の【日の丸の国史上最悪の猟奇殺人事件がきっかけで始まった物語】 作:桃色ぴんく
7月10日午前11時30分
赤竹さん、茶山さん、金森さん、白谷さん、青木さん、緑ヶ丘さん、赤森さん、藍谷さん、そして茜ちゃんを抱いた黄ノ山さんはうさぎマーケットの休憩室にいた。
そこは、暗い顔をした9人の大人たちがポテトチップスを食べる音しか聞こえないほど静かだった。1人の赤ちゃんだけは、にんじんペーストを大好きなお母さんに食べさせてもらってニコニコしていた。
死んだ目の赤竹さんは、無言でテレビをつけた。
続いてのニュースは、今、SNSで話題になっているあのニュースです。
ピンクのセーラーワンピを着た28歳の女性が、この世のものとは思えないほどのイケメンに殺害され、食材にされてしまうというあまりにも残酷な事件。
血の付いたスプーンの持ち手にShe was my best food……。こんな酷い話があっていいのでしょうか?
俺だったら塩焼きにして食べたい、私よりブスなのに超イケメンと一緒にいるのムカつく、アラサーにもなってピンクのセーラーワンピにツインテールはちょっと……など、被害者の女性に対する心無いコメントも少なくないようです。
しかし今の時代、AI画像でフェイクも作れますしね〜。
そうですね〜。警察はDNAがうさぎマーケットの店員の桃松ゆうさんのものではないかと見て、慎重に捜査を進めているらしいですが……。フェイクだったら悪質ですよね〜。
赤竹さんは無言でチャンネルを変えた。
やっほー!お昼のサンサンニュースの時間だよ♪
みんな!今日も元気に頑張ってるー?
いきなりだけど、まずはSNSで大バズりのあのニュースからいっくよー♪
ピンクのセーラーワンピを着た28歳の女性が白馬の王子様級の超イケメンな男に殺されて食べられた事件♪
警察は、被害者は松島県根ノ江市のスーパー、うさぎマーケットに勤めていた桃松ゆうさんではないかと見てただいま捜査中♪
She was my best foodって持ち手に書かれた血の付いたスプーン、ハロウィンの時期なら小道具になるのにね♪マジひどいよね!信じらんなーい!
あ、スプーンの血の鑑定結果は7月11日に分かるらしいよ〜♪
次のニュースは、スプーンを使った食べ物の異常な売り切れっぷりについてだよ♪
赤竹さんは、リモコンを投げたいのを堪えながらまたチャンネルを変えた。
他の大人たちは、右手に持っていたポテトチップスをテレビに投げつけたいの堪えながら口の中にサッと入れた。
一方その頃……
「ねえねえ。誠人、亜李。BGM何にする?私はVEGETABLE PEPPERのあなたの1番すてきなところがいいな」
「僕は米田健五のSOLD OUTが好き。でも、遥のチョイスも完璧だね」
「え?そりゃ、やっぱりMr.WATER MELONのラベンダーっしょ!あ、いっそ全部買っちゃう?!」
「いいね。そうしよう」
「ナイス。僕の彼女の親友ってだけあるね」
28歳の女性の遥さん、28歳の男性の誠人さん、28歳の女性の亜李さんは、同窓会のBGM用のCDを買うためにビッグサンというCDショップに向かって歩いていた。
3人とも同窓会の幹事で、ゆうちゃんとみうさんの高校時代のクラスメイトだった。
「さすがに真夏に30分も歩いてたら喉乾くね」
「そうだね、先にお茶飲むか。」
「だね……。あ、塩ラムネ持ってきたけど食べる?」
「いいの?ありがとう」
「ありがとう。あ、遥。あーんしよっか?」
「……!!」
「誠人!アンタってば天然なんだから!遥がシャイなの分かってんの?ここ外!ウチはフレンドリーだから、彼ピにあーんされたらどこでもテンションMAXだけどね!」
愛が暴走しすぎた誠人さんの発言に、遥さんはビッグサンの看板と同じくらい頬を赤らめた。
「あ、亜李の彼氏さん5歳年上だもんね。大人の恋愛も素敵だよね」
「ごめんね、遥。間接キスくらいにしとこっか」
「わっ!ああぁぁぁ……」
「もう!からかわないの!アンタそれでも彼ピなの?!」
遥さん、誠人さん、亜李さんはビッグサンの入口近くで水分補給と塩分補給をすることにした。
例のSNSのことはあえて考えないようにするために……