の【日の丸の国史上最悪の猟奇殺人事件がきっかけで始まった物語】 作:桃色ぴんく
7月11日午前8時30分
おはようございます!
7月11日土曜日のサンサンモーニングの時間です!
今日も朝から暑いので、熱中症に気をつけてお過ごしください!
まずはこちらのニュースです!
スプーンの高額転売問題が深刻化しています!
こちらの何の変哲もないプラスチックのスプーン、太陽フリマでいくらで売れたと思いますか?
え〜?1000円ですか?
そんなわけないでしょ!3000円!
いや、もっと!5000円!
正解は、3万円です!
ええええええええええええ!!!!
びっくりですよね〜。
桃松ゆうさんの影響は凄まじいですね〜。
おひさまホテルのロビーにある大型テレビに映っていたのは、本当によくわからんニュース番組だった。
ほとんどのホテルの宿泊客は洗脳されたように目をキラキラさせていたが、ゆうちゃんのお母さんだけは体がフラフラしていたのだ。
「ありがとうございました……」
ゆうちゃんのお母さんは、フロントスタッフに死にかけた声でお礼を言った。
本来、この時間はゆうちゃんの出勤開始時間だ。うさぎマーケットが臨時休業にならなければ、そして、生きていれば。ゆうちゃんは商品の見切り作業に一生懸命取り組んでいたはずだった……
ゆうちゃんのお母さんの頭にあったのは、ただそれだけだったのだ。
一方その頃……
青山さんのお母さんは、青い軽自動車を一生懸命走らせていた。だが、男の住む洋館はなかなか見つからない。
「変ね……。昨日から散々探したのに……。あそこで最後よね?日の丸百貨店から1番近い森って……」
心が折れそうな青山さんのお母さんの目は、血走った目からとうとう潤んだ目に変わってしまった。
「ごめんね守……。どうか、どうか……。ゆうちゃんといつまでも幸せに暮らしていて……。あっ!!!!!!」
青山さんのお母さんは、道路に何かが落ちていたのに気づいた。そして、急ブレーキをかけ、大急ぎでシートベルトを外し、運転席から勢いよく飛び降りた。
「……っ!!!こんなにボロボロになって、可哀想に……」
青山さんのお母さんはまた目を潤ませた。
両手に包まれていたのは、画面がバキバキになって電源が入らなくなったスマホだった。
「どうしましょう。後で警察に届けた方がいいのかしら……?……っ!!!」
スマホを裏返すと、右下辺りに桃とうさぎの小さなシールが貼ってあった。
「これ、守が日光府で買ったお土産じゃない!ありがとう守!もう少し頑張るわ!」
思いがけない落とし物を拾った青山さんのお母さんは、ゆうちゃんのスマホをそっと自分のバッグにしまった。
「きっと見つかるわ!今度こそ!」
午前9時
森の中に入ったはいいが、まだ洋館は見つからない。
「どこにいるのよ!魔王!早くしないと薬の効果が無くなるのに……!」
ただでさえ慣れない深い森の中は、まだ夜中ではないかと勘違いするほど真っ暗だ。
熊や蛇がいきなり目の前に現れても、青山さんのお母さんにとっては屁でもなかった。
「何なのよ!さっきから邪魔ね!ひょっとして魔王の手下かしら。そんなものに負けるほど私は弱虫じゃないわよ!」
頭にあるのは、魔王を倒すことと青山さんの無念を晴らすこと。ただそれだけだったのだ。
午前9時30分
「あ……!あったわ!間違いないわ!!!」
青山さんのお母さんは、ゴシック調の洋館の前に車を停めた。
「王子様の仇!!!……あら?ドアが開いたままだわ。思ったより馬鹿な魔王ね。まあ好都合だわ!今度こそ痛めつけてやるんだから!!!」
青山さんのお母さんは、大急ぎで静寂に包まれた洋館に入った。