※この作品はR-18です。

の【日の丸の国史上最悪の猟奇殺人事件がきっかけで始まった物語】   作:桃色ぴんく

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第95話

7月11日午後11時

 

10分前にドリンクを取りに行ったみうさんは、百乃さんと電話していた。

 

正確に言うと、百乃さんのスマホを借りた裕香さんもいたのだが。

 

「みうちゃん、Aの新曲もう聞いた?」

 

「ううん、まだ」

 

「え、そうなの?だったらすぐ聞いて。気持ちが楽になるから」

 

「……本当?」

 

「うん。私もAのファンだもん」

 

「あ、みうちゃん!百乃が聞いたのは桃色の天使って曲だよ!」

 

「2人ともありがとう。あ、みんな部屋で待ってるからそろそろ切るね。おやすみ」

 

電話を切ったみうさんは、早速Star MovieでAの新曲を再生した。

 

「ゆうちゃんへの追悼曲か……」

 

 

♪〜ひとりぼっちの僕の

 

目の前に現れたのは

 

無邪気に笑う可愛い天使

 

可愛い声で歌っていた

 

だけど桃色の天使は

 

真っ黒な悪魔にさらわれてしまった

 

弱虫でクズな僕は

 

勇気も出せずに泣いていた

 

 

一方その頃、サニーランドでは……

 

大輝さんと雄馬さんは1階の休憩スペースにいた。2人ともそれぞれの最愛の人をとても心配していた。

 

「雄馬さん……。俺、未来の夫としてこれからみうに何を話せばいいか……」

 

「難しいね……。俺も未来のハニーの亜李にゃんにこれからどんな顔したらいいか分かんないよ……」

 

大輝さんと雄馬さんは、サニーショップで買った半額の塩むすびを食べながらそう呟いた。

 

2人ともあの悍ましいスプーンに付いていた血がゆうちゃんのものだったことがショックで、この時間まで晩ごはんを食べられなかったのだ。

 

「……ところで大輝くんは、Aの歌……好き?」

 

雄馬さんは、少しでも空気を変えようと必死に話を逸らした。

 

「はい。みうも大好きな歌い手なんです」

 

大輝さんはほんの少しだけ微笑んだ。

 

「よかった。俺も亜李にゃんもAのファンなんだよね。トイレ出た後にこっそり聞いた新曲、もう聞いた?」

 

「いえ、まだです」

 

「マジで神曲だからサビだけでも聞いて」

 

スマホを取り出した雄馬さんは、早速Star MovieでAの新曲を大輝さんの耳元で再生した。

 

 

♪〜ああどうして 罪のない

 

無垢な天使は殺されてしまうの?

 

ああどうして 罪深い

 

残酷な悪魔は笑ってるの?

 

ああどうして 人間は

 

神聖な天使を傷つけるの?

 

ああどうして この僕は

 

可愛い天使を守れなかったのだろう……

 

 

「悲しい……。でも神曲ですね……」

 

大輝さんは思わず涙を流してしまった。

 

直接会うことができなかったゆうちゃんの無邪気な笑顔を思い浮かべずにはいられなかったのだ。

 

「そうだね……。でも、この神曲のおかげでゆうちゃんは救われたんじゃないかな。スマホ見てごらん」

 

雄馬さんは、まるで本物のお兄ちゃんであるかのように大輝さんの肩を軽くポンと叩いた。

 

その優しさに安心したのか、大輝さんは早速例のSNSを開いた。

 

「……あ!」

 

コメント欄は、

 

 

ゆうちゃん!意地悪な言葉に負けないで!

 

ゆうちゃん!本物の王子様とおいしいご飯いっぱい食べてね!

 

ゆうちゃん!怖かったよね……。もう大丈夫だよ、神様が守ってくれるから!

 

 

などといった言葉で彩られた優しい世界に変わっていたのだ。

 

「A……ありがとう」

 

「Aは俺たちの希望の星だよ……」

 

大輝さんと雄馬さんは目を閉じてそっと両手を合わせた。

 

一方その頃、パーティールームでは……

 

「ねえ遥!ほんきだね☆ナンだよねえ☆しらんがな☆一緒に歌おうよ!」

 

「いいけど、亜李ほど完璧には歌えないよ……」

 

亜李さんは目をキラキラさせていたが、遥さんはまたマラカスで顔を隠し始めた。

 

「しらんがな☆ノリノリで歌えばOKだよ!」

 

テンションMAXの亜李さんは、遥さんの耳元で何度もタンバリンを叩いた。

 

「わっ!み、耳がぁ……」

 

亜李さんは、マラカスで耳を塞いだ遥さんを横目に、モナカのほんきだね☆ナンだよねえ☆しらんがな☆をデンモクで予約した。

 

そうこうしているうちに、気づいたらたくさんの曲が予約されていた。

 

「あはは、いつの間に。みんなそんなに歌いたかったんだね」

 

米田健五のアイガオモイネをデンモクで予約した誠人さんは、麦茶を飲みながら笑っていた。

 

「ねえ、桃香も秋奈も!私たちが高校生の時に歌ったあの曲歌おうよ!」

 

「小倉!俺にもデンモクよろしく。弘樹と歌うから」

 

「康太くん!終わったら俺にも貸せよなw純と一緒に盛り上げてえからさ!」

 

「颯斗くん、私もみなみちゃんと歌いたいから後で貸してね。あ、でもこの曲難しいからな〜」

 

京子さんはBLC59のソフトハイテンションを、康太さんはM!NTのエエやんを、颯斗さんはにじいろフレーバーRの大人論争を、翔子さんはきっと真昼間がええやんのあんたら絶対同級生を順番にデンモクで予約した。

 

「土岐さん!あたしにもデンモク貸して!真由美とまちこも一緒に歌うから!」

 

「あー!3人だけずるい!私と沙也加も混ぜてよ!」

 

続けて、夏菜子さん、真由美さん、まちこさん、夏美さん、沙也加さんがBEAUTY STRAIGHTのキュージつジューたいをデンモクで予約した。

 

「廣瀬さんごめんね、僕にも貸して」

 

「あ、涼太くん。僕も歌いたいから貸して。健二と智和も一緒に歌おうよ」

 

「伊東くん。大輔と歌いたいから後でそれ貸して」

 

涼太さんはスミレスケッチの浜辺を、涼介さん、健二さん、智和さんはSKIPの世界に1つしかない薔薇を、ひなこさんと大輔さんはFLOWERのBARAをデンモクで予約した。

 

「フリータイムにしてよかったな」

 

遥さんはオレンジジュースを飲みながら呟いた。

 

午後11時10分

 

Aの美しくも優しい歌声に励まされたみうさんが、右手にアップルジュースの入ったコップを持って戻ってきた。

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