※この作品はR-18です。

の【日の丸の国史上最悪の猟奇殺人事件がきっかけで始まった物語】   作:桃色ぴんく

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第92話

7月11日午後10時15分

 

ゆうちゃんのお母さんの車は、気づいたらHotel Sunnyの前を通っていた。

 

その近くには、ゆうちゃんも行くはずだったカラオケ333だけでなく、サンサン33というコンビニ、ファンタジーアイランドというバラエティグッズショップ、そして、スイーツの国という無人スイーツ販売店もあった。

 

「そういえば……。あそこ1週間前にゆうと行ったわね……」

 

運転中のゆうちゃんのお母さんは、ファンタジーアイランドの駐車場に車を停めた。

 

この時間だからか、駐車場には2台しか車が停まっていなかったのだ。

 

「確か真夜中までやっていたはず……。あ、よかった。まだやってたわ……」

 

ゆうちゃんのお母さんの足は、ぬいぐるみキーホルダーコーナーへと向かっていた。

 

午後10時20分

 

「あら?」

 

ゆうちゃんのお母さんは、白いうさぎのぬいぐるみキーホルダーを手に取った。

 

そのぬいぐるみキーホルダーは、両耳の付け根にピンクのリボンがついていた。

 

加えて、ゆうちゃんのピンクのリボン付きバッグの持ち手にぶら下がっていたものと全く同じデザインだったのだ。

 

「ゆう……ここにいたのね……」

 

ゆうちゃんのお母さんは、ぬいぐるみキーホルダーを優しく抱き寄せたままその場を去った。

 

ぬいぐるみキーホルダーの耳は、いつの間にか涙で濡れてしまったのだ。

 

「ゆう……ごめんね……。あの時スイーツアクセも買っておけばよかったわね……」

 

ゆうちゃんのお母さんは、おもちゃのマカロンがついたネックレスとドーナツ型の指輪を探していた。

 

だが、1週間前にスイーツアクセコーナーがあった場所はいつの間にか『魔境』へと変わってしまったのだ。

 

「いやああああああああああ!」

 

そこで売られていたのは、ホットドッグのソーセージにされたゆうちゃん、ハンバーグに乗せられたゆうちゃん、ゼリーに閉じ込められたゆうちゃんなどの悪趣味なフィギュアだった。

 

さらに!

 

例のスプーンのレプリカの予約案内と、お姫様の格好をしたゆうちゃんと王子様の格好をした藍斗のペアぬいぐるみキーホルダーの予約案内が掲示されていたのだ。

 

当然、予約カードはもう1枚も残っていなかった。

 

そのすぐ近くの貼り紙にはこう書かれていた。

 

 

予約カードがなくても、期間内であれば対応いたします!

 

レジでお気軽にお申し付けください!

 

 

「やめて!ゆうをいじめないで!!」

 

店員さんの厚意さえも、今のゆうちゃんのお母さんには悪意でしかなかった。

 

ゆうちゃんのお母さんは、ぬいぐるみキーホルダーを『魔物』から守るように抱えて逃げ出した。

 

「あ……!あの、大丈夫ですか?!」

 

たまたま近くを歩いていた孝行さんが慌てて駆け寄ってきた。

 

「誰?!ゆうに手を出さないで!……あ、あの時の……!」

 

ゆうちゃんのお母さんは、声の主に安心したのか走ることも叫ぶこともやめた。

 

「ちょっと!いきなり走らないでよ……って誰?孝行の上司?」

 

孝行さんと一緒にいた美由利さんもゆうちゃんのお母さんの元に駆け寄った。

 

「違うよ。ゆうちゃんの……お母さん……。今日……接客した……」

 

孝行さんの声はいつの間にか涙声へと変わってしまった。

 

「あ、いきなりすみません。私は紅山美由利と申します。学生時代、娘さんと同じゼミにいました」

 

美由利さんは突然自己紹介を始めた。

 

「あ、改めまして紅山孝行と申します」

 

孝行さんも自己紹介した。

 

「そういえば、美由利ちゃん孝行くんと結婚したよってゆう言ってたわね……。ごめんね……」

 

ゆうちゃんのお母さんは、まだ買っていないぬいぐるみキーホルダーで涙を拭った。

 

「白河美由利って言えばよかったですね、すみません……」

 

美由利さんは決まり悪そうに頭を下げた。

 

「そういえば、みんな大丈夫かな……」

 

孝行さんは、右手に持ったエビフライのステッカーを見つめていた。

 

一方その頃……

 

大好きなアーティストに励まされた百乃さんと裕香さんは、太陽マートというコンビニに夜食などを買いに来ていた。

 

「Aはもちろん、RiKAもゆいにゃんもやっぱり神だよね……」

 

百乃さんは裕香さんを見つめてそう言った。

 

「それ!あと、米田健五もVEGETABLE PEPPERもMr.WATER MELONも……!みんなゆうちゃんの味方してたよ!あと、これ見て!」

 

裕香さんは満面の笑みで百乃さんに例のSNSを見せた。

 

コメント欄はいつの間にか

 

 

ゆうちゃん、怖かったよね……。

 

ごめんねゆうちゃん、助けてあげられなくて……。

 

ゆうちゃん、あなたは何も悪くないんだよ。

 

 

などといった優しいコメントで埋め尽くされていたのだ。

 

「よかったね、ゆうちゃん。……でも、なんか複雑だな……」

 

ペットボトルの麦茶とツナマヨおにぎりをカゴに入れた百乃さんは、浮かない顔で呟いた。

 

「ん?なんで複雑なの?」

 

ペットボトルの烏龍茶と昆布おにぎりをカゴに入れた裕香さんは、きょとんとした顔でそう言った。

 

「気にしないで」

 

百乃さんは、スマホと裏に赤山百乃と書かれたポイントカードを持ってレジへと向かった。

 

裕香さんも、スマホと裏に青谷裕香と書かれたポイントカードを持って百乃さんについて行った。

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