の【日の丸の国史上最悪の猟奇殺人事件がきっかけで始まった物語】 作:桃色ぴんく
7月11日午後5時30分
遥さんと誠人さんは、同窓会に行く前に指輪を買おうと日の丸百貨店に立ち寄った。
だが、そこの電光掲示板はおひさまファッションビルよりもずっと大きく、2人の心の傷をさらに深めてしまったのだ。
続いてのニュースは〜☆
と、その前に緊急速報!
She was my best food って持ち手に書かれたスプーンに付いた血のDNAが、松島県根ノ江市在住の28歳の女性、桃松ゆうさんのものだと分かりました!
繰り返します!スプーンに付いた血のDNAが、桃松ゆうさんと完全に一致したことが分かりました!
桃松ゆうさんのご冥福をお祈りします。
怖すぎますよね。
最悪な事件ですね……。
気を取り直して、次は天気予報だよ☆
「ゆ……!ゆうちゃん……っ!!!」
遥さんはその場に倒れ込んでしまった。
「遥……」
快晴の空の下で頬を濡らした誠人さんは、遥さんをそっと抱き締めることしかできなかった。
一方その頃、おひさまモールでは……
仕事を終えたみうさんは、カラフルメロディーから1番近いベンチに向かって歩いていた。
「やっと終わった……」
みうさんの足はかなりふらふらしていた。
なんとかベンチに座れたみうさんは、思わずSNSを開いてしまった。
「……!!!あああああ……。ゆうちゃん……っ!!!!」
【速報】
スプーンの血のDNA
28歳女性 桃松ゆうさんと完全一致
この投稿を見てしまったみうさんの表情は、もはや説明するまでもない。
例のSNSのコメントは、
ゆうちゃん可哀想。本当に食べられたんだ……。
ゆうちゃんのご冥福をお祈りします。
ゆうちゃん、どうか天国で安らかに……。
などといったゆうちゃんへの追悼コメントが少しずつ増えていた。
だが、
やっぱりマジじゃんwウケるwww
ゆうちゃんwwwめちゃくちゃ理想的な死に方でクソワロタwww
犯人いいな〜!俺にもぶっちゃけゆうちゃんの肉分けて欲しかったぜ!
DNA完全一致ステッカー、SUNNYにあったら即売れそうwww
などといった心無いコメントの嵐が、いとも簡単にゆうちゃんへの優しいコメントを押し潰してしまうのだった……
「あ……あああっ……」
みうさんはとうとう床にスマホを落としてしまった。
午後5時45分
「みう……!」
息を切らした大輝さんが、みうさんの元に駆け寄った。
「……!あああ!!!」
大輝さんは、まだ泣き続けるみうさんが落としたスマホを拾い、そっと手に持たせた。
「苦しいよな……!泣きたいよな……!」
ぎゅっと強く抱き締めても、そっと優しく抱き締めてもみうさんの涙は止まらなかったのだ。
「俺はゆうちゃんにはなれねえよな……。ごめん……」
大輝さんはみうさんに頭を下げて謝った。
午後5時55分
「みう、大輝……!うっ、ああ……」
「みうちゃん……大輝くん……っ」
亜李さんと雄馬さんは、泣きながらみうさんと大輝さんの隣に座った。
4人ともスマホの画面を小さな水溜まりで濡らすことしかできなかった。