※この作品はR-18です。

の【日の丸の国史上最悪の猟奇殺人事件がきっかけで始まった物語】   作:桃色ぴんく

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第77話

7月11日午後7時50分

 

根ノ江南高校3年1組の同窓会は始まりそうで始まらなかった。まあ、この状況では仕方ない。

 

「今度こそ始めなきゃ……。みんななんだかんだで同窓会楽しみにしてくれてるし……!」

 

亜李さんは、気を取り直してもう1度マイクをオンにしようとした。

 

「背中さすっておくね……」

 

遥さんは、親友として最善を尽くした。

 

「そろそろ同窓会始めるよー!集合ー!」

 

だが、亜李さんの大声と遥さんの優しさは、夏菜子さんと真由美さんのはしゃぎ声にかき消されてしまったのだ。

 

「あ、アリリン!それにハルルンもいるじゃん!キャー!ちょうどよかったー!ねえ!あたしたちと一緒にイケメンさんに食べられ隊……あ!藍斗様に食べられ隊に入らない?リーダーはあたし!カナッペって名乗ってるよ♪」

 

イチゴの香りの香水を付けたカナッペこと夏菜子さんは、亜李さんと遥さんをよくわからんグループに勧誘した。

 

「私も食べられ隊のメンバーだよ!マユピーって名乗ってるんだ!マッチ、サーヤ、ナッツもいるよ♪あ、まちこと沙也加と夏美のことね!あと、スプーン再現チャレンジも一緒にやらない?仕事のストレス解消になるし!」

 

オレンジの香りの香水を付けたマユピーこと真由美さんに至っては、世も末なチャレンジまでさせようとしてきたのだ。日の丸コンビニで起こった異常な売り切れのせいで頭がおかしくなったのだろう。

 

「え……。それはちょっと……!」

 

遥さんは、首を横に振りながら、手書きの同窓会スケジュールも左右に振って必死に抵抗した。

 

「は?!夏菜子も真由美も何考えてんの?!ゆうちゃんを何だと思ってるの!馬鹿なことしないで!それに、ウチの遥を巻き込まないでよ!マジ最低!アンタたちがそんな人だと思わなかった!」

 

亜李さんは、とうとう右手に持っていたマイクを2人に投げつけてしまった。

 

その時だった!

 

「あ……。真由美……!あああ……ああああああっ……!」

 

サーヤこと沙也加さんは、大粒の涙を流しながら真由美さんの元に駆け寄った。沙也加さんは、お姫様のドレスにぴったりのレースを両手でそっと包み込むように持っていた。

 

「夏菜子っ!!あっ……。あああああああああああ!!!」

 

マッチことまちこさんは、泣きながら親友の夏菜子さんに抱きついた。まちこさんの右手にあったのは、文化祭で3年1組がシンデレラの劇をした時の写真だ。

 

「ちょ、沙也加?!急に何?どうしたの?藍斗様に振られたの?!」

 

「まちこ?!ねえ、なんで泣いてるの?泣いたら楽しい同窓会が台無しだよ!」

 

真由美さんと夏菜子さんは、仲間たちが何を言いたいのかまだ分からなかった。

 

「うっ……ううう!!!」

 

ナッツこと夏美さんは、言いたいことを言う前にその場に崩れ落ちてしまった。

 

「どうしたの?」

 

遥さんは、夏美さんに寄り添うように声をかけた。

 

「もう、アンタは優しすぎ……。全く、こういう時に誠人がいないんだから……。一体どこに行ったの?」

 

亜李さんは、遥さんの優しさを褒めつつも、会場からいなくなった誠人さんを心配していた。

 

「あ……。あの……その……っ!!」

 

涙声の夏美さんは、根ノ江南高校の卒業アルバムを魔法の太陽のレジ袋からゆっくりと取り出した。

 

夏美さんは、3年1組の生徒の写真が載ったページを開き、みんなに見せた。

 

そして、小刻みに震える人差し指で

 

 

桃松ゆう

 

 

と書かれた部分を指差した。

 

卒業写真のゆうちゃんは、悲惨な最期を知らずにいたあの時のゆうちゃんと全く同じ顔をしていたのだ……

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