の【日の丸の国史上最悪の猟奇殺人事件がきっかけで始まった物語】 作:桃色ぴんく
の 第4話
7月8日午後0時30分
「ふふ、準備完了♪さて、帰ったらお姫様のセーラーワンピを襟から順番に舐め回そうかな♪」
男はニヤリと笑って漆黒のSUVを走らせた。
例のSNSは、いいね数100万、リポスト数50万ととんでもない勢いでバズっていた。そこには多くのコメントが書かれていたが……
ご冥福をお祈りします。
食べられたなんてかわいそう!
というコメントはほとんどなく、
犯人やば!イケメンすぎる!
あたしもイケメンに殺されて食べられたい!
イケメンさん連絡先教えて♡
女の子そこ代わって!
女の子いいなー!ずるい!
などといった男の容姿を褒めるコメントやゆうちゃんへの嫉妬コメント、
ピンクセーラー萌えるンゴw
俺もこの子食いてえ〜!
やべえ奴いるぞwでもわかるw
俺は無理w
そんなこと言うなよ!俺は食べちゃいたいな〜(意味深)w
などといったゆうちゃんへの品評会コメント、そして、
映画化まだですか?
ピンクのセーラーワンピどこで買えますか?
スプーン商品化はよw
などといったよくわからんコメントもあった。
男はニヤニヤ笑いながらゆうちゃんのSNSの別アカを作って赤の他人になりすまし、
これ親友の死をネタにする悪質なデマですよね?赤い部分はケチャップで誤魔化してませんか?w
と例のSNSを引用して投稿し、ゆうちゃんのピンクのスマホを窓からポイッと画面を壊す勢いで投げ捨てた。
ゆうちゃんのピンクのスマホケースは男の大きな手の中に包まれていた。
「桃松ゆう、名前の通りだ……。桃のようにみずみずしくて甘くて……本当においしかったなぁ……」
一方その頃、うさぎマーケットでは……
ちょうど早番の人が休憩中だった。そこには赤竹さん、藍谷さん、青山さんがいた。
赤竹さんと藍谷さんは持ってきたお弁当を食べていたが、青山さんはスマホだけを見つめ、何も食べようとしなかった。
「早く食べなさい、お腹空くよ!」
赤竹さんが声をかけたが、青山さんは箸を持つことも辛そうだ。
「大丈夫?やっぱり気になる?」
藍谷さんは心配そうな顔で青山さんを見つめた。
「う……うああああああああああ!」
青山さんは大声で号泣した。
「どうして僕は背が低くてイケメンじゃないんだ!高身長イケメンなら白馬の王子様になって可愛いお姫様を助けに行けたのに!神様は不公平だ!!!!」
そして、深すぎる悲しみのせいで狂ってしまった!
「ちょっと、どうしたのよ!お姫様って……」
赤竹さんはびっくりしていた。
「確かに桃松さんは可愛い声してるし、お目目もくりっとしているけど、お姫様は言いすぎでしょ……」
藍谷さんは呆れていた。
「言いすぎじゃないです!こんなにピンクのセーラーワンピが似合うお姫様は桃松さんしかいませんから!!どうして!僕は最低だ!!!!」
青山さんは例のSNSを見せた。そこには、
女の子特定完了w
桃松ゆう 28歳 松島県根ノ江市のうさぎマーケットの店員!
と書かれていた。
「……!で、でも特定班だって間違えることはある……よ……。うん……。だってそうならまともに営業出来ないじゃない!」
藍谷さんは動揺していた。
「青山くん、急に体調悪くなったって店長に伝えておくから帰りなさい」
赤竹さんは青山さんを早退させることにした。
「ありがとうございますっ……」
「気をつけて帰りなさい」
「ゆっくり休んでね……」
赤竹さんと藍谷さんはそう言うしかなかった。
青山さんは泣きながら歩いて帰ろうとした。
「ううっ……!僕は情けない男だ……。イケメンでもないくせに勇気もない……。桃松さん……!どうして僕は七夕の日にデートに誘えなかったんだ……。そうすれば王子様の仮面を被った魔王からお姫様を守れたかもしれない!僕は、彼氏になれなくたって構わないよ……。桃松さん、好きだったのに……」
第4話のSNSの不謹慎な書き込みは、あくまで現実世界にもある行き過ぎたルッキズムと二次加害コメントの風刺です。
不謹慎コメントを助長する意図はありませんのでご安心ください。