の【日の丸の国史上最悪の猟奇殺人事件がきっかけで始まった物語】 作:桃色ぴんく
7月9日午後7時
2人の部下の死で気を失っていた黒田さんはやっと目を覚ました。うさぎマーケットのバックヤードは冷房をつけても涼しくなかった。
「もうこんな時間か。あれ?赤森くんと緑ヶ丘くんから3回も電話……?とりあえず先に緑ヶ丘くんに電話するか……」
黒田さんは戸惑いながら電話した。
プルルルルル
「あ、緑ヶ丘です!」
「本当にごめん。今気づいたよ。もしかして何かあった……?」
「何かあったじゃないですよ!副店長たちずっとおかしいんです!赤森さん怖がって僕に抱きついてきたんですよ!とにかくおひさまランドに来てください!」
「え……?わ、分かった。さっきからちょっと具合悪いから時間かかるかも……。いいかな?」
「はい。あまり無理しないでくださいね……」
「ありがとう。今行くから」
黒田さんは電話を切った。そして、重い足を引きずったままなんとか気力を取り戻し、自分の車へと向かった。
午後7時20分
黒田さんは真っ黒な大型車をおひさまモールの駐車場に停めた。
黒田さんは半分だけ残った麦茶を少し飲んだ後、おひさまモールの入口から1番近いエレベーターに乗った。
5階です。
とアナウンスされた瞬間、黒田さんはおひさまランドへと向かった。
「あれ?君たちもいたの?」
黒田さんは戸惑った。茶山さん、藍谷さん、そして、スヤスヤ眠る茜ちゃんを抱いた黄ノ山さんもいたからだ。
「あら?店長どうしたんですか?」
茶山さんは黒田さんに尋ねた。
「あ、茶山さん。緑ヶ丘くんたちが困ってたから駆けつけたんだ。あれ?2人は?」
黒田さんは緑ヶ丘さんたちがどこにいるか知りたかった。
「すみません、桃松さんを失った悲しみでそれどころじゃありませんでした……。でも、今なら一緒に行けそうです。藍谷さん、黄ノ山さん。少しは落ち着いたかしら?緑ヶ丘くんたちが待っているわ。今から一緒に行きましょう」
「……はい」
藍谷さんと黄ノ山さんは同時に返事した。
こうして4人は2人の男性と4体の『アンドロイド』の元へ向かった。
午後7時30分
「ああああああああ……」
4体の『アンドロイド』はまだ『メロディー』を奏でていた。黒田さん、緑ヶ丘さん、黄ノ山さん、藍谷さんはカチコチに固まってしまった。そして、赤森さんに至っては失神寸前だった。
だが、茶山さんは持ち前の冷静さと鈍感さが少しだけ残っていたし、茜ちゃんはまだ眠り続けていた。
「あら?そういえば……。副店長は青山くんと連絡が取れたのかしら……?」
「……っ!!!!」
固まっていたはずの黒田さんの心臓の鼓動が一気に速くなった。
「それは……っ。うっ……!あ、赤竹さんたち……聞いて……。あ、あお……青山くん……は……!!!1時間ちょっと前に……っ」
目を潤ませた黒田さんは、崩れたジェンガのようにその場に倒れ込んでしまった。
「あああああああああああああ!!!!」
4体の『アンドロイド』は最悪の形で赤竹さん、青木さん、金森さん、白谷さんという『人間』に戻った。
「そんな……青山くんまで……」
「嘘だろ……」
「まだ18歳なのに……」
「いやああああ!純粋で優しい人だったのに……!」
茶山さん、緑ヶ丘さん、赤森さん、藍谷さんはゆうちゃんの死を知った瞬間と同じくらい悲しんでいたが、昨年の12月1日から産休に入った黄ノ山さんだけは呆然と立ち尽くしていた。
午後8時
赤竹さん、茶山さん、青木さん、緑ヶ丘さん、赤森さんは黒田さんの車でうさぎマーケットに戻った。金森さん、白谷さん、藍谷さんはそれぞれの車で家に帰った。そして、茜ちゃんを抱いた黄ノ山さんは、最終便のバスに乗るためにおひさまモール前のバス停に向かって歩いていた。