の【日の丸の国史上最悪の猟奇殺人事件がきっかけで始まった物語】 作:桃色ぴんく
7月9日午後3時
男はおやつを食べようと思い、冷蔵庫を開けた。その冷蔵庫は、業務用でも滅多に見かけないほど大きなものだった。
「ふふ。いちごの乗ったショートケーキ、こだわりたまごのとろけるプリン。どっちにしようか。ふふっ。飲み物はもちろん真っ赤な……あっはは!」
男は2つのおやつと真っ赤な『ジュース』をトレーに乗せて笑っていた。テーブルに運ぶまでの時間もとても楽しい時間だった。
「いただきます。ああ、これだよ……。ケーキもプリンもいつもの最高級品だけど、お姫様の味には敵わない。ロマネ・コンティが霞んでしまうくらいだ!」
真っ赤な『ジュース』は男にとって最高の飲み物だったのだ。
男はおやつを食べながらアルバムの1ページ目を開いた。それは、赤ちゃんの頃のゆうちゃんの写真をまとめたものだった。
「『産まれたて』の桃松ゆう……。ジュル……。この頃からもうおいしそうだ……。真っ白なミルクの香りがするよ……ふふふ……。目の前にいたらこの手で首を……いくらオギャーって『鳴いても』無駄だよ……泣き虫なお姫様……。ああ……丸焼きにして骨の髄まで……!」
男は涎を垂らしながら2ページ目を開いた。
「女王様に抱かれたお姫様……。どうしてここに僕がいないのだろうか。悲しいよ。全く、神様は意地悪だなあ……。最高の丸焼きを僕にくれないなんて。まあいい。まだ食べる肉が少ないから……」
過去のゆうちゃんが目の前にいたらどう調理しようか、男はそれだけを考えていた。
男は4歳の頃のゆうちゃんの写真を見つめていた。その頃のゆうちゃんは、白いうさぎの顔が描かれたピンクのTシャツを着ていて紺色のミニスカートを穿いていた。
「桃松ゆう。24年前もこんなにニコニコしていたんだね。ジュルリ……。ああ、何もかも柔らかそうだ……」
男は幼いゆうちゃんの写真と全く違う意味で笑っていた。
「こんにちは、可愛いお姫様。僕とお城の舞踏会へ行きませんか?……って、優しい王子様のフリをしてやろう。まずはアップルパイで手懐けて、その後は睡眠薬を溶かしたりんごジュースで……。あっははは!考えただけで楽しいなあ。幼い眠り姫のミートパイに真っ赤なソースを垂らして狼のように貪る僕……!」
理性を失った男は、幼いゆうちゃんの写真にとうとう真っ赤な『ジュース』をかけて舐めてしまった。
一方その頃、おひさまモールでは……
「2人ともどこ……?あ、もう3時過ぎてたんだ。そういやお昼ご飯何も食べてなかったな……」
足元がおぼつかない赤森さんは、緑ヶ丘さんと藍谷さんを探していた。
「なんか喉乾いたな……。頭も痛い……。もしかして……!」
赤森さんは近くにあったエレベーターに乗った。
1階です。
とアナウンスされたその瞬間、赤森さんはゆらゆら揺れる体でフルーツバスケットというフルーツジュースのお店に向かった。
視界が霞んできたその時、こんな声が聞こえた。
「緑ヶ丘さんすみません……。あたしまだ泣き虫で……」
「謝るな。藍谷は何も悪くねえから……」
赤森さんは最後の力を振り絞って、苦しみと戦いながら歩いた。
「緑ヶ丘さ……ん、藍谷……さ……!」
赤森さんは目の前で力尽きて倒れてしまった。
「え!赤森?!」
「赤森さん……えっ……?」