の【日の丸の国史上最悪の猟奇殺人事件がきっかけで始まった物語】 作:桃色ぴんく
7月9日午後4時30分
うさぎマーケットのバックヤードにいたゆうちゃんのお母さんと黒田さんは、もう笑うどころか泣くこともできなかった。
ゆうちゃんを失った悲しみと何時間にも及ぶ聞き取り調査による心と体の疲れがそうさせたのだ。
「帰りたくない……」
「ですよね……。あんなもの、夢でも恐ろしいですよ……」
本来天国であるはずのゆうちゃんの家は、悪魔としか言えないあの男のせいであっという間に地獄へと変わってしまった。
仮に1枚の『狂気』と5つの『凶器』が郵便受けに入っていなかったとしても、ゆうちゃんが永遠に帰ってこなければ同じことだ。
「ちょっと待ってくださいね」
黒田さんはうさぎマーケットの店内へ向かった。
一方その頃……
「ねえ、白谷さん……」
「何?」
「茶山さんの言う通り、青木さんは副店長を探しに行ったんじゃないかしら?」
「そうよね、あの人ちょっと早とちりな性格ではあるんだけど……。この状況ならそれしか考えられないわね」
金森さんと白谷さんは、3階のコスメ、ファッション小物のフロアにいた。
2人は、1つのメルヘンという雑貨屋さんに来ていた。
そこは、めるへん♡らんどで売っている服と同じくらい可愛い雑貨で埋め尽くされたお店だった。もちろん、壁や装飾もリボンやスイーツなどをモチーフにした可愛いデザインだ。
「ピンクのリボン……。桃松さん絶対好きよね……」
「ピンクのマカロン型の手鏡……。桃松さん絶対こういうの持ってそうよね……」
商品を手にとった2人は、ゆうちゃんのことを思い出して目を少し潤ませた。それと同時に赤竹さんたちのことも考え始めた。
「もしかして副店長お腹痛くなったのかしら……?念のため、電話する?」
「そうね。もし金森さんの予想通りだったら……。青木さんも突然走ってどっか行っちゃったから心配だわ」
金森さんと白谷さんは、2人同時に赤竹さんに電話した。
プルルルルルル
ただいま、電話に出ることができません。ピーッという発信音の後に、お名前とお電話番号をお話しください。
「白谷さん。副店長……トイレにしては長すぎるって言ってたわよね?」
「ええ、言ったわ」
「トイレ行ってくるって言ったの、ちょうど電話が鳴ったタイミングだったわよね……?」
「そうね。って、金森さん自分で茶山さんにそう伝えたじゃない」
「やだ。忘れてたわ……。って、ちょっと待って。もしかして青山くんからの電話に出ようとしてたんじゃ!」
「え!それってトイレに行くフリして別の場所で電話に出たってことよね……?」
真実に気づき始めた2人の顔は、金森ひかり、白谷笑子という名前が全く似合わなくなってしまった。
おことわり
当店の人気商品 メルヘンシュシュ ピンクは現在製造が追いつかず、入荷が困難な状況です。
また、今後は予約・取り置き・お取り寄せは一切できかねますので予めご了承ください。
お客様にはご迷惑をおかけし申し訳ございません。
この残酷な貼り紙が目の前にいる2人を嘲笑っていた。
「あああああああああああ!!!!!」