の【日の丸の国史上最悪の猟奇殺人事件がきっかけで始まった物語】 作:桃色ぴんく
7月9日午前11時30分
赤竹さん、茶山さん、青木さん、緑ヶ丘さん、そして赤森さんは今までにないくらい暗い顔をしていた。
5人は1階にあるおひさまスーパーで売られている商品の在庫状況を隅から隅まで死んだ目で確認していた。
「桃松さん……。本当に食べられたのかしら……?」
赤竹さんは震えた声で言った。
「信じたくないわ……。ここもプリンやゼリーやヨーグルトが全然ないわね……」
茶山さんは泣きそうだった。
「ケチャップとかだけでもまだあれば……と思ったけど、さっき欠品のお知らせのポスター見ちゃったのよね。全く!顔はイケメンなのに心はブサイクね!私があの男を殺して食べたいわよ!」
青木さんは、最初はイケメンと褒めていた男にかなりイライラしていた。
「それじゃあやってること一緒ですよ。気持ちは分かりますが……。何気に食紅も赤だけ欠品……。初めて見ましたよ……」
緑ヶ丘さんは、青木さんを落ち着かせようとしつつ変な欠品に絶句していた。
「……!……っ」
赤森さんに至っては、もはや何も喋れなかった。
「私がしっかりしなくては。店長に電話……あ、警察との対応があるわね…。休みの人に連絡しようかしら。一応黄ノ山さんにも。あと、最初に真実を教えてくれた青山くんにはごめんねとだけ伝えるべきか……。でも、まずは店長に言った方がいいわね」
赤竹さんは副店長として順番に電話することにした。
プルルルル
「やっぱり忙しいわよね。あの2人のどっちかに繋がれば!」
プルルルル
「お疲れ様です。金森です」
「あ……赤竹だけど、今どこにいるの?白谷さんも一緒にいるの……?」
「はい、あと黄ノ山さんもいます……。おひさまモールの1階のくまさんのおうちにいますが……あの、大丈夫ですか……?」
「例のSNS……本当かもしれないの……。店長に報告したかったけど、警察の件で忙しくて……。ごめんなさいね……」
「実は、私も同じ話をしていました……。あ、白谷さん、黄ノ山さん。副店長から電話よ」
「お疲れ様です、白谷です。すみません……黄ノ山はさっきから20分くらい泣き続けていまして……お話できるかどうか……」
「あ……ううっ!黄ノ山……ですっ……。桃松さん……っ!もう会えないなんて……!」
「私も泣きたいわよ……。なんだかんだで可愛い部下だったもの……。日の丸コンビニもおひさまモールも……いろんなものがなくなっていたわ。桃松さんがいなくなったように!ごめんなさい、そろそろ他の人にも連絡するから切るわね……」
一方その頃……
ガチャ
「守、ご飯よ」
青山さんのお母さんが、青山さんの部屋のドアを開けて中に入った。
だが、青山さんは電池切れのロボットのように眠っていた。
青山さんのお母さんが部屋を出ようとしたその時、今まで青山さんの机になかったものが目に入った。
「あら?トイレットペーパーの芯に女の子の顔が描いてあるわ。可愛いわね。って、うさぎマーケットのチラシ?なんでこんな所に。勝手に捨てるのもあれだし……」
青山さんのお母さんは、うさぎマーケットのチラシをゆっくりと手に取り、机の左端に寄せた。
すると、青山さんが描いた絵が出てきた。
「王子様とお姫様と、黒いのは魔王かしら?お姫様がSNSで話題の食べられた女の子にそっくりね。トイレットペーパーの芯の女の子によく似ているわ」
青山さんのお母さんは、お姫様の絵とトイレットペーパーの芯に描かれた世界一可哀想な織姫様を見比べた。
「魔王がイケメンに描かれているのはSNSのあの怖い男……?!王子様の顔にバツが描かれているのはどうしてかしら?……!もしかして守?!守はあの子のことが好きだったのね……」
青山さんのお母さんは最愛の息子の心の声を全て理解した。
「だからあんなに今朝……。ごめんね、守……」