の【日の丸の国史上最悪の猟奇殺人事件がきっかけで始まった物語】 作:桃色ぴんく
7月9日午後2時30分
ゆうちゃんのお母さんと黒田さんは、1枚のハッピーコーンピザを半分ずつ食べていた。
「うう……!ゆうも隣にいたらよかったのに……!」
「僕もそう思います……」
七夕の日のあの出来事は、ゆうちゃんのお母さんにとってあまりにも残酷だった。だから、ナイフやスプーンを使って食べるメニュー、カトラリーを真っ赤に染めるメニュー、肉を使ったメニューはどうしても選べなかったのだ。
ゆうちゃんが生きていた頃は、メインの料理を食べた後にパフェを食べるのが当たり前だった。だが、それすらできなくなってしまった。なぜなら、ゆうちゃんの左目と血液のパフェを食べる男の写真を見てしまったからだ。
例のSNSで話題のスプーン。それがいつ使われたかは、もはや説明するまでもない。
レストランハッピーのピザは、どの種類を選んでも既に6等分された状態で届く。ナイフで切り分けなくていいのが唯一の救いだった。
黒田さんは、使わないカトラリーケースをそっとメニューで隠していた。
一方その頃、くまさんのおうちでは……
赤竹さん、茶山さん、青木さんは焼き菓子を見ながら、金森さん、白谷さん、黄ノ山さんを30分前から待ち続けていた。
「全く、3人ともここにいるって聞いたから来たのに!一体どういうことかしら?さっきから電話しても出ないし!あと、青山くんにも何度か電話してみたんだけど、全然繋がらなかったわ……」
赤竹さんはやや苛立ちながら目を潤ませていた。
「まあまあ。どこかでお昼ご飯を食べているかもしれませんよ。もう少し待ってみましょう」
茶山さんはとても冷静だった。
「青山くんってまだ18歳ですよね?もしかしたら私たちよりもずっと……」
青木さんは青山さんをとても心配していた。
もうすぐおやつの時間だが、これから焼き菓子を買おうという発想は3人とも全くなかった。
「金森さんと白谷さんったら!私が何度も電話してるのにいつになったら気づくのよ、全く。こんな状況でもおしゃべりが止まらないのかしら。黄ノ山さんも巻き込まれていたりして……」
赤竹さんはそう呟いた。そう思わないと頭も心もおかしくなってしまいそうだったからだ。
午後2時45分
「すみません……。お昼ご飯食べていました……!」
「すみません……。連絡気づかなくて……!」
「すみません……。実はレストランハッピーで……店長と桃松さんのお母さんに会いました……。ああああっ……!」
金森さん、白谷さん、黄ノ山さんは、謝りながら泣いてくまさんのおうちに戻ってきた。
赤竹さん、茶山さん、青木さんは、残酷すぎる運命の悪戯に何も言えずにいた……