の【日の丸の国史上最悪の猟奇殺人事件がきっかけで始まった物語】 作:桃色ぴんく
7月11日午後7時40分
「誠人、亜李……。同窓会とその後のカラオケの時間、とりあえず30分延長でお願いしといたよ……。みうさんまだメンタルしんどそうだし……」
遥さんはスマホを持った右手と唇を震わせながらも幹事としての役割を全うした。
「ありがとう……。あ、今度こそ始めようか……。蒼森さんと涼太くんがまだここに来てないけど」
誠人さんは謎の白い本で涙を拭った。その本は、今日の同窓会で使うとても大切なものだ。
「そうだね……。ここのバイキングめちゃくちゃおいしいもんね……。みうたちの分もちゃんと残しておかなきゃだね。あ……。遥、それ貸して」
亜李さんは家から持ってきたマイクで胸を押さえた。そして、手書きの出席表を挟んだ黒いバインダーを遥さんに借りた。
「いいよ。むしろ亜李の声よく通るから助かる……。私シャイだし……」
遥さんは手書きの同窓会スケジュールで赤くなった頬を隠した。
亜李さんがマイクをオンにしようとしたまさにその時、ひなこさんと大輔さんがラブラブオーラ全開でやってきた。
「こんばんは〜!あのね、実は私たちのラブラブ動画撮っちゃった〜♡」
奥さんのひなこさんは、乙女モード全開でぴょんぴょん飛び跳ねていた。
「題して、ゆうちゃんと藍斗再現チャレンジ〜♪俺たち同窓会楽しみすぎて寝れなくてさwあ〜、寝てねえわ〜w3時間しか寝てねえわw」
旦那さんの大輔さんは、くだらないことで盛り上がる小学生のようなアピールをしていた。
ひなこさんと大輔さんは、考えただけで吐きそうな動画を3人の幹事に見せつけてきた。
「あたしは桃松ゆう♡今日こそ素敵な王子様に会えるといいな♡」
「こんにちは、可愛いお姫様。君に会えて嬉しいな」
「キャーかっこいい♡」
「ありがとう。さあ、こっちへおいで」
「え〜?どこ行くの〜?」
「ふふ……」
「?」
「ようこそ、僕の城へ。ここに来てもらったのは他でもない。可愛くておいしそうな君を食べちゃうためさ!」
「キャー♡王子様が狼さんになっちゃった〜♡でもイケメンだからありよりのあり〜♡」
「そうだろう?さて、どこから食べようかな〜?」
「や〜ん♡全部まとめて食べて♡」
「じゃあ、お姫様の唇から食べちゃうね♡」
「恥ずかしい〜♡」
遥さん、誠人さん、亜李さんは、深夜に撮られた動画のあまりの気持ち悪さに思わず口を両手で塞ぎ、顔を背けてしまった。
一方その頃……
MACARON CUBEの皆さんありがとうございました!愛愛LIGHT!を聞いているだけで心がライトのように明るくなれますよね〜♪
続いては、あの大人気歌い手Aさんも歌ってみた投稿をした最新ヒットソング!
M!NTさんで、猛烈恋してる
ミュージック、スタート♪
♪〜僕ら君に君に恋してる
YEAH!
本気で本気で恋してる
WOW!
Hotel Sunnyのロビーには、大きな液晶テレビが置いてある。
宿泊客たちはみんな画面に釘付けだったが、宿泊しない涼介さん、健二さん、智和さんだけは死んだ目でそれぞれのスマホを見つめていた。
スマホの画面が3人の表情やオーラと全く同じ色をしていたのは言うまでもない。
「健二、智和。そういうわけなんだ……。ああ、もう終わりだ……」
シルバーの腕時計をした涼介さんは、放っておくとゆうちゃんの元へ行ってしまいそうな状態だった。
「涼介……。お前マジかよ、それ結構やばいぞ……。けど、運が悪かったとしか言いようがねえな。別にゆうちゃんに意地悪したわけじゃねえし……」
ゴールドの腕時計をした健二さんは、親友が7月8日の昼にした行動に呆れるも、責めることはできなかった。
「まさか、ゆうちゃんが涼介の上司の娘だったとは……。あの時は知らなかったとはいえ、これは誠心誠意謝るしかないな。でも仕方ないよ。僕も最初はフェイクニュースだと思ったからさ。とりあえず、今日は楽しもうよ」
ブロンズの腕時計をした智和さんは、少しでも親友を笑顔にしようと必死に言葉を選んでいた。
「……っ!ゆう……ちゃん……っ!」
トイレを出たみうさんは、泣きながら健二さんの隣に座った。
ゆうちゃんが自分たちのかつてのクラスメイトだったことには3人ともまだ気づいていないようだ……