の【日の丸の国史上最悪の猟奇殺人事件がきっかけで始まった物語】 作:桃色ぴんく
7月12日午後7時40分
京子さん、桃香さん、秋奈さんがアイスクリームワールドに着いた。
「お待たせ。遅くなってごめん……」
京子さんは亜李さんに謝った。
「大丈夫、来てくれてありがとう。」
亜李さんは京子さんの右手をそっと握った。
「アイスクリームワールド、今日の午後をもって閉店したらしいね……」
桃香さんは、目を潤ませながら活気の無くなった店内を見つめていた。
「アイスクリームワールドの店主……自殺したらしいね……」
秋奈さんは、悲しげな声で呟きながら誠人さんの元へ向かった。
「あ、白石くんごめん。ゆうちゃんと伊東くんの住所教えて……」
「涼介くんの住所?松島県根ノ江市松ノ実4丁目7-8だよ。桃松さんの住所は蒼森さんに聞いて」
誠人さんは、涼介さんの住所が書かれたメモ紙を秋奈さんに渡した。
それは、アイスクリームワールドのお客様アンケート用紙の裏面を使ったものだったのだ。
「ありがとう」
秋奈さんはお礼を言うと、小走りでみうさんの元へ向かった。
「あ、いた。蒼森さん、いきなりごめんね。私たちゆうちゃんと伊東くんにお供えしたいから、ゆうちゃんの住所教えて」
「松島県根ノ江市松ノ実6丁目12-18だよ」
みうさんは、スマホに登録していたゆうちゃんの連絡先を秋奈さんに見せた。
「ありがとう、撮るね」
カシャ
写真を撮り終えた秋奈さんは、京子さんと桃香さんに早速メモ紙とスマホの写真を見せに行った。
「あ、亜李……。ゆうちゃんと伊東さんの家にどうやって行けばいいの?」
遥さんは少し不安そうに尋ねた。
「あ、そうだよね……。交通手段バラバラだろうから……。あ!雄馬にゃん以外で車持ってる人は挙手」
右手を挙げたのは大輝さんと誠人さんだったのだ。
「じゃあ、大輝の車にはみう、百乃、裕香。誠人の車には遥、京子、桃香、秋奈。雄馬にゃんの車にはウチ、孝行で決定ね」
亜李さんは、同窓会の幹事だった経験を生かし、10秒足らずで的確な指示を出した。
「亜李は本当に頭いいね」
遥さんは口元を緩ませた。
一方その頃、おやつワールドでは……
夏菜子さん、まちこさん、真由美さん、沙也加さん、そして夏美さんは、クッキーコーナーにいた。
そこでは、昨日カラオケ333のパーティールームで食べたあのクッキーはもちろん、星型、猫型、熊型など様々な形のクッキーが袋入りで売られていたのだ。
「真由美、これって……!」
「あ!同じやつだ!」
夏菜子さんと真由美さんは、ハート型のチョコクッキーを2人同時に手に取った。
「ごめん!当たっちゃった」
「夏菜子の手だから平気」
2人ともいつの間にか明るい表情をしていた。
「伊東くんには猫型のバタークッキーにする?」
「賛成!夏菜子ナイス!」
こうして、2人ともハート型のチョコクッキーと猫型のバタークッキーを満面の笑みでカゴに入れた。
「あ、ゆうちゃんこういうの好きそう!伊東くんの分は形違いにしようかな」
沙也加さんは、ハート型のイチゴクッキーと星型のイチゴクッキーを口元を緩めながらカゴに入れた。
「だよね。あ、これはどうかな?」
まちこさんは、うさぎ型のイチゴクッキーと熊型のバタークッキーを沙也加さんと同じ表情でカゴに入れた。
「え、可愛い。2人ともいいチョイスじゃん。あ、ゆうちゃんの分はまちこと被っちゃった。まあいっか。伊東くんには……」
夏美さんは、2種類のクッキーを見比べていた。
星型のバタークッキーか、猫型のチョコクッキーで迷っていたのだ。
「……両方買お。伊東くん用には……どちらにしようかな♪天の神様の言う通り♪」
迷いがなくなった夏美さんは、猫型のチョコクッキーをお供え用にし、自分用に星型のバタークッキーを選んだ。
そして、2種類とも満面の笑みでカゴに入れた。
午後7時50分
夏菜子さんと真由美さんのカゴには、いつの間にか大量のクッキーが入っていた。
「やばい!なんかあたしもクッキー食べたくなってきちゃった」
夏菜子さんが自分用に選んだのは、ハート型のイチゴクッキー、うさぎ型のバタークッキー、そして熊型のチョコクッキーだった。
「ちょ、買いすぎwまあ、私もか。あ、夏菜子とお供え同じにして正解かも。1袋じゃ足りないと思うから」
真由美さんも自分用のクッキーを選んでいた。
それらも夏菜子さんとお揃いだったのは言うまでもない。
「あたしたちは決まったけど、みんなも決まったー?」
「ねえ、何にした?」
夏菜子さんと真由美さんが尋ねると、沙也加さん、まちこさん、夏美さんは、ニコニコしながらカゴの中身を見せた。
沙也加さんとまちこさんも、自分用に星型のバタークッキーを追加していたのだ。
一方その頃……
翔子さんとみなみさんは、ほんの少しだけ表情が明るくなっていた。
20分前まで夏菜子さんたちがそばにいたことが、2人の涙を消し去ってくれたからだ。
「あ……。よく考えたら、パンじゃない方がいいよね」
「なんで?……あ、今日の最高気温37度だったの忘れてた……。翔子ありがとね」
翔子さんとみなみさんは、元々サンサンベーカリーで買ったパンの一部をゆうちゃんと涼介さんのお供え用にしようと考えていた。
だが、午後8時前になるまで今日が猛暑日だということを2人とも完全に忘れてしまっていたのだ。
「どういたしまして。じゃあ、ゆうちゃんと伊東くんのお供えはぬいぐるみにしない?」
翔子さんはみなみさんの手を引っ張ってエレベーターへと向かった。
「いいね。って、翔子!引っ張らないで〜!」
こうして2人はエレベーターに乗った。
翔子さんは、4階のボタンを軽やかに押した。
「え?ぬいぐるみ売ってるのは3階じゃない?」
みなみさんは戸惑っていた。
「え?4階であってるよ!」
翔子さんはみなみさんの不安など、一切気にしていなかった。
4階です。
2人が着いた場所は、HINOMARU GAME CENTERだった。
そこには、おひさまランドのようなミニ遊園地はないが、その分、クレーンゲームの景品が豊富に揃っていた。
「あ、そういうこと……?」
数えきれないほど並んだクレーンゲーム機を見たみなみさんは、ようやく翔子さんの意図を理解した。
「うん!こっちの方が色々あるって思って!」
翔子さんの目は、HINOMARU GAME CENTERのネオンのように輝いていた。
翔子さんは、早速両替機に1000円札を何枚も入れた。
「あ、みなみ!ゆうちゃんと伊東くんのぬいぐるみどれがいいか選んでくれる?私が取るから!1発で取れればいいけどね!」
翔子さんは大量の100円玉が入ったポーチを右手で握り締めていた。
「あ……!じゃあ、ゆうちゃんにはシンデレラのBIGぬいぐるみで、伊東くんにはバイオリンのBIGクッションがいいかな」
みなみさんは、童話のお姫様のBIGぬいぐるみが入った機械と、弦楽器のBIGクッションが入った機械を順番に指差した。
「任せて!」
翔子さんは、慣れた手つきであっという間に2つの景品をゲットした。
「え、2つとも1発で取れたの?!」
「まあね!でも結構大きいから、みなみ片方持って〜」
シンデレラのBIGぬいぐるみを抱えた翔子さんと、バイオリンのBIGクッションを抱えたみなみさんは、ニコニコしながらエレベーターへと向かった。