※この作品はR-18です。

の【日の丸の国史上最悪の猟奇殺人事件がきっかけで始まった物語】   作:桃色ぴんく

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第98話

7月12日午前0時30分

 

プルルルルルル

 

「はい、浅川です」

 

「あ、風雅だけど……」

 

「すみません……。実はまだあいつを見つけられていないんです……」

 

「そうか……君は悪くないよ。それより、僕と拝郷さんの話を聞いて」

 

「はい」

 

「ねえ。今、漆黒のSUVを探しているところでしょう?私たちね、1時間くらい前になんとなく嫌な予感がして洋館まで引き返したの。それが……的中したのよ……!」

 

「どういうことですか?」

 

「漆黒のSUVがあいつの駐車場に停まったままだったってことよ!」

 

「え?!そんなことあります?!あいつの洋館って深い森の中にありますよね?!」

 

「そう思って、もう1回洋館の中を調べたのよ!そしたら……」

 

「浅川さん。要するに、あいつは漆黒のSUVとは別の車で逃走しているんじゃないかってことだよ。」

 

「そんな……」

 

電話中の浅川さんのそばにいた藤田さんと下田さんたちは、3人とも真っ青な顔で震えていた。

 

「下田さん……あ、お兄さんの方です。どうしましょう……」

 

藤田さんは、思わず1人目の下田さんの袖を掴んでしまった。

 

「ごめん。あいつがここまで悪魔だとは思わなかった……」

 

1人目の下田さんはそれしか言えなかった。

 

「いや、ここまで来ると本物の悪魔の方がまともだよ……」

 

2人目の下田さんは1人目の下田さんの目をじっと見つめた。

 

午前0時45分

 

「ごめん、長電話してしまって……」

 

浅川さんは謝った。

 

「とんでもないです……」

 

藤田さんと下田さんたちはまだ少し震えていた。

 

「ったく。どんな車で逃げたんだ、あいつは」

 

浅川さんは、その辺にあった小さな石を軽く蹴ってそう言った。

 

「えっと……。あいつ相当お金ありそうですし、色違いのSUVですかね……」

 

藤田さんは自信なさげに呟いた。

 

「それなら羨ましすぎ……じゃなかった。ありそうで……怖い……」

 

2人目の下田さんは、声をさらに震わせた。

 

「……ちょっと待って。あいつに気を取られすぎているかもしれない」

 

1人目の下田さんは、スマホをサッと取り出し電話をかけた。

 

プルルルルルル

 

ただいま、電話に出ることができません。

 

ピーッという発信音の後に、お名前とお電話番号をお話しください。

 

「はぁ……。よく考えたらこんな真夜中に迷惑だったな……」

 

午前1時

 

カラオケ333を出たみうさんは、大輝さんに

 

 

遅くなってごめん、今終わった。

 

 

とメッセージを送った。

 

その隣にいた亜李さんも、雄馬さんに

 

 

今終わった!ごめん!

 

 

と同じようなメッセージを送った。

 

遥さんと誠人さんは、みうさんと亜李さんに向かってお辞儀だけしてその場を去った。

 

他の元クラスメイトたちは、とっくにそれぞれの家へ帰ったと思われたのだが……

 

「あ、蒼森さん……!」

 

なぜか涼介さんだけが走って戻ってきた。

 

「何?忘れ物したの?」

 

みうさんが首を傾げながらそう尋ねると、涼介さんは顔を伏せながらこう言った。

 

「そうじゃない……。こんな時間にごめん……。もしよかったら……僕とサニーランドに行かない……?」

 

あまりにも唐突な誘いに戸惑うみうさんを見た亜李さんは、涼介さんとみうさんの間に無理矢理割って入った。

 

「アンタ何言ってんの?!みう彼ピいるから!正確に言うとこれからダーリンになる人だけど!サニーランドなら健二と智和と一緒に行けばいいじゃん!」

 

亜李さんの大声に驚いた涼介さんは、やや複雑な表情を浮かべた。

 

「あ……そうなんだ……。じゃあ……金山さんも一緒に行く……?桃松さんのためのお花を買いに……」

 

涼介さんの目は、ほんの少しだけ涙で濡れていた。

 

「あ、伊東くんありがとう。大輝が怒るかなって思って……戸惑っちゃってごめんね。亜李、そういうわけだから一緒に行こうよ」

 

みうさんは、涼介さんにお礼と謝罪をすると、亜李さんの肩を人差し指で優しくトントンと叩いた。

 

「みうがいいならそうする」

 

亜李さんは、雄馬さんに

 

 

雄馬にゃんごめん!

 

元クラスメイトの涼介とみうとウチでこの後サニーショップに寄りたいけどいい?

 

ゆうちゃんにお花買ってあげたくて!

 

 

とメッセージを送った。

 

午前1時15分

 

「……なんでまだ胸が痛いんだろう?」

 

大輝さんと雄馬さんの車がそれぞれ停まる直前、涼介さんは自分の右胸を押さえて呟いた。

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