の【日の丸の国史上最悪の猟奇殺人事件がきっかけで始まった物語】 作:桃色ぴんく
7月9日午後6時20分
茜ちゃんを抱いた黄ノ山さん、茶山さん、緑ヶ丘さん、赤森さん、そして藍谷さんはおひさまランドにいた。そこで楽しそうに笑っていたのは、茜ちゃんただ1人だけだった。
「ダダダ♪アーウー♪バブー♪」
周りの大人たちが今どんな気持ちか、あるいはどうして泣いているのか。茜ちゃんには当然理解できなかったからだ。
「あ、よしよし……。いいこいいこ……」
黄ノ山さんは、お母さんとして涙を堪えながら茜ちゃんをぎゅっと抱き締めた。
「あ……あああっ……いやああっ!」
「藍谷さんも桃松さんを思い出しちゃったのね……。ううっ……」
「余計なこと言ってごめんね……っ。ううっ、ああっ……!」
3人の女性たちはそれぞれ両手で顔全体を隠しながらゆうちゃんの死に心を痛めていた。
「どうしましょう、みんなで探すの無理ですよね……。あ……でも……。行かな……きゃ……で……す……ね……」
「ああ。みんなを置いていくのも辛いが、赤森。お前1人じゃ無理だろ?俺も一緒にいねえとな……」
2人の男性たちは目を潤ませながらも勇気を出して赤竹さんたちを探しに行くことにした。
既に4体の『アンドロイド』が誕生したことも知らずに……
一方その頃、うさぎマーケットのバックヤードでは……
黒田さんは、道端に転がっているセミの抜け殻のように倒れ込んでいた。
「終わった……。ああ、どうしてみんな帰ってこないんだ?赤竹さんに電話しても繋がらないし……」
おひさまモールまでもう1度車を走らせる気力は黒田さんにはもう残っていなかった。
「仕方がない、念のため……。ああ、怖いな。でも、店長としてここは……!」
黒田さんは正直1番電話したくない人に怯えながら電話をかけた。
プルルルルルル
「はい、青山めぐみです……」
「お忙しいところすみません。うさぎマーケットの店長の黒田誠と申します。あ……。えっとその……。青山くんは今……。どのような状態ですかね……?心配で……」
「……っ!守はもう……あっ……!ああああああああああああああ!!!!」
「え……?えっ?!」
「魔王との戦いに負けてしまって……!お姫様を守れなかった汚いゴミだって言ってそのまま……!」
「そんな……。あ……あっ……」
「救急車……間に合わなかった……。ああああああああああ!!!」
「申し訳ございません!全て僕のせいです!あの時……青山くんを信じていたら……。あああ……」
黒田さんは電話を切りたくても切れず、また倒れ込んでしまった。
大粒の涙を流し、2人の若い部下を失った激しい後悔と悲しみ、そして自らへの怒りという強すぎる心の痛みに悶えながら……