の【日の丸の国史上最悪の猟奇殺人事件がきっかけで始まった物語】 作:桃色ぴんく
7月9日午後5時50分
赤森さん、緑ヶ丘さん、藍谷さん、そして茜ちゃんを抱いた黄ノ山さんがめるへん♡らんどに到着した。
「すみません。心配をおかけしてしまって……。実は熱中症で病院に運ばれてました……」
赤森さんは頭を下げて茶山さんに謝った。
「あらそうだったの……。気づいてあげられなくてごめんね……」
「え!?お兄ちゃん大丈夫?!」
茶山さんは小声で謝り、彩音さんは大声で叫んでしまった。
「茶山さんは何も悪くないですよ。彩音、俺はもう大丈夫だから」
赤森さんが2人にそう返したその時、
「あ、ああああああ!!!いやああああああああああ!!!!!」
藍谷さんは朝見てしまった最悪なSNSのトレンドを思い出し、また泣き叫んでしまった。
「藍谷さん、え!どうしたの?!」
「やめろ黄ノ山。それ以上聞くんじゃねえ……」
一方その頃、おひさまモールの4階にあるおひさまステーショナリーでは……
「あああっ……ゆうちゃん……。もう一生会えないなんて……。ううっ……」
無地の青いマキシ丈ワンピを着た黒髪ショートボブの28歳の女性が、静かに泣きながら歩いていた。名前は蒼森みう。彼女はゆうちゃんの親友だった。
「何が超イケメンよ……。どう考えても醜い怪物じゃない……」
絵の具コーナーに着いたみうさんは立ち止まった。
おことわり
おひさま絵の具 赤
おひさま絵の具 銀
こちらの商品は、諸般の事情により当面の間休売致します。
お客様にはご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございません。
「あ……ああああああああああっ!!!」
前代未聞の大きな貼り紙には目もくれず、みうさんは無意識にピンクと黒の絵の具を手に取り大声で泣き出した。
「ゆうちゃん……。真っ黒な怪物に食べられた可哀想なお姫様になってしまうなんて!あああっ……あああああああ!」
黒の絵の具だけをサッと売り場に戻した後、今度は白の絵の具を手に取ったが、こんなもので心の傷を埋められるわけがなかった。
「ゆうちゃんも会いたかったよね……。白馬の王子様に……!」
みうさんは、ピンクと白の絵の具をお姫様と王子様が抱き合うようにくっつけた。
その後ろには、みうさんとは全く違う意味で悲しむ人たちが何人も通りかかっていた。
午後6時
みうさんは、ピンクと青の絵の具を1つずつ、さらに白の絵の具を2つ買った。
そして、5階へ登るエスカレーターへと向かった。
おひさまランドに着いたみうさんは、ゼラニウム柄のハンカチで涙を拭き、スマホのロックを解除した。
プルルルルル
「もしもし、みう。スマホ直ったのか?」
「結局無償交換になった……」
「そっか。よかったの……か?」
「うん……。仕事……終わったよね?」
「ああ。今終わった」
「そっか……。……っ!あっ……う……」
「おい、みう?え?!」
「大輝っ!!あああああああああああああっ!!!!」
「……っ!まさか……!あのクソ野郎、俺のみうを泣かせやがって!」
「大輝……。助けて……!もう私……ひとりでいるのが辛いの……!」
「わかった、すぐ行くから!いつもの場所にいるんだろ!」
「うん……」
「白馬はねえけど、姫への熱い愛は誰にも負けねえから俺は!」
真っ赤なカバンを持った28歳のスタッフのお兄さんは、電話を切らずにみうさんの元へと走った。
みうさんは、青と白の絵の具をくっつけ、祈るように強く握り締め、泣きながら恋人の大輝さんを待っていた。