の【日の丸の国史上最悪の猟奇殺人事件がきっかけで始まった物語】 作:桃色ぴんく
7月12日午後7時30分
孝行さん、みうさん、大輝さん、百乃さん、裕香さん、遥さん、誠人さん、亜李さん、そして雄馬さんは、ようやくゆうちゃんにお供えをするだけの気力が戻ってきた。
「そろそろゆうちゃんの家にお花……」
みうさんは蚊の鳴くような声で言った。
「あ、みう。ちょっと待って。京子と桃香と秋奈がここに来るから、その後ね。あ、誠人?3人が来たら、涼介の住所教えてあげて。10分前に健二が教えてくれたでしょ」
亜李さんは、みうさんの肩を撫でながら誠人さんに指示した。
「分かった。あ、でも僕たちまだ何も買ってないな……」
誠人さんは無意識に遥さんの右手を握っていた。
「それは京子さんたちが来てから考えればいいんじゃない?」
遥さんは優しい声でそう言った。
「そのお供え、俺たちもしたい。あ、大輝くんと孝行くんも大丈夫そう?」
雄馬さんに声をかけられた2人は、黙って一度頷いた。
「私もゆうちゃんたちにお供えしたい」
「あたしも仲間に入れて」
百乃さんと裕香さんも、ゆうちゃんと涼介さんに何かしたいと考えた。
一方その頃……
健二さんと智和さんは、おひさまファッションビルの3階にいた。
2人とも、星のエビフライランチを食べた後、一旦それぞれの家に帰った。だが、午後4時頃にまたおひさまファッションビルに来てしまったのだ。
「なあ、智和。桃松と涼介に何かしてえからさ。雑貨でも買わねえか?」
健二さんが提案すると、智和さんは少し考え込んだ。
「うーん、そうだね……。ここなら2人が好きそうな雑貨が確実にあるからな……。そうだ。僕はダークモードで涼介のお供え買うから、健二はふぇありぃているで桃松さんの分選んで」
こうして、健二さんはふぇありぃているという可愛い系の雑貨屋さん、智和さんはダークモードというカッコイイ系の雑貨屋さんへと向かった。
午後7時35分
智和さんは、厨二病グッズコーナーをじっと見ていた。
「子供の頃、こういうの好きだったな……。今も嫌いじゃないけど……」
そこでは、真っ黒な眼帯、魔導書モチーフのバッグ、そして邪気眼のリングなどが売られていた。
どれも厨二心をくすぐるデザインなのだが、智和さんの目を奪ったのは邪気眼のリングだった。
「あ……すごい……。あの頃より厨二っぽさが増してる……!これなら絶対喜ぶだろうな……うっ……」
青い邪気眼のリングを手に取った智和さんは、とうとうその場に泣き崩れてしまった。
15年前、根ノ江公園で戦いごっこをした思い出が蘇ってしまったのだ。
あの時、智和さんは緑、健二さんは赤、そして涼介さんは青を自分の色に選んでいた。
「涼介……!また遊びたいよ……」
午後7時40分
健二さんはメルヘン雑貨コーナーにいた。
そこでは、お姫様や妖精のキーホルダーやぬいぐるみなどが売られていた。
もちろん、シンデレラや白雪姫などの童話モチーフの雑貨もあった。
「俺がここに来るのは正直柄じゃねえけど……。桃松は絶対好きだろうな……」
健二さんは、お姫様のぬいぐるみをゆっくりと見つめていた。
どのぬいぐるみも顔やドレスが可愛くて、まさにゆうちゃんの大好きなものばかりだったのだ。
「何だあれ?すげえいっぱいある……」
健二さんは、少し離れたところにあるセール品の棚を不思議そうに見た。
そこには、ピンクのドレスを着た黒髪ツインテールのお姫様のぬいぐるみが何十個も無造作に積まれていたのだ。
「あれ……?すげえ泣きてえ……」
健二さんは、何も手に取れないまま頬を濡らしてしまった。
「あれ?健二くん、偶然だね」
涼太さんが後ろから声をかけてきた。
涼太さんの手には、シンデレラと王子様のペアキーホルダーが握られていた。
「礒部、お前も来てたのか……」
健二さんは、なんとか涙を堪えながら後ろを振り返った。
そして、シンデレラと王子様のペアキーホルダーをじっと見つめた。
「うん、気づいたらこれ持ってたんだよね。どうしてかな……?」
涼太さんは不思議そうな顔をしていた。
「さあな。ところで礒部、それ……どこにあった?」
「ここからちょっと歩いたところだよ。あ、一緒に行く?」
こうして、健二さんは涼太さんについて行った。
「礒部がシンデレラ系なら、俺は違うものにしよう」
健二さんは、ピンクの服を着た女の子の妖精と青い服を着た男の子の妖精のペアキーホルダーをそっと手に取った。