の【日の丸の国史上最悪の猟奇殺人事件がきっかけで始まった物語】 作:桃色ぴんく
7月12日午後8時45分
Twinkle Starには、夏菜子さん、真由美さん、沙也加さん、まちこさん、夏美さん、亜李さん、雄馬さん、そして孝行さんがいた。
晩ご飯を食べ終えた8人は、テーブルに置かれた星の紅茶シフォンケーキをじっと見つめていた。
それが届く前に、夏菜子さん、真由美さん、まちこさん、孝行さんは星のハンバーグディナー、沙也加さん、夏美さんは星のエビフライディナー、そして亜李さんと雄馬さんは星のステーキディナーを食べていたのだ。
「よかったね!全員分まだ残ってて!」
「あ!これ、私たちが大絶賛してるやつ!食べて食べて!」
夏菜子さんとまちこさんの目は、星のようにキラキラと輝いていた。
2人が半ば強引に注文したデザートではあるが、真由美さん、沙也加さん、夏美さん、亜李さん、雄馬さん、そして孝行さんは、誰1人嫌な顔をしていなかったのだ。
「めちゃくちゃ可愛い〜!」
「星型のシフォンケーキって斬新!」
「生クリームもおいしそう!」
「カラフルな小さい星もある〜!」
真由美さん、沙也加さん、夏美さん、亜李さんは、食べる前に一斉に写真を撮り始めた。
「あはは……亜李にゃんたちらしいね……」
「そうですね……」
雄馬さんと孝行さんは、ナイフとフォークをカトラリーケースからそっと取り出した。
午後8時50分
「……ごめん。2人ともペアキーホルダー買ってたなんて思わなかったから……。桃松さんのお供え、ふぇありぃているで追加で買ってもいい?」
智和さんは、目を潤ませながら健二さんと涼太さんにそう言った。
「お前が謝ることねえよ。一緒に行こう」
「うん。桃松さんは可愛いものが好きだからね」
健二さんと涼太さんは、智和さんを責めることなくそう答えた。
こうして、3人ともそれぞれの車にゆっくりと乗り込んだ。
根ノ江市の夜空は、涼介さんを失った3人の心と同じくらい真っ暗だったのだ。
一方その頃、おひさまスーパーでは……
遥さんと誠人さんは、ペットボトル飲料コーナーの前を泣きながら歩いていた。
2人の隣でショッピングカートを押していた桃香さんの優しい眼差しさえも、この時はなんの慰めにもならなかったのだ。
桃香さんの後ろにいた京子さんと秋奈さんは、3人を見守るようにゆっくりと歩いていた。
「Aとゆうちゃんのラブラブセットとか頭おかしいよね。なんで予約する人がいるんだろう?はぁ……」
京子さんは、溜息をつきながら烏龍茶のペットボトルを手に取った。
「私もAの歌は好きだったけど……。それとこれは絶対違う!」
秋奈さんは、手に取った緑茶のペットボトルを勢いよく膝に叩きつけてしまった。
「え?!あ、秋奈か。そうだよね、ゆうちゃんはあんな猟奇殺人鬼なんかと結ばれたくないに決まってるよ!可哀想……」
桃香さんは、勢い余ってほんの少し潰してしまったジャスミン茶のペットボトルを投げるようにカゴに入れた。
「あ……。お供えの前にお茶買っといた方がいいよ。夜もそれなりに暑いから……うん……」
遥さんと誠人さんを心配した桃香さんは、続けてそう言った。
5人の頬が、結露したペットボトル飲料のように濡れてしまったのは言うまでもない。
「どうして殺されて食べられた人に、自業自得とか言えるのかな……?ゆうちゃんは28歳だけど……だけど……っ!」
「桃松さんは……。きっと……彦星様に会いたかったんだろうな……。11年前から変わってないな……」
遥さんと誠人さんは、嫌な特番の内容が頭から離れず、両手で顔を隠しながら座り込んでしまった。
「……2人の飲み物が先だな」
桃香さんは、緑茶のペットボトルを追加で2本カゴに入れた。
その瞬間、カゴが山盛りになってしまった。
カゴの中には、ペットボトル飲料5本の他にもたくさんの商品が入っていた。
そうめん3袋、めんつゆ3本、刻みネギ3パック、かつおパック3袋、もみのり3袋、塩ラムネ6袋、しょうがチューブ3本。
京子さん、桃香さん、秋奈さんが遥さんと誠人さんを待っている間に自分たちの分を買っていたのだ。
「ゆうちゃん……喉乾いたかな……?」
遥さんは、震える手で麦茶のペットボトルを手に取った。
「……っ!あ……涼介くんもお茶……飲むよね……」
目的を思い出した誠人さんも、震える手で遥さんと同じものを手に取った。
「お茶……いいね。きっと喜ぶよ……」
桃香さんは、優しく微笑もうとしたが、涙に邪魔されてしまった。
午後9時
「ご飯おいしかった、マジありがとう!じゃあね!」
亜李さんは、Twinkle Starの入口の前で、夏菜子さん、真由美さん、沙也加さん、まちこさん、夏美さんに別れの挨拶をした。
結局、夏菜子さんたちは亜李さんより先にお供えをしに行くことにしたのだ。
「またね」
雄馬さんと孝行さんは、右手を左右に軽く振りながら、亜李さんに続けてそう言った。
そして、3人は黙ってエレベーターへと向かった。
3階です。
「じゃあ、俺たちもお供え買おうか」
雄馬さんは、亜李さんと孝行さんを優しい眼差しで見つめていた。
「はい」
孝行さんは静かにそう答えた。
「そうだ!ゆうちゃんのお供えはウチがふぇありぃているで買うから、涼介のお供えは雄馬にゃんと孝行がダークモードで買ってね!」
亜李さんは、あの頃のゆうちゃんのようにニコニコしていた。
「いいね、亜李にゃんナイス……え?」
だが、雄馬さんは思うように笑えなかった。孝行さんの表情がまた曇りだしたことに気づいてしまったのだ。
「……っ!僕……うっ!み……みっ……!」
大粒の涙を流した孝行さんは、雄馬さんの左腕にしがみついた。
そして、雄馬さんの目をじっと見て、何かを必死に伝えようとした。
「……あ、亜李にゃんごめん。悪いけど、孝行くんと交代してくれる?俺、亜李にゃんと離れるのめっちゃ嫌だからさ」
雄馬さんは優しい微笑みを浮かべてそう言った。
雄馬さんの右手は、孝行さんの頭をゆっくりと撫でていた。
まるで、弟を慈しむお兄ちゃんのように。
「OK。ウチも本当は雄馬にゃんと一緒にいたかったからさ……。あ、後でウチらもそっちに行くね」
全てを察した亜李さんは、孝行さんをじっと見つめながらそう言った。
そして、雄馬さんのTシャツの袖を親指と人差し指でつまんで引っ張り、黙って右手を差し出した。
「行こっか」
一方その頃……
Aの日記に、また恐ろしいことが書いてありました……
信号待ちの間、僕は助手席にいた桃松ゆうの首筋の香りを楽しんだんだ♪
お馬鹿なお姫様は何を勘違いしたのか、レアステーキの断面みたいに真っ赤な顔をしていたね♪
まあ、好都合だけど♪
とはいえ、笑ってmy treasureをうっかり口ずさんでしまったのは失敗だったな。
あのお馬鹿なお姫様にも、僕がAだってバレちゃったからね……
だから、耳元でこう言ったんだ♪
僕がAだってことは、2人だけの秘密だよ。バレたら天帝に叱られるからね……って。
あの時のお姫様のお馬鹿っぷり、最高だったな♪
僕がAだってこと以外、全部子供騙しの嘘なのに、全部信じてニコニコしていたからね♪
おひさまファッションビルの電光掲示板の前は、黒いぬいぐるみを持った人たちで埋め尽くされていた。
ここにいた人たちは、Aを崇拝し、ゆうちゃんを侮辱していた。
その近くでは、タバコの吸殻やガムの包み紙と同じように、大量のピンクのシュシュが無惨にも捨てられていた。
いや、むしろピンクのシュシュの方がずっと多かったのだ。
ここで、番組に寄せられたSNSのコメントをいくつか読み上げようと思います。
ゆうちゃん可哀想、ご冥福をお祈りします。
Aがこんな酷い人だったなんて悲しすぎます……
……っ!あれ?えっ……?酷い……
……失礼しました、続けますね。
ゆうちゃんAの助手席に座ったの?!は?!なんでこんなクソ女が!!
いや、亡くなった人に向かってクソ女はダメだろ。でも、28歳にもなってピンクのセーラーワンピ着てる女はぶっちゃけ痛々しいなw
A様は何も悪くない!ゆうちゃんに出会ったのが運の尽き!
でも、A様が大絶賛したのか……クソ女の肉……
すみません、もう耐えられないので読むのやめますね……
ご不快な思いをさせてしまい、申し訳ございませんでした……
日の丸の国のテレビがゆうちゃん関連の特番一色になっても、最低なコメントの嵐が収まることはなかったのだ……
「酷いよA!ゆうちゃんは食べ物なんかじゃない!あたし、なんで昨日まであんなクズ男に本気で恋をしていたの……?」
「私……なんで昨日、遥と亜李に笑いながら酷いことしてたんだろう?あんな男に騙された私がバカみたい……」
「A……!超イケメンなのをいいことに、ゆうちゃんの乙女心を踏みにじっていたなんて……!ゆうちゃんと同じことされたいって考えてた自分が恥ずかしい……」
「そりゃ、ゆうちゃんのお母さんも伊東くんも生きていけるわけないよ!ゆうちゃん、昨日はごめんね……。そしてA!夏菜子たちの心もボロボロにした罪は重いんだから!」
「ゆうちゃんはクソ女なんかじゃない!私たちの大事な仲間だったのに……。どうして昨日の夜中まで気づけなかったの?私はAを永遠に許さない……!」
夏菜子さん、真由美さん、沙也加さん、まちこさん、夏美さんは、Aを心の底から憎み、ゆうちゃんを心の底から追悼していたのだ。
昨日までの自分に懺悔しながら……