※この作品はR-18です。

の【日の丸の国史上最悪の猟奇殺人事件がきっかけで始まった物語】   作:桃色ぴんく

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第30話

7月9日午後6時

 

「あ!副店長!」

 

青木さんはついに赤竹さんを見つけた。赤竹さんはメリーゴーランドから降りたあと、虚ろな目をして立っていた。

 

「あの!これ落としてましたよ……」

 

青木さんは、赤竹さんに文字入れストラップを渡した。

 

「あ……えっ……?あり……が……とう……」

 

赤竹さんは戸惑いながらも小さな声でお礼を言った。

 

「あ……いえ……」

 

青木さんはそれしか言えなかった。彼女の目も同じようにだんだん光を失っていった。『メロディー』の魔力は想像以上に強いものだったのだ。

 

午後6時10分

 

「あ!いた……!」

 

そこへ、金森さんと白谷さんが合流した。

 

「副店長……青山くんを傷つけたくなかったんですね……!」

 

「青木さん……やっぱり副店長が心配だったのね……!」

 

金森さんは副店長に、白谷さんは青木さんに泣きながら話しかけたが、もう手遅れだった。

 

2人ともゾンビのような歩き方をし、虚ろな目をした『アンドロイド』へと変わってしまったのだ。

 

「あ……。あ……あ……」

 

金森さんと白谷さんも『人間』でなくなってしまうのは時間の問題だ……

 

一方その頃……

 

「みう!大丈夫か?!」

 

息を切らした大輝さんは、額に汗を流していた。

 

「大輝……!」

 

みうさんは大輝さんの胸に飛び込み、大輝さんはみうさんを守るようにぎゅっと抱き締めた。

 

「大丈夫だ。俺がそばにいるから……」

 

その時、大輝さんは背中に何か当たったような感覚を覚えた。

 

「あれ……?」

 

振り返ると、みうさんは右手に青の絵の具、左手に白の絵の具を持っていた。

 

「え、どうした?その絵の具……」

 

「私と大輝……。あと……袋に……っ!ああああああああああっ!!!!」

 

「辛かったな。みう……」

 

大輝さんは右手でみうさんの背中を優しくトントンと叩いた。叶わなかった夢を直接言葉にすることは、みうさんには残酷すぎてできなかった。

 

「ごめん、みう。その袋……。ちょっと俺に見せて欲しい……」

 

大輝さんは、みうさんの心の傷を和らげるヒントを探していた。

 

「いいよ……」

 

「ありがとう。終わったらすぐ返すから。……っ!!」

 

大輝さんは、袋の中で離れ離れに転がっていたピンクと白の絵の具の意味に気づいてしまった。

 

「みう、ありがとう。そんな風に思ってくれて。ゆうちゃんの元に白馬の王子様が現れたらダブルデートしたかったんだな……」

 

「……っ!」

 

みうさんの涙はさらに溢れて止まらなくなってしまった。

 

「ごめん。地雷踏んじゃったか?」

 

「ううん、大丈夫……」

 

「本当に親友想いだな、みうは。だから今まで隠してたんだな……」

 

大輝さんは1粒の涙を流していた。

 

「あっ……あああっ……」

 

みうさんは大輝さんの10倍以上の涙を流し続けていた。

 

「姫、手を繋ごうか。4人の永遠の愛を誓うために……」

 

少しでも王子様らしく振る舞おうとした大輝さんは、いつもの仕事帰りのように恋人繋ぎをした。

 

2人はできるだけ太い輪ゴムを買いに、4階のおひさまステーショナリーへと向かった。

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