※この作品はR-18です。

の【日の丸の国史上最悪の猟奇殺人事件がきっかけで始まった物語】   作:桃色ぴんく

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第93話

7月11日午後10時30分

 

カラオケ333のパーティールームには、根ノ江南高校3年1組の同窓会の参加者たちがいた。

 

「イェーイ!次はウチの番ね!」

 

亜李さんは、デンモクにMr.WATER MELONのOrangeを予約した。

 

「太陽のようにフレッシュな♪オレンジの香りが〜♪僕を逃がしてくれない♪これが恋の始まりなのか〜♪」

 

亜李さんの声は隣の隣の部屋まで響いていた。

 

遥さんは、誰よりも一生懸命マラカスを上下に振っていた。

 

遥さんの隣にいた誠人さんは、デンモクとにらめっこしながら何を歌うか真剣に考えていた。

 

「次は誠人くんと黒谷のラブラブデュエットか〜!ヒューヒューwww」

 

「いいのが見れるぜ〜www」

 

颯斗さんと純さんは、メガサイズの塩味のポテトチップスをつまみながらニヤニヤしていた。

 

それは、昨日の昼に3人の幹事たちがおやつワールドで買ったものだ。

 

「わ……ああ……。恥ずかしいよ……」

 

遥さんはマラカスで顔を隠しながらそっぽを向いた。

 

「本泉も吉岡も相変わらずうるせえな」

 

「全く、あの頃と変わってねえな」

 

康太さんと弘樹さんは、やや呆れ顔でポテトチップスを頬張っていた。

 

午後10時35分

 

「キャー!遥たちセンス完璧!キュン死確定じゃん♡」

 

「キャー!茜×モノクロのWEDDING MODE?!めっちゃいいじゃん♡」

 

夏菜子さんと真由美さんは、ハート型のチョコクッキーを片手に大騒ぎしていた。もちろん、そのクッキーも3人の幹事たちが買ったものだ。

 

「さあ♪君に愛を誓うよ♪」

 

「ああ♪私も愛を誓うわ♪」

 

「ずっと一緒だよ♪愛しい人♪」

 

「あなただけを♪愛し続けるわ♪」

 

誠人さんの優しい声に安心したのか、遥さんは緊張することなく歌うことができた。

 

「えっ?!遥、その指輪!ねえ、ちょっとちょっと!」

 

まちこさんは真珠の婚約指輪に気づき、隣にいた夏美さんの肩を強く叩いた。

 

「え?何?……あ、本当だ!おめでとう、遥!」

 

「え、遥?わあ……すごく綺麗……!それ日の丸百貨店のやつだよね、絶対?!」

 

夏美さんは何度もタンバリンを叩き、沙也加さんは何度もマラカスを振り回した。

 

「えへへ……」

 

遥さんは、右手に持ったマイクで顔を隠しながら左手の薬指を3人に近づけた。

 

「これからも僕たちをよろしくね」

 

誠人さんは得意げに笑った。

 

沙也加さんのすぐ近くにいた京子さん、桃香さん、秋奈さんは、3人の幹事たちが買ったカップケーキを黙々と頬張り続けていた。

 

「ちょっと、少しは遥たちの歌に集中しなさいよ……」

 

亜李さんは呆れていた。

 

「亜李、あっちも……」

 

ハート型のイチゴクッキーを食べていたみうさんは、コンソメ味のポテトチップスを食べさせあっているひなこさんと大輔さんを指差した。

 

「大輔♡あーん♡」

 

「あーん♡ほら、ひなこもあーんして♡」

 

ひなこさんと大輔さんは、まるでお互いの顔しか見えていないようだった。

 

「うわあ、マジか……」

 

亜李さんは、肩を落としながらハート型のバタークッキーに手を伸ばした。

 

「あ、蒼森さん。これ食べる?」

 

そこから少し遠くにいたはずの涼介さんが、みうさんにプレーン味のカップケーキをいきなり渡してきた。

 

その後ろでは、健二さんと智和さんが見守るように微笑んでいた。

 

「いいの?ありがとう」

 

みうさんがカップケーキを1口かじったその時だった。

 

「みうちゃん。これ食べて!おいしいよ!」

 

涼介さんの向かい側にいたみなみさんがチョコ味のカップケーキを渡してきた。

 

「みうちゃん!これ、京子ちゃんたちがめちゃくちゃ気に入ってたやつだよ!」

 

みなみさんの隣にいた翔子さんが、突然割り込むように抹茶味のカップケーキを渡してきた。

 

「あ、ありがとう……。プレーン食べ終わってから食べるね……」

 

みうさんは、やや困惑しながら2種類のカップケーキを受け取った。

 

「あ、蒼森さん。それ、僕にも半分ずつ分けてくれる?」

 

ここで、みうさんの向かい側にいた涼太さんがさりげなく救いの手を差し伸べた。

 

「いいよ、一緒に食べよう」

 

みうさんは、2種類のカップケーキをそれぞれ半分に割った。

 

「ごめん。ちょっと形が崩れちゃった……」

 

みうさんは涼太さんに謝った。

 

「ありがとう、大丈夫だよ」

 

涼太さんは、まだ王子様役を続けているかのように微笑んだ。

 

「ゆうちゃんも一緒だったらな……」

 

プレーン味のカップケーキを食べ終えたみうさんは、ピンクの包み紙に向かって涙声で呟いた。

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