の【日の丸の国史上最悪の猟奇殺人事件がきっかけで始まった物語】 作:桃色ぴんく
7月9日午後3時30分
「あれ?俺、なんでここに……?」
赤森さんは根ノ江病院のベッドで目を覚ました。
「赤森!よかった無事で……」
「赤森さん……っ。すみません、あたしのせいで……。あの、これ飲んでください……」
緑ヶ丘さんは両手で赤森さんの左手を握っていた。その間に、赤森さんは右手で藍谷さんからオレンジジュースを受け取った。
それは、緑ヶ丘さんが119番通報した後にフルーツバスケットで急いで買ったものだ。
「ありがとうございます。すみません、後でお金返しますので……」
「そんなのいらねえよ。熱中症になってまで俺らのこと探してくれてたんだろ……?」
緑ヶ丘さんの目は潤んでいた。
「本当にすみません……。うっ……うう……」
藍谷さんの目も同じように潤んでいた。
一方その頃……
「喉乾いたな……。あれ?副店長から3回も電話……。どうしたんだろう……?」
家の布団で目を覚ました青山さんは、水を飲む前に赤竹さんに電話した。
プルルルルル
「青山くん!よかった無事で……!」
「心配かけてすみません、今起きました……」
「あ……そうよね。あ……その……。ごめん……ね……」
赤竹さんはもう謝ることと泣くこと以外何ひとつできなかった。
「……!あ……あ……!ああああああああああああああああああ!!!」
全てを察した青山さんは、言葉にならないほど泣きじゃくった。そして、スマホと自分自身を真っ白な布団に強く叩きつけた。
「本当にごめんね……。ごめんね……!」
涙声の赤竹さんはそう言って電話を切った。
「ああ……僕はゴミだ……。ゴミだゴミだゴミだ!真っ赤なバツがお似合いなゴミだ!お姫様を守れなかった最低なゴミだ……。あああああああああああああああああああああああ!」
机の上のトイレットペーパーの芯に描かれた世界一可哀想な織姫様は当然何も喋らなかった。
「桃松さん、今までごめんなさい……。ゴミがお姫様に気安く話しかけて……。汚いゴミの僕にも笑顔を見せてくれた、いつも素敵な夢を聞かせてくれた優しくて可愛いお姫様……。う……うううっ……」
青山さんは、ゆうちゃんの夢見るゆめこちゃんな性格、無邪気な笑顔、そして誰にでも分け隔てなく接する優しい心、いや!ゆうちゃんの全てを好きになっていたのだ。
悲しみに取り憑かれた青山さんは机にあった赤いサインペンを手に取り、身体中に大量のバツを描き始めた。
その後、喉の渇きと深すぎる悲しみを少しでも打ち消そうと台所へと向かった……