※この作品はR-18です。

の【日の丸の国史上最悪の猟奇殺人事件がきっかけで始まった物語】   作:桃色ぴんく

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第40話

7月10日午後0時

 

赤竹さんは無言でテレビを消した。どのチャンネルをつけてもゆうちゃんが食べられたニュースしかやっていなかったからだ。

 

他の人たちも同じようにゆうちゃんの残酷な最期に心を痛めていたが、茜ちゃんだけはいつも通りぐっすり眠っていた。

 

「何よあのニュース。桃松さんを何だと思っているのよ!信じられない……」

 

涙声の赤竹さんは両手で顔を押さえていた。

 

「本当にそうですよね。桃松さんや桃松さんのお母さんたちのこと全く考えていませんよね」

 

「そうですよね、桃松さんのことブスって書いた人もあの男と一緒ですよ……」

 

「そうですよね、桃松さんのこと塩焼きにしたいって書いた人もあの男と一緒ですよ……」

 

「本当ですよ!今すぐこの手で殺したいです私!イケメンって言っちゃった自分が本当に恥ずかしいです……」

 

茶山さんはデリカシーのないニュースに呆れ、金森さんと白谷さんはSNSの心無いコメントに怒りを覚え、そして青木さんは自分の早とちりを恥じながら容姿だけが取り柄の男に強い殺意を抱いた。

 

「落ち着いてください。桃松さんはそんなこと望んでないと思いますよ、きっと。なんなら青山さんも……」

 

「あ……えっと……誰?青山さんって……?」

 

「今年の4月に入社した人です。もっと早く言えばよかったですね……すみません……」

 

「あ、Star Movieで動画でもつけましょうか……?」

 

緑ヶ丘さんは副店長と4人のベテランさんを必死にフォローし、黄ノ山さんは昨日聞けなかったもういない新人男性のことを赤森さんに尋ね、赤森さんは教えつつ謝り、そして藍谷さんは心を少しでも楽にしようと日の丸の国の人気動画アプリで好きな音楽を流そうとした。

 

藍谷さんは、日の丸の国では知らない人はいない大人気歌い手Aのオリジナル曲を再生した。

 

 

♪〜ああ もう泣かないで

 

僕らがそばにいるから

 

太陽よりもダイヤモンドよりも

 

キラキラした笑顔をまた見せて

 

 

「笑ってmy treasureやっぱりいいな……」

 

4人の若手さんはAの美しい歌声に夢中だった。

 

「そうね。きっと2人も天国でニコニコしながら聞いているわ」

 

副店長と4人のベテランさんも同じ気持ちだった。

 

一方その頃……

 

「私ったら、仇討ちするって言っておいてこんな時間になるまで泣いていたなんて……。守に申し訳ないわ……」

 

青山さんのお母さんは、青山さんが生前使っていた布団を見つめた。そこには、持ち主を失ったスマホがポツンと置かれていた。

 

「ごめんね守。悪いけど覗かせてもらうわね。えっと……0415……!よし!」

 

青山さんのお母さんは、左手に持った桃崎うさみの中の人のサイン付きしおりを見ながら青山さんのスマホのロックを解除した。

 

「やっぱり桃崎うさみちゃんの誕生日だったわね。100冊限定の中古コミック買った甲斐があったわ。守が生きている間に渡せなかったのが悔しいけど……」

 

青山さんのお母さんは、涙を堪えながら青山さんのSNSのアカウントを見た。あの男に関するヒントがあるかもしれないと思ったのだ。

 

「あら?本アカと鍵アカがあるわね。そうね、もう18歳の大人の男だもの。Hな話くらいするわよね……」

 

残酷な真実から目を背けようとしながら、青山さんのお母さんは本アカを開いた。

 

 

今日は七夕ですね。僕は恥ずかしさと不安から勇気が出ず、好きな人を誘えませんでした。来年こそ、その人の彦星様になれますように……。

 

 

これが本アカの最新の投稿だった。

 

それより前の投稿は、

 

 

お母さんの手作りカレー今日もおいしかったです。

 

おひさまランドのメリーゴーランドに久しぶりに乗りました。小さい頃を思い出して胸がドキドキしました。

 

 

など、幸せそうな投稿ばかりだった。

 

「ありがとう守。カレー気に入ってくれて……。でも怖いわ。最後の投稿が7月7日の午後0時なのが……!」

 

青山さんのお母さんは手を震わせながら鍵アカを開いた。

 

「……!守、守!!あああああああああああ!!!!!」

 

青山さんのお母さんはまた泣いてしまった。青山さんの最期の投稿が『刃』となって突き刺さったのだ。

 

 

全て僕のせいだ!真っ赤なバツだらけのゴミになってゴミ箱に乱暴に捨てられるべきなんだ!僕は!

 

 

鍵アカの最新の投稿は、7月9日の午後3時40分に投稿されたものだった。

 

さらに、

 

 

日の丸の国で1番可愛いお姫様へ

今までごめんなさい。ゴミが気安く汚い笑みを浮かべながらおはようございますとか話しかけて。

 

僕より腐ったゴミなんてない。

 

僕は王子様になれなかった本当に醜いゴキブリだ。いや、ゴキブリに失礼だね。

 

こんなのあんまりだよ。僕が身代わりになって死にたかったよ……。

 

 

など、そこには大半の18歳の男性が鍵アカで話す内容とはあまりにもかけ離れた悲惨な投稿ばかりだった。

 

青山さんのお母さんは、泣きじゃくりながらも画面をスクロールし続けた。そして、ついに求めていた情報を手に入れることができた。

 

 

深い森にある魔王の城に閉じ込められてしまうなんて……。囚われのお姫様にされて怖かったですよね、桃松さん。ああ!僕のせいで!

 

 

「……っ。ありがとう、守。今度こそ魔王の正体をこの目で確かめてやるわ……」

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