の【日の丸の国史上最悪の猟奇殺人事件がきっかけで始まった物語】 作:桃色ぴんく
7月9日午後0時
「よし、誰もいないな。けど、もしかしたら小型カメラを仕掛けられているかもしれない。念のため僕の自慢のイケメンすぎる素顔は隠しておくか」
男は黒のフェイスマスクをつけ始めた。そしてついに、ゆうちゃんのピンクのリボン付きバッグから盗んだ鍵でドアを開けた。
強盗にしか見えない男は、そのまま早足でゆうちゃんの部屋へと向かった。
「ああ……お姫様の服はどれも可愛いな……。まるで何も知らない夢見る少女のようだ……。28歳なのがまだ信じられないよ!下着も一緒に入れてしまおう……」
男は、ゆうちゃんのタンスやクローゼットを開け、それらの中身を獲物を見るような目で見つめていた。
「そうだ、アルバムも全部奪ってしまおう。そうすれば哀れな女王様の心を漆黒の闇に叩き落とせるだろう!ああ最高だ!」
男の最高級のスーツケースには、ゆうちゃんの服や下着、そして28年分のアルバムがぎっしりと詰め込まれていた。スーツケースの数は1つ2つどころではないのは言うまでもない。
「桃松ゆう。君は永遠に僕に『食べられて』しまう運命なんだよ。あっはは!」
奪えるものは全て奪った男は、高笑いをしながら漆黒のSUVに乗って帰っていった。
「ふふ、何もかも全て僕のものにするからね♪桃味のお馬鹿で可愛いお姫様♪」
午後0時30分
「藍谷さんと青山くんにも伝えないと……。でもなんて言えばいいか……。藍谷さんも早退させておけばよかった……」
泣きながらスマホを持つ赤竹さんの手はものすごく震えていた。
7月8日の昼休憩中、藍谷さんは例のSNSの特定班の書き込みに動揺していたし、青山さんに至っては食事に支障が出たり狂ったように泣き叫んだりするほど精神を崩壊させていたから……
プルルルル
「あ、副店長っ!ああああ!いやああっ!」
「藍谷さん?今どこにいるの?一体どうしたの?!」
「2階の……めるへん♡らんど……あ、あああああっ!!」
赤竹さんは藍谷さんにそれ以上何も言えなかった。
「あの…、代わりましょうか?」
ここで緑ヶ丘さんが救いの手を差し伸べた。
「ありがとう……。お願いできる?」
「はい。僕でよければ……」
緑ヶ丘さんは胸を左手で押さえながら右手でスマホを持った。
「あ、もしもし?俺だけど……藍谷一体どうした?」
「……っ!あああ……!桃松さん……!いやああああああ!」
「……。お前も気づいたのか。桃松がもう帰ってこないのが真実だって……!」
緑ヶ丘さんはいつの間にか大粒の涙を零していた。
「今から俺そっちに行くから……。そのまま待ってろ!」
緑ヶ丘さんはそう言って電話を切った。
赤竹さんにスマホを返した緑ヶ丘さんは、これは最優先の『特急案件』だと言いたげな足取りでめるへん♡らんどに向かった。