっと挙げた。

 

「バブバブ♪」

 

茜ちゃんは無邪気に笑っていたが、チョコは10人の大人たちを黙って見つめるだけだったのだ。

 

一方その頃、アイスクリームワールドでは……

 

「よかったね、アリス!ビスケットの魔法が時計を持ったうさぎとチェシャ猫を呼び寄せてくれて!」

 

孝行さんは、冷たくなった美由利さんをお姫様抱っこしたまま、百乃さんと裕香さんの元に駆け寄った。

 

美由利さんのエプロンの胸元には、ビスケットのブローチがついたままだったのだ。

 

下田さんたちは、孝行さんを取り押さえようとしたが、孝行さんの無垢な少年のような笑顔に手も足も出なかった。

 

「え、アリス?うさぎ?チェシャ猫?どういうこと……?」

 

赤いうさぎのブローチをした百乃さんは、美由利さんとは全く違う意味で凍ってしまった。

 

顔にも身体にも、猛暑日とは一切関係ない汗が噴き出し、どうしても止まらなかったのだ。

 

「え!ちょっと、孝行くん何してんの?!美由利ちゃんもう死んでるから!お願い、やめて!」

 

青い猫のブローチをした裕香さんは、涙を浮かべて後ずさりした。

 

そして、意図せず残酷な真実を孝行さんに突きつけてしまったのだ!

 

「え……?アリス……死ん……で……る……!そんな!美由利、美由利!!!!ああああああああああああああ!!!」

 

孝行さんは、ゆうちゃんと同じ世界へと旅立った美由利さんを床に下ろし、とうとうその場に泣き崩れてしまった……

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